勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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「おーい、こっちだぞー」
呼ばれて近づいていくと、さっそく本題に入ることにした。
まずはお互いの近況報告から始めようということになり、順番に話していくことにした。
といっても、俺は大したことは何もしていないのだが……。
せいぜい、薬草採取の依頼を受けたくらいだし、後はひたすら訓練をしていたくらいだからな。
ちなみに、今現在俺のレベルは15にまで上がっている。
この調子でいけば、近いうちに目標としている20に到達することができるかもしれないと思っているところだ。
さて、次は彼女なのだが、なんと既に30まで到達しているらしい。
なんでも、最近は魔物狩りばかりしていたせいでかなり上がったそうだ。
おかげで、随分と自信がついたと言っていたよ。
それに、魔法の方も上達したみたいで何よりだな。
そんなことを考えている間に目的地に到着したようだな。
そこは小さな村のようだがよく整備されていて綺麗な印象を受ける場所だったな。
中に入ると沢山の人達が集まっており賑わっていたよ。
そんな中を進んでいき宿を探すことにしたんだ。
しばらく歩いているとそれらしき建物を見つけたので入ってみると受付があったのでそこに行ってみたんだ。
そしたら案の定その通りだったので一安心といったところか。
それから手続きを済ませた後部屋に案内されたのだが、中に入った瞬間驚きのあまり固まってしまったよ。
なぜならそこにはとんでもない光景が広がっていたからだ!
「うわ~凄いなぁこれ全部君一人で作ったのかい?」
あまりの凄さに圧倒されていると彼女は照れ臭そうに笑いながら答えたんだ。
それを聞いてさらに驚いてしまったよ。
まさかここまでとは思わなかったからね。
だってそうだろう?
普通こんな短時間で作れるはずがないじゃないか。
それなのにこの子は平然とやってのけたんだよ!?
信じられないという気持ちもあったがそれ以上に感心する気持ちの方が強かったね。
だから素直に褒めることにしたんだ。
すると嬉しそうに微笑んでくれたのでこっちも幸せな気分になれたよ。
それからしばらく雑談した後、そろそろ寝ようかということになったのでそれぞれ別々のベッドで寝ることにしたんだ。
最初はドキドキしてなかなか眠れなかったんだが、疲れていたこともあってすぐに眠ってしまったよ。
「おはようございます、ご主人様♪」
翌朝、目を覚ますなり声をかけられたのでそちらを見るとそこにはメイド服姿の美少女がいた。
一瞬誰だかわかんなかったんだけど、よく見るとルミナスだったんだよなこれが、
しかもよく似合っている上に可愛いすぎて見惚れてしまったほどだよ。
そんな彼女の姿に見とれていると、不意に顔を近づけてきてチュッとされたんだ。
突然のことに動揺していると、彼女は悪戯っぽく笑って言ったんだ。
「ふふっ、隙だらけですよ?」
その言葉にドキッとすると共に顔が熱くなるのを感じたよ。
恥ずかしさを誤魔化すために顔を背けるとクスクスと笑う声が聞こえてきたので余計に恥ずかしくなったが、なんとか平静を装って答えることができたよ。
「ったく、勘弁してくれよな全くもう……」
やれやれといった感じで言うと彼女は申し訳なさそうに謝ってきたので許してあげることにしたんだが、その代わり条件を出すことにしたんだ。
その内容とは、今日一日は俺の言うことに従うことというものだ。
それを聞いた途端目を輝かせて喜んでいたことから余程嬉しかったんだろうなと思ったよ。
まあ無理もないよな、今まで散々酷い目に遭わされてきたんだからさ。
だからこそこれからは幸せになって欲しいと思ってるわけなんだが果たしてどうなることやら……
そんな事を考えながら朝食の準備をするために台所へと向かったのであった。
そして出来上がった料理をテーブルに並べているとちょうど起きてきたらしい彼女が眠そうに目をこすりながらやってきたのを
見て思わず笑ってしまったよ。
「おはよう、よく眠れたか?」
声をかけるとハッとした様子で慌てて姿勢を正すと、元気よく挨拶してくれたのでこちらも笑顔で返すことにした。
そして席に着くように言うと素直に従ったのでそのまま食べ始めることにしたんだが、
その間ずっと緊張した様子だったのでなんだか申し訳ない気持ちになったな。
やっぱりまだ慣れないんだろうと思ってできるだけ優しく接しようと心がけたんだ。
しかしそれでもやはり気になるのか時折チラチラとこちらを見てくる様子が見られた。
どうやらこちらの様子を窺っているようだが、視線が合う度にビクッとなって俯くということを繰り返していた。
その様子を見て苦笑しつつ、食事を終わらせた後に片付けをしている間も終始落ち着かない様子だったので、
落ち着くように言い聞かせてから出かけることにした。
「じゃあ行ってくるからな、大人しく留守番してるんだぞ」
そう言って頭を撫でると気持ち良さそうに目を細めていた。
それを見て思わず笑みが溢れてしまう。
そして最後にもう一度念を押してから家を出たのだった。
外に出ると眩しい日差しが降り注いできたため思わず顔をしかめる羽目になった。
(ううっ……相変わらず朝は苦手だな)
そんなことを思いつつも足を進めていくうちに段々と目が覚めてくるような感覚があった。
そうしてしばらく歩いているうちにようやくギルドに到着することが出来た。
中に入るといつも通りの喧騒に包まれていて、冒険者達が掲示板の前で依頼書を眺めていたり、仲間同士で話し合っていたりと様々な様子が見て取れた。
「よう、遅かったじゃねえか!」
そこで声をかけてきたのは同じ村の出身で幼馴染でもある親友のレオンだった。
彼は既に準備万端といった様子で腰に剣を差しており、いつでも出発できる状態だった。
「悪い、ちょっと寝坊しちまってな……」
苦笑しながら謝ると、彼もまた呆れたようにため息をついた後で肩を竦めてみせた。
「まったく、しっかりしろよな……ほら、早く行こうぜ」
促されたので頷いて返し、二人で連れ立って受付へと向かうことにする。
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