勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる～魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する～

186.

「おっとすまねえ、怒らせるつもりはなかったんだ、許してくれや」
そう言うと再び謝ってくるので、仕方なく許してあげる事にした。
すると今度は別の男が話し掛けてくる。
「それで、お前はどこから来たんだ？」
その質問にどう答えようか迷った末に素直に答えようと決めた。
その方が怪しまれずに済むだろうと思ったからだ。
とはいえ全てを話すわけにもいかないので少し誤魔化しつつ話していくことにしようと思う。
あれから数年の時が流れた現在、俺達は旅を続けていたのだが、ある町で偶然立ち寄った店で見覚えのある人物が働いている。
姿を見かけたのだ。
それは以前助けた少女で名前はリリアと言ったはずだ。
「あら、いらっしゃいませ」
店に入るなり出迎えてくれた彼女だったが、俺の顔を見ると一瞬不思議そうな顔をしたように見えたが気のせいかもしれない。
俺は軽く会釈をすると店内を見渡してみることにした。
するとそこには様々な商品が置かれていた。
中には見たことのないものも多くあり興味深く見ていると、リリアから声を掛けられたのだ。
彼女はこの店の従業員であり店主でもある女性のようだ。
なんでも以前は冒険者だったらしいのだが、怪我が原因で引退を余儀なくされたとのことだった。
そのため今は一人で切り盛りしているらしい。
俺はとりあえず適当なものを注文すると、出された料理を食べながら雑談に興じていた。
彼女と話しているうちにだんだんと打ち解けていき、気がつけば敬語を使うこともなくなっていたほどだ。
それほどまでに彼女とは気が合うという事なのだろうが嬉しかった。
そして楽しい時間はあっという間に過ぎ去っていくもので気が付けば夕方になっていたのでそろそろ帰ろうかと思った時だった。
突然ドアが開き誰かが入ってくる音がしたので振り返ってみるとそこにいたのはアリアだった。
突然入ってきた人物を見て驚くとともに困惑していたところに声をかけてきた人物はなんと王女様だった！？
なんでこんなところにいるのかと驚きつつも慌てて立ち上がり挨拶をすることに。
それにしてもどうして彼女がここにいるのだろうか？
そんなことを思っている間にも話は進んでいくようで成り行きに任せることにしたのだった。
「初めまして、私の名前はレナです。よろしくね」
元気よく挨拶をされたこともありこちらも挨拶を返すことにする。
すると何故かジッと見つめてきていたので不思議に思って見つめていると、いきなり近づいてきて抱きつかれてしまったのだ。
驚いて固まっているうちに唇を重ねられてしまったが、不思議と嫌な気分にはならなかったしむしろ心地良いくらいだった。
やがて満足したのか離れていく際に唾液の糸を引いていたのを見てしまいドキドキしてしまったが、
なんとか平静を装っていると不意に話しかけられた。
そこでようやく我に帰ることができたので返事をしようとしたが上手く喋れなかった。
それを見た少女は心配そうにしていたが、なんとか誤魔化すことに成功したようだった。
その後で自己紹介をしてくれたところで再び固まってしまった。
何故ならその名前を聞いたことがあったからである。
というのもこの国の第一王女の名前だったからだ。
何故こんな所にいるんだろうと思っていると、その理由はすぐにわかった。
何でも国王からの勅命を受けて各地を旅しているらしく、今日はたまたまこの町に立ち寄っていたのだそうだ。
「へえそうなんだ」
と言うと彼女は嬉しそうに微笑んだ後、俺の手を取りながらこう言った。
その言葉を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になってしまった。
なぜならその相手はかつての仲間であったレイナだったからである。
しかも彼女は聖女と呼ばれる存在だったのだ。
驚きのあまり言葉を失っていると、その様子を見ていた周りの人達が一斉に騒ぎ始めた。
それも当然だろう、何せ聖女様が目の前に現れたのだから、しかもただの聖女ではなく、あの伝説の存在である聖女様なのだ。
そんな人物が現れたとなれば大騒ぎになるのは必然であると言える。
そんな周囲の様子などお構いなしといった様子で彼女は言葉を続ける。
「さあ行きましょう！」
そう言われて手を握られたので振り払うわけにもいかず大人しくついていくことにしたのだった……
（ああもうっ！　何なのよコイツらはぁ～！）
心の中で叫びながら苛立ちを募らせていくルティアであったがここで感情的になってはいけないと思い必死に堪えることにしたのだった。
そうして耐え続けること数十分が経過した頃だろうか遂に目的地に到着したようである。
その場所とは何と教会本部内にある大浴場だった！まさかここに連れて来られるとは思ってなかったので
動揺を隠しきれないまま中に入ることになったのだった。
脱衣所に入ると早速服を脱ぎ始める二人を見ながら自分も
覚悟を決めて衣服を脱いでいくことにしたのである。
（うぅ～なんでこんなことになってるのよぅ……）
「あ、あれぇ……？　ここは何処なんだぁ……？」
目が覚めたとき僕は真っ白な部屋に居た、部屋の広さは約20畳くらいで床や壁は全て大理石のような素材で出来ているみたいだ。