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だが、内心はかなりドキドキしていた。
というのも、さっき見た夢のせいだろう。
そのせいで、変な想像をしてしまったせいかもしれない。
そんな事を考えているうちに、彼女は部屋を出ていってしまったようだ。
その後ろ姿を見つめながら、俺は思うのだった。
(やっぱり、あの夢の内容は現実のものだったんだ)
そう思うと同時に、胸が締め付けられるような思いに襲われた。それと同時に涙が溢れ出してくるのを感じた。
嗚咽を漏らしながら泣いているうちに、
いつの間にか眠ってしまったようだった。
目が覚めると、そこは自分の部屋だった。
窓の外からは明るい陽射しが差し込んできているのが見えた。
(あれ? いつの間に帰ってきたんだっけ……?)
一瞬混乱するが、すぐに思い出すことができた。
そう、昨日はルミナスとのデートの後、
そのまま宿に戻って眠りについたんだったな。
それにしても、昨日のことを思い出すと顔が熱くなるのを
感じた。
まさかあんな事になるとは夢にも思っていなかったからだ。
まあ、それはそれとして、今日は何をしようかと
考えることにする。
とりあえず、朝食を食べに行くために部屋を出ることにした。
階段を下りていくと、ちょうどアリアと出くわした。
彼女は俺の顔を見ると嬉しそうに微笑んできた。
それから、二人で食堂へと向かったのだが、
そこで予想外の出来事が起こった。
なんと、そこにいたのはルミナスだった。
彼女は俺達の姿を見つけるなり駆け寄ってくると、
腕に抱きついてきたのだ。
突然のことに戸惑っていると、彼女は上目遣いを
しながら言ってきた。
「おはようございます、ご主人様♡」
その瞬間、周囲からの視線が一斉に突き刺さるのを感じた。
「お、おい、ちょっと……!」
慌てて離れようとするが、彼女はなかなか離してくれない。
それどころかますます強く抱きしめてくる始末だ。
その様子を見ていた周囲の人達がざわつき始めたのが
わかった。
中には嫉妬混じりの視線を送ってくる者もいたが、
大半は驚きの表情を見せていたように思う。
それも無理はないことだろう。
何せ今の彼女はどこからどう見ても美少女にしか
見えないのだから。
しかも、それが自分の主人に対して見せる態度なの
だから尚更である。
そんな光景を見せられて驚かないはずがないだろう。
俺もまた動揺を隠しきれないでいたわけだが、
それ以上に困惑していた人物がいたようだ。
それは他ならぬ俺自身であった。
何故なら、
(何でこんなことになってるんだ!?)
と心の中で叫んでいたからである。
しかし、その一方でこの状況を楽しんでいる自分もいることに
気付いてもいた。
何しろ相手は絶世の美女と言っても過言ではない
程の美貌の持ち主なのだ。
そんな彼女が自分の事を慕ってくれているという
事実だけで興奮を覚えずにはいられなかった。
それに加えて、彼女の柔らかい肌の感触や甘い匂いなどが
伝わってくる度に頭がクラクラしてくるような錯覚に
陥ってしまうほどだった。
そこで一旦冷静になろうと深呼吸を繰り返すことにしたのだが、それでも胸の高鳴りを抑えることは出来なかった。
そればかりか心臓の音が激しくなるばかりで一向に収まる気配が無かったため、諦めて彼女に身を任せることにしたのである。
しばらくされるがままになっていると、ようやく落ち着いたらしく体の震えが止まったような気がした。
そのことに安堵していると、不意に声をかけられたので顔を上げると目の前に彼女の顔があった。
驚いて声を上げそうになったところで唇に柔らかい
感触を感じると共に口の中に何かが侵入してきたのがわかった。最初は何が起こったのか理解できなかったのだが、
しばらくしてキスされているのだと理解した途端一気に顔が熱くなった気がした。
恥ずかしさのあまり顔を背けようとしたが頭を押さえ
つけられているせいで身動きが取れずどうすることも
できなかった。
その間にも舌を差し込まれて口内を
舐め回されて唾液を流し込まれたり歯茎の裏まで
丹念に舐められたりしているうちに頭の中が真っ白に
なっていった。
その間ずっと呼吸困難に陥っていたため息苦しさを
覚えた頃にようやく解放された時にはすっかり息が
上がっていた上に腰砕けになってしまいその場に
座り込んでしまったほどだ。その様子を見ていた
彼女がクスクスと笑ったのを見てムッとする
一方で不覚にも可愛いと思ってしまった。
余計に悔しさが込み上げてきたものの何も言い返せなかった。
「それでは、そろそろ行きましょうか」
俺は立ち上がると、まだ笑っている彼女を睨みつけた。
後でさっさと歩き出した。
後ろからは慌てた様子で追いかけてくる足音が聞こえる。
振り向くと、そこには笑顔のリリアがいた。
その隣には妹であるミリアもいる。
彼女達は俺の前に並ぶようにして歩くと、両側から腕を
絡めてきた。
柔らかな感触が伝わってくると同時に甘い香りに
包まれるような感覚を覚えたことで鼓動が激しくなった
ことを自覚した。
そんな俺のことを見て微笑む二人の顔を見ているうちに
頬が熱くなっていくのを感じた。
きっと赤くなっているに違いないと思い。
それを悟られまいと顔を伏せるようにして歩いたのだった。
目的地に到着するまでの間、終始無言のままだったが、
不思議と気まずさのようなものは感じなかった。
「着きましたよ」
リリアが指差す先には大きな屋敷が見えた。
ここが今日から住むことになる家なのだろうか?
思っていた以上に立派な建物だ。
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