勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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ここはどこだろうかと思っていると横から声が聞こえてきたのでそちらに目を向けると一人の女性がいた。
「目が覚めましたか? 大丈夫ですか?」
と言いながら近づいてきたその人は俺の体を揺すってきた。
誰だか分からないが敵意はないと判断して大人しくされるがままになっているとやがて落ち着いたのか手を放してくれた。
その様子を見ながら周りを見回してみるが知らない場所だという事しか分からなかったので聞いてみることにした。
「えっと、あの、ここは何処でしょうか? それとあなたはどなたですか?」
と問いかけると、目の前の女性は微笑んで答えた。
「ここは町外れにある診療所ですよ、それと私の名前はアリアと言います」
と答えると深々と頭を下げてきたので俺もそれに合わせるように頭を下げた。
すると続けて質問されたので素直に答えることにした。
まず最初に気になったことを聞いてみた。
「あの、アリアさんは俺の事を知ってるんですか? それとも別の誰かと勘違いなさっているのでしょうか?」
それを聞いた彼女は、微笑みながら言った。
どうやら、俺が記憶喪失である事を見抜いているようだが敢えて触れないでくれているようだ、
ありがたかったが申し訳ない気分にもなったので心の中で謝っておくことにした。
それからもいくつか質問をされたが特に怪しまれることはなかったようだ、
だが、いつまでもこうして居るわけにはいかないだろうしどうしたものかと考えていたら彼女の方から話し掛けてきた。
「さて、そろそろ行きましょうか?  お体の方は大丈夫ですか?」
と言われてしまったので、問題ない旨を伝えると安心したのか胸を撫で下ろしていた、
それを見て俺も安堵した。だが、それと同時に罪悪感に襲われたのも事実であった、
なぜなら、彼女の好意を利用してしまっているからだ
だからこそ、なるべく早くここから立ち去らなければならないと思った。
だから早速、彼女に提案する事にした。
(これ以上、迷惑をかけるわけにもいかないからな)
そう思い意を決して切り出す事にした。
そして俺は、彼女に頭を下げてお願いをする事にした。
すると彼女は快く承諾してくれた上に案内までしてくれたのだった。
正直言ってとても有難かったし感謝していたんだがここで一つ問題が発生してしまったのだ。
それはなんと宿が無いということだ。
まさかこんな事になるなんて思ってもみなかったよ、
どうしようかと思っていた時に救世主が現れたんだ。
「おや、君はもしかして……勇者パーティーの僧侶じゃないかい?」
そんな声が聞こえてきて振り向くとそこには一人の男が立っていた。
彼はこちらに近づいてくるといきなり手を掴んできたんだ!
驚いた俺は咄嗟に振り解こうとしたんだけどびくともしなかったんだよ。
そこで気づいたんだこの人はただの人間じゃないってね。
でもその時にはもう遅かったみたいで完全に身動きが取れなくなってしまっていたんだ。
その間にどんどん距離を詰められていってとうとう抱きつかれてしまったんだ。
その瞬間全身に鳥肌が立ち嫌悪感に支配された俺は必死で抵抗したんだけど無駄だったっていうか全く効かなかったんだよね、
おまけに舌まで入れられちゃったしもう最悪としか言いようがなかったよね、
まあ、その後は無事に解放されて解放された後に聞いた話なんだけどこの人、いやこいつかな?
まあいいやどっちでもいいんだけどこいつは例の変態貴族だってことが分かったからそのまま逃げようかと思ったんだけど
逃げられそうにないから諦めておとなしくする事にしたんだよね、
そしたらさ、いきなりキスしてきたから思わず殴っちゃったんだよね、
当然の如く怒ったあいつだけどそんな事知ったことじゃないから無視し続けたらなんか勝手に帰っていったから助かったけど
また来るんだろうなと思うと憂鬱になるよな。
「はぁ……」
ため息が出るくらい嫌で仕方ないが我慢するしかないんだよな、そんな事を考えながら日々を過ごしているとついにその日がやってきた。
案の定、やってきたわけだが、やっぱりというかなんというか予想していた通りの展開になってしまったわけなんだが、
それでも抵抗する事は止めない、だって気持ち悪いんだもん仕方がないだろ?
そう思って必死に抵抗するも無駄に終わってしまったようで結局押し倒されてしまう形になってしまったのだが、
「お初にお目にかかります、私は魔王様の忠実なるしもべにして四魔将の一人、ベルフェゴールと申します、以後お見知りおきを、
それにしてもとても美しい御方ですね、惚れてしまいそうですよ。
ところでリュート様はどのような女性が好みなのですか?よろしければ私が教えて差し上げますよ、
さあ遠慮せずに教えてください、ほら早く早く早く!」
ぐいぐい顔を近づけてくるベルフェゴールに対して俺は顔を背けて距離を取ろうとするが、それを許してくれるような相手ではなかった。
あっという間に詰め寄られてしまう、そして耳元で囁かれるたびに背筋がゾクッとする感覚に襲われる、
(まずいな、このままでは不味いぞ)
「お父上がお待ちです、どうぞこちらへ」
(え、ちょ待てよ待ってくれまだ心の準備が整ってないのに勘弁してくれよマジで無理なんだって
頼むから逃げたいんだって分かってくれよぉ~)
そんな願いも虚しく連れて行かれてしまうのだった、
(ちくしょう、どうしてこんなことになっちまってるんだ)
そう思いながら渋々ついていくことにするのだった。
(とりあえず今は様子を見るか)
そう思いながら歩いているうちに目的地に着いたようだ。
中に入るように促されたので中に入ることにした。
中へ入るとそこは大広間になっており奥の方には玉座が置かれていた。
そしてその前には誰かが立っているのが見えた、おそらくあの人が父親なのだろうと思って見ていると、
どうやら向こうもこちらに気づいたらしく歩み寄ってきた、
そして目の前で立ち止まると言った。
「よく来てくれたね、待っていたよ、さぁ、もっと近くへおいで」
そういって手を広げてきたので俺は言われたとおりにする事にした。
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