勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる～魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する～

一ノ瀬　彩音

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相手は人間ではないとはいえ、外見上は美少女にしか見えないわけだし、そんな相手に微笑みかけられたら誰だって動揺するだろう。
俺だって男だし、そういう感情を抱かないわけじゃないからな。
しかし、すぐに我に帰ると頭を振って雑念を振り払った。
いかんいかん、集中しなければまた失敗するかもしれないぞ！
そう思って気持ちを切り替えようとするもなかなか上手くいかないもので、結局この日も失敗してしまい落胆することになったのだった。
そんな日々が続いたある日のこと、いつものように稽古をしている最中のことだったのだが、
突然足元が大きく揺れたかと思うと地面に亀裂が入り始めたではないか！
何事かと思って振り返るとそこには巨大な穴が口を開けていた。
（しまった……）
そう思った時にはもう手遅れだった。
あっという間に飲み込まれてしまいどうすることもできずにいる内に意識を失ってしまったらしい。
気がつくと見知らぬ場所に倒れていた。
辺りを見回してみるも真っ暗で何も見えない状態だったがそれでもここが洞窟の中だということだけは理解できた。
一体どうしてこんな所にいるのか思い出してみることにする。
確か昨日はいつも通り部屋で寝ていたはずだよな？
「ということは夢でも見ているのか……？」
そんな呟きを漏らしていると、ふいに目の前にぼんやりと光る球体が現れた。
驚いて声を上げそうになったが、なんとか堪えることに成功すると、そのままじっと観察してみた。
最初は蛍かと思ったが、よく見ると微妙に違う気がする。
それになんだか動いているようにも見えるんだが気のせいだろうか……？
しばらく様子を見てみたが特に変化はなかった。
それどころかこちらに近づいてくるような気配すらあるような気がするんだけど大丈夫なのかこれ？
なんか嫌な予感しかしないんだが。
そんなことを考えているうちに目の前までやってきたそいつはいきなり話しかけてきた。
「初めまして、主様。どうか私の願いを聞き届けて頂きたいのですがよろしいでしょうか？」
その言葉に思わず顔を顰めてしまったが、向こうは特に気にしていないようだった。
それにしても口調といい態度といいまるで機械と話しているような気分だなこれは。
とりあえず返事はしておいた方が良いだろうと思い、返事をすることにした。
正直言って面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだったが、放っておくわけにもいかないだろうしな。
というわけで話を聞くことにしたわけだが、果たしてその内容はどんなものだったのかというと、要約するとこういうことだった。
まず、こいつは自分の事を使い魔だと名乗った。
そして、自分はとある人物に仕えるために生み出された存在であり、
その人物のために力を貸して欲しいと頼まれたのだという。
「つまり、俺にお前の主人の代わりになれってことか？」
俺が尋ねると、そうだと答えた。
正直な所、あまり乗り気ではなかったのだが、他に頼れる相手もいないということだったので仕方なく引き受けることにした。
そうして始まった共同生活であったが、最初の頃は苦労の連続だった。
何せ相手は人の姿をした別の生き物なのだ。
食事をするにしても、服を与えるにしても、風呂に入れるにしても、何をするにもいちいち説明が必要だった上に、
常識や価値観の違いなども大きかったため衝突することもしばしばあった。
おまけに言葉遣いも独特で、こちらが理解出来ないことも多々あり、
その度に頭を抱えることになったが、最近は少しずつ慣れてきたこともあり何とかやっていけるようになった気がした。
もっとも、油断しているとボロが出そうになることもあるため油断はできないけどな。
そう思いながら今日も一日が始まるのだった。
朝食を済ませた後、街に出る準備をする為に部屋に戻ると手早く着替えを済ませた後に鞄を手に取り部屋を出た。
外に出ると日差しが強く照りつけてきたが気にせず歩いていくことにした。
暫く歩いているとやがて目的の場所が見えてきたので立ち止まると、看板に書かれた文字を読み上げる。
そこにはこう書かれていた。
『冒険者ギルド』と。
扉を開けて中に入ると受付へと向かうことにした。
窓口には綺麗なお姉さんが立っていた。
金髪碧眼で巨乳である。
「ようこそ、本日はどのようなご用件でしょうか？」
にこやかに微笑んでいる彼女に見惚れそうになるのを堪えつつ要件を伝えることにした。
「えっと、冒険者登録をしたいんですけど……」
そう言うと彼女は一枚の用紙を取り出して渡してきた。
そこに必要事項を記入するよう言われたので言われた通りにすることにする。
名前、性別、年齢、種族、職業などを書く欄があったので順番に埋めていった。
書き終えたものを渡すと確認してもらうことになるので少し待つことになった。
その間暇だったので周囲を見回してみると、他にも何人か人がいることが分かった。
彼らは皆武装しており、腰に剣を下げている者や杖を持っている者など様々な姿格好をしていたが、共通している点があった。
それは全員が若く、美しい女性ばかりだったということだ。中には男性もいることにはいるのだが少数派のようだった。
（やっぱり女の人しかいないんだな……）
と改めて思ったものの別に不思議なことではないと考え直すことにした。
なぜならここはギルドと呼ばれる施設だからだ。
ここでは依頼を受けたり報酬を受け取ったりすることが出来るらしく、冒険に必要な物を手に入れるためには必須の場所となっているらしい。
だから男よりも女の方が多いのは当然のことだと言えるだろう。
現に俺も今は女の体になっているわけだしな……などと考えながら待っている間に他の人たちを観察してみる事にした。

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