勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

文字の大きさ
上 下
99 / 236

99.

しおりを挟む
「それは」
「誰がこんな惨い事を」
「アンタね」
そう叫ぶとリリア達は剣を抜く。
「あら、勘違いされては困るわ、私では無いだから」
ニーナの声が仲間の耳に届いてしまう。
「止めろ」
俺は小声で気づいたらそう叫んでいた。
それを聞いたリリア達が俺を見る。
「魔王様、どういう事ですか?」
リリア達を見る事が出来ない。
気まずい雰囲気が流れる中、不意に声がかかる。
「見つけたぞ!」
その声は聞き覚えがあった。
振り返るとそこには元仲間の僧侶の姿があった。
彼は俺に気付くなり駆け寄ってきたかと思うと、いきなり殴りかかってきたのである。
咄嗟に避けることが出来たものの、もし当たっていたらと思うとゾッとしてしまう。
(どうしてここに)
そう思っている間にも次々と攻撃してくるため、反撃する事ができないまま防戦一方になってしまう。
このままではまずいと思った時、今度は別の方向から声が聞こえてきたのだった。
見るとそこにいたのは戦士だった。
彼の姿を見た瞬間、恐怖で身体が震えだすのを感じた。
「貴様らぁぁぁぁ、嵌めやがったな」
二人の怒号が響き渡る。
もう何がなんだか分からない状況だったが、一つだけ言えることがあるとすれば、俺達は完全に追い詰められたということだ。
しかも、状況は最悪と言っていいだろう。
何故なら、こちらは既に満身創痍の状態であり、対して相手は無傷なのだから。
そんなことを考えているうちに、奴らはゆっくりとこちらに近づいてくるのが見えた。
もう逃げられないと思った俺は、最後の望みをかけてこう言った。
「なぁ頼むよ、見逃してくれよ、俺達が悪かったからさ」
と懇願するように言ったのだが、彼らは全く聞く耳を持たずこちらに向かってくるだけだった。
こうなったら戦うしかないと思い構えを取ったのだが、その瞬間背後から声をかけられた。
振り向くと、そこに立っていたのは俺の仲間達であった。
「魔王様お逃げください、ここは我々が食い止めます」
リリアがそう言い残して前に出ると、それに続くように他の三人も同じ様に前に出た。
それを見た俺は慌てて止めるように言うが、彼女達は決して譲ろうとはしなかった。
その間に、敵の二人が攻撃を仕掛けてくる。
それに対して、四人は見事な連携で迎え撃った。
だが、敵は予想以上に強く、次第に押され始める。
俺はそれを見て、居ても立っても居られず助けに入ることにした。
だが、その前に一つ確認しなければならないことがあったため、一旦立ち止まると後ろを振り返った。
すると、案の定と言うべきか、予想通りの展開になっていた。
ニーナが楽しそうに笑いながら、こちらを眺めていたのだ。
(まったく……この人は)
心の中で呆れていると、突然後ろから抱きつかれたような感触を覚えたので驚いて振り返ると、
そこにはいつの間にか現れたのかニーナが立っていたのだ。
そして、そのまま腕を首に回されてしまい身動きが取れなくなってしまったのである。
(一体何をするつもりだ)
そう思った次の瞬間には唇を奪われていたのだった。
そして唇をかまれる。
「つううう」
「馬鹿な男、仲間に追放されて、しかも、新しい仲間スラ貴方は助けられない、魔王・クロードの息子なのにね」
そう言って、笑う彼女。
その目は狂気に満ちているように見えた。
俺は背筋が寒くなるのを感じると、とっさに距離を取ろうとしたが遅かった。
そのまま押し倒されてしまう。
馬乗りになられた状態で動けない俺を見て、彼女は妖艶な笑みを浮かべると、舌なめずりをした。
その姿に怖気が走る。
そのまま、思いっきり体を蹴飛ばしてなんとか、逃げ出せば
「ちっ、魔王の生き血を啜れば、不老不死に成れると聞いたのに」
舌打ちしながら、立ち上がる彼女から逃げる為に必死に走るが、すぐに追いつかれてしまった為、
殴られそうになった所を間一髪で避けたが、その際にバランスを崩して倒れてしまったところを押さえつけられてしまった。
抵抗しようとしたが無駄だったと言うより出来なかったという方が正しいかもしれないぐらい力の差があり過ぎる上に、
そもそも男と女では筋力が違うのだから当然の結果とも言えるだろうが、それから、服を脱がそうとしてきたところで我に返った。
そこで、俺は思わず叫んでしまった。
それを聞いて一瞬驚いた顔をした後、ニヤリと笑うと耳元で囁いた。
「大丈夫よ、優しくしてあげるからね」
その言葉を聞いた途端、背筋に悪寒が走った気がした。
それと同時に恐怖を感じた俺は必死になって抵抗するが、それも虚しく終わると、あっという間に裸にされてしまった。
恥ずかしさのあまり顔が真っ赤になるのが分かったが、それとは対照的に彼女は嬉しそうだ。
その様子を見てますます恥ずかしくなった俺は顔を背けようとしたが、
顎を掴まれ無理矢理正面を向かされてしまう。
そして、再びキスされたと思ったら舌が口の中に入ってきて絡みついてきた。
歯茎の裏や上顎などを舐めまわされた後、舌を吸われたり甘噛みされたりしているうちに頭がボーっと
してきて何も考えられなくなるほど気持ち良くなってしまっていた。
しばらく堪能した後、ようやく解放された時には息も絶え絶えになっており、その場に座り込んでしまうほどだった。
そんな俺を見下ろしながら、ニーナは言った。
「ふふ、可愛いわね、でもまだこれからよ」
俺は切り刻まれそうになり、慌ててよける。
「くっ、卑怯だぞ!」
俺が叫ぶと、ニーナは余裕の表情で言った。
「何を言っているの?これは戦いなのよ、どんな手を使ってでも勝つ、それが常識でしょ?」
確かにその通りなのだが、納得できないものはできなかった。
すると、今度は魔法を放ってきた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者パーティー追放された解呪師、お迎えの死神少女とうっかりキスして最強の力に覚醒!? この力で10年前、僕のすべてを奪った犯人へ復讐します。

カズマ・ユキヒロ
ファンタジー
解呪師マモル・フジタニは追放された。 伝説の武器の封印を解いたあとで、勇者パーティーに裏切られて。 深い傷と毒で、死を待つばかりとなったマモル。 しかし。 お迎えにきた死神少女との『うっかりキス』が、マモルを変えた。 伝説の武器の封印を解いたとき、体内に取り込んでいた『いにしえの勇者パーティー』の力。 その無敵の力が異種族異性とのキスで覚醒、最強となったのだ。 一方で。 愚かな勇者たちは、魔王に呪いを受けてしまう。 死へのタイムリミットまでは、あと72時間。 マモル追放をなげいても、もう遅かった。 マモルは、手にした最強の『力』を使い。 人助けや、死神助けをしながら。 10年前、己のすべてを奪った犯人への復讐を目指す。 これは、過去の復讐に燃える男が。 死神少女とともに、失ったはずの幼なじみや妹を取り戻しながら。 結果的に世界を救ってしまう、そんな物語。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

スキルハンター~ぼっち&ひきこもり生活を配信し続けたら、【開眼】してスキルの覚え方を習得しちゃった件~

名無し
ファンタジー
 主人公の時田カケルは、いつも同じダンジョンに一人でこもっていたため、《ひきこうもりハンター》と呼ばれていた。そんなカケルが動画の配信をしても当たり前のように登録者はほとんど集まらなかったが、彼は現状が楽だからと引きこもり続けていた。そんなある日、唯一見に来てくれていた視聴者がいなくなり、とうとう無の境地に達したカケル。そこで【開眼】という、スキルの覚え方がわかるというスキルを習得し、人生を大きく変えていくことになるのだった……。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

処理中です...