上 下
71 / 236

71.

しおりを挟む
そのことに安堵していると、後ろから声をかけられたような気がしたので振り返ってみるとそこには見知った顔が並んでいたので驚いたが、
よく見るとその中には先程出会った男の姿もあったので納得したのだった。
おそらく彼らも同じ目的のためにやって来たのだろうと思ったのだが、一応聞いておくことにしたのだった。
私が返事をするよりも早く男が口を開きました。
どうやら、私のことを勧誘しようとしているようで、どうしたものかと考えていると、
突然横から手が伸びてきて私の肩を掴むと引き寄せられてしまいました。
何事かと思ってそちらを見ると、そこにいたのはアリアでした。
「すみませんが、お断りさせていただきます」
そう言って頭を下げる彼女を見た男は呆気に取られたような顔をしていましたが、
すぐに気を取り直したのか再び話しかけてきましたが
それも無駄に終わります。
何故なら、いつの間にか後ろに回り込んでいたエルナによって、拘束されてしまっていたからです。
身動きが取れなくなった状態で呆然とする男を置き去りにして、私達はその場を立ち去ることにしました。
後ろで何やら喚いている声が聞こえましたが無視して立ち去りました。
とりあえずは一件落着といったところでしょうか?
さて、それでは次にやることを済ませてしまいましょう。
そう考えた私は、二人を誘って町の外れにある廃屋へと向かうことにしたのでした。
そこには以前から目をつけていた人物が住んでいるのですが、今日こそはその力をいただくことにしようと思っていたのです。
町の中心部から離れた場所にあるその場所にやってきた私達三人は目的の場所の前に立つと、
扉をノックしてみたところ中から返事があったので扉を開けてみることにする。
そこには若い女性の姿があった。
「あのー……どちら様ですか?」
不安そうな表情で尋ねてくる彼女に自己紹介をする私ですが名前を言った途端不思議そうな顔をされてしまいます。
そこですかさず説明することにしますが、やはり信じてもらえないようで困ってしまいましたが、
なんとか理解してもらうことができてホッと胸を撫で下ろしていると今度は向こうから質問されて戸惑いながらも答えていくうちに
段々と打ち解けることができてきたような気がして嬉しかったです。
やがて話が一段落したところで話題を変えるためにも早速本題に入るとしましょうと
考えた末にこう切り出すことにすることに決めたのでさっそく実行に移すことにするのでした。
アリア達を連れてきたのは言うまでもなく新しい仲間を探すためである。
とはいえ今の状態に不満があるわけではないし、むしろ充実しているので今のところ必要だと感じていないだけだとも言えるだろうと思っているのだ。
そのため彼女達にも自由に生きて欲しいと願っているわけだがそれが難しいということも理解しているつもりだし
なにより、本人達が望んでいることでもあるわけでそれならいっそ全員で暮らしてみるというのも悪くないのではないかと考えている次第なのである。
まあ本音としては単純に女の子に囲まれて過ごしたいだけなんだけどねぇ、だって男の子だもん仕方ないよね。
というわけで俺は思い切って提案することにしたのだった。
「ねえ、みんなさえ良ければだけどみんなで一緒に暮らしてみるっていうのはどうかな?」
俺の言葉に三人とも驚いて固まってしまったようだ。
無理もないことだとは思うがいつまでもこのままではいられないだろうしそろそろ行動に、移すべきだろうと考えた結果の発言だったんだけどな。
どうやら効果てきめんだったようだなと思いながら、反応を窺っていたんだがどうも様子が変だなと思った瞬間だった。
いきなり泣き出してしまったのだ。
なんで泣いているのかわからない俺は狼狽えることしか出来なかったがしばらくして、
落ち着いた頃を見計らって話を聞いてみたところどうやら嬉し泣きだったらしいことが、判明することになったわけなんだが、
そんなことを聞かされて悪い気がするはずもなくこっちも嬉しくなってしまったものだ。
「ありがとうございます……嬉しいです……!」
そんな涙混じりの声にますます照れてしまった俺だが、それを誤魔化すように彼女の頭を撫でてやると、
嬉しそうに微笑んでくれたのを見て安心したものである。
ちなみにニーナも同じように喜んでくれていたみたいだったが、こっちは素直でいい娘だなぁとつくづく思ったよ。
そんなこんなでしばらく抱き合っていたのだが少し冷静になった途端に恥ずかしくなってきたので、
離れることにしたのだがその際に寂しそうな顔をされてしまったので、罪悪感を覚えつつも我慢することにすると、今度こそ話の続きに戻ることにしたのだ。
改めて確認するまでも無く全員が乗り気のようで何よりだと思った俺だったのだが、ここで一つの問題が発生していることに気づいた。
俺は頭を抱えたくなっていたわけだけどな、
そもそもの話として、根本的な部分から解決しなければならない問題があるということに今更ながら、気づいてしまったのだ。
(まさかここまできて、こんなことを悩むことになるとは……)
思わず溜息が出そうになるがグッと堪えることに成功した俺は、意を決して話しかけることにする。
だがその前に一つだけ確認しておかなければならないことがあったため、
まずはそこから聞くことにすることにしたんだ。
そうすれば何かわかるかもしれないと思ったからな。
「なあ、一つ聞いてもいいか?」
俺が声をかけると三人揃って不思議そうにしていたが構わず続けることにしたんだ。
「お前達って普段何を食べてるんだ?」
その問いかけに対する答えは予想の斜め上を行くものだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります

まるせい
ファンタジー
クラスごと集団転移させられた主人公の鈴木は、クラスメイトと違い訓練をしてもスキルが発現しなかった。 そんな中、召喚されたサントブルム王国で【召喚者】と【王候補】が協力をし、王選を戦う儀式が始まる。 選定の儀にて王候補を選ぶ鈴木だったがここで初めてスキルが発動し、数合わせの王族を選んでしまうことになる。 あらゆる危険を『危険察知』で切り抜けツンデレ王女やメイドとイチャイチャ生活。 鈴木のハーレム生活が始まる!

無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった

さくらはい
ファンタジー
 主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ―― 【不定期更新】 1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。 性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。 良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。

勇者パーティー追放された解呪師、お迎えの死神少女とうっかりキスして最強の力に覚醒!? この力で10年前、僕のすべてを奪った犯人へ復讐します。

カズマ・ユキヒロ
ファンタジー
解呪師マモル・フジタニは追放された。 伝説の武器の封印を解いたあとで、勇者パーティーに裏切られて。 深い傷と毒で、死を待つばかりとなったマモル。 しかし。 お迎えにきた死神少女との『うっかりキス』が、マモルを変えた。 伝説の武器の封印を解いたとき、体内に取り込んでいた『いにしえの勇者パーティー』の力。 その無敵の力が異種族異性とのキスで覚醒、最強となったのだ。 一方で。 愚かな勇者たちは、魔王に呪いを受けてしまう。 死へのタイムリミットまでは、あと72時間。 マモル追放をなげいても、もう遅かった。 マモルは、手にした最強の『力』を使い。 人助けや、死神助けをしながら。 10年前、己のすべてを奪った犯人への復讐を目指す。 これは、過去の復讐に燃える男が。 死神少女とともに、失ったはずの幼なじみや妹を取り戻しながら。 結果的に世界を救ってしまう、そんな物語。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

器用さんと頑張り屋さんは異世界へ 〜魔剣の正しい作り方〜

白銀六花
ファンタジー
理科室に描かれた魔法陣。 光を放つ床に目を瞑る器用さんと頑張り屋さん。 目を開いてみればそこは異世界だった! 魔法のある世界で赤ちゃん並みの魔力を持つ二人は武器を作る。 あれ?武器作りって楽しいんじゃない? 武器を作って素手で戦う器用さんと、武器を振るって無双する頑張り屋さんの異世界生活。 なろうでも掲載中です。

神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~

雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。

パーティーを追放された落ちこぼれ死霊術士だけど、五百年前に死んだ最強の女勇者(18)に憑依されて最強になった件

九葉ユーキ
ファンタジー
クラウス・アイゼンシュタイン、二十五歳、C級冒険者。滅んだとされる死霊術士の末裔だ。 勇者パーティーに「荷物持ち」として雇われていた彼は、突然パーティーを追放されてしまう。 S級モンスターがうろつく危険な場所に取り残され、途方に暮れるクラウス。 そんな彼に救いの手を差しのべたのは、五百年前の勇者親子の霊魂だった。 五百年前に不慮の死を遂げたという勇者親子の霊は、その地で自分たちの意志を継いでくれる死霊術士を待ち続けていたのだった。 魔王討伐を手伝うという条件で、クラウスは最強の女勇者リリスをその身に憑依させることになる。 S級モンスターを瞬殺できるほどの強さを手に入れたクラウスはどうなってしまうのか!? 「凄いのは俺じゃなくて、リリスなんだけどなぁ」 落ちこぼれ死霊術士と最強の美少女勇者(幽霊)のコンビが織りなす「死霊術」ファンタジー、開幕!

処理中です...