勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

文字の大きさ
上 下
68 / 236

68.

しおりを挟む
俺は、アリアが以前所属していた冒険者のパーティーの話をする事にした。
と言っても、俺が話せる事なんて少ないのだが……。
まず最初に話したのが、俺がリーダーを務める事になった経緯についてだった。
あれは、アリアが仲間になって間もない頃のことだった。
~数日前~
ある日のこと、冒険者ギルドから呼び出しがあった。
なんでも依頼したい事があるらしいのだが……その内容を聞いて驚いた。
なんと討伐の依頼だというのだから、正直言って不安しかなかったが、受けることにした。
その理由としては二つあった。
一つ目は報酬額の高さである。
通常であれば、Cランク程度の魔物退治でもかなり危険な任務になることが多いため、
リスクが高い上に成功率も低いと言われているにもかかわらず、
今回はAランク以上の案件なのだという。
つまりそれだけ強敵ということだ。
恐らくはSランクに近い実力があるのではないだろうか?
(まぁ、いざとなれば逃げるだけだしな)
そんなことを考えているうちに目的の場所に着いたようだ。
そこは森の中にある小さな小屋だった。
ここが今回の討伐対象がいるという洞窟の入口だそうだ。
中に入る前に準備を整えることにする。
武器や防具、アイテムなどを確認し終えるといよいよ中に入っていくことになった。
しばらく進むと広い空間に出たのでそこに足を踏み入れた瞬間、視界が真っ白になった。
(まずいっ!)
そう思った時には既に手遅れだった。
気がつくと地面に倒れ込んでいた。
周りを見回すと仲間達も同じように倒れているのが見えた。
すると、どこからか声が聞こえてきた。
見るとそこには一人の女性が立っていた。
見た目は人間に見えるがそうではないことはすぐにわかった。
何故なら、背中に黒い翼が生えており、頭には角のようなものが生えていたからだ。
彼女はこちらを見てニヤリと笑うと話しかけてきた。
「ようこそおいでくださいました、我が主よ」
それを聞いて、私達は身構えた。
(こいつが魔王の娘か!?)
そう思いつつも相手の出方を伺っていると、彼女はこう言ったのだ。
「そう警戒しないでください」
そう言って彼女は微笑んだ。
それを見て安心したのかニーナ達は安心したように胸を撫で下ろすと彼女に質問を投げかけたのだ。
「貴女の名前は何ていうのかしら?」
その言葉に彼女は答える。
「私の名はルシフェルと言います」
そう言って彼女は頭を下げた。
どうやら悪い人ではないようだが油断はできないと思った。
俺は彼女に向かって話しかけることにした。
「君は一体何者なんだ?」
そう尋ねると彼女はこう答えたのだ。
それを聞いた俺は唖然としてしまったがすぐに気を取り直して問いかけることにした。
「君は何者なんだい?」
俺がそう聞くと、少女は一瞬キョトンとした顔をした後、自己紹介を始めた。
どうやら、自分は魔王の娘であり、名前はアリシアと言うそうだ。
(魔王の娘だと?)
それを聞いた俺は驚きを隠せなかった。
まさか、魔王の娘がこんな所にいるとは思わなかったのだ。
だが、同時に納得もしていた。
なぜならば、彼女のステータスを覗いた時に表示された種族が「悪魔」となっていたからだ。
(そうか、そういうことだったのか……)
彼女の正体が分かった俺は納得した。
確かに、彼女の持つ魔力量はかなりのものだった。
(これならあの強さにも納得がいくな)
そう思いながらも疑問が解決したのでスッキリした気分になっていたのだが……まだ終わりではなかったようだ。
今度はアリアが尋ねてきた。
そして彼女が口にした言葉は予想外のものだった。
私は思わず聞き返してしまったが、もう一度言われてようやく理解した。
それはアリシアさんの正体だった。
(そうか、そういう事だったのか……)
私は心の中で呟いた。
私が黙っているのを見てアリシアさんは心配そうに声をかけてきた。
私は慌てて返事をすることにする。
それにしてもこの格好のまま街に行くわけにはいかないだろうと思い声をかけることにする。
しかしアリシアさんは首を横に振ると言った。
そして続けて言うにはこのままの姿で行きたいということだったので結局行くことに決まったのだった……
~数分後~
(うぅ……やっぱり恥ずかしいよぉ……)
そう思いながらも我慢するしかないので諦めて従うことにする。
それに今はそんなことを気にしている場合じゃないしね。
まずは情報を集めないと、そのためにも情報収集ができる場所に行かないと、
そう思いながら歩いていくと大きな建物が見えてきたので近づいてみることにする。
するとそこには沢山の人がいて賑わっていた。
(うわぁ凄いな)
俺はその光景を見て驚いていた。
こんなにたくさんの人がいるのを見たのは初めてだったからだ。
(流石は王都だな)
感心していると、突然後ろから声をかけられた。
振り返るとそこには一人の男が立っていた。
彼は俺の顔を見るなり話しかけてくる。
どうやら俺のことを探していたらしい。
話を聞くと、どうやら俺に用があるみたいだ。
(一体何の用だろうか?)
不思議に思っていると、男は一枚の紙を差し出してきた。
そこにはこう書かれていた。
『貴方の力が必要です。是非とも我々に協力してください』
それを見て俺は驚くと同時に戸惑った。
(これはどういうことなんだ?)
そう思っていると、突然後ろから声をかけられた。
振り返るとそこには一人の少女がいた。
どうやら彼女の用件は私にあるらしい。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者パーティー追放された解呪師、お迎えの死神少女とうっかりキスして最強の力に覚醒!? この力で10年前、僕のすべてを奪った犯人へ復讐します。

カズマ・ユキヒロ
ファンタジー
解呪師マモル・フジタニは追放された。 伝説の武器の封印を解いたあとで、勇者パーティーに裏切られて。 深い傷と毒で、死を待つばかりとなったマモル。 しかし。 お迎えにきた死神少女との『うっかりキス』が、マモルを変えた。 伝説の武器の封印を解いたとき、体内に取り込んでいた『いにしえの勇者パーティー』の力。 その無敵の力が異種族異性とのキスで覚醒、最強となったのだ。 一方で。 愚かな勇者たちは、魔王に呪いを受けてしまう。 死へのタイムリミットまでは、あと72時間。 マモル追放をなげいても、もう遅かった。 マモルは、手にした最強の『力』を使い。 人助けや、死神助けをしながら。 10年前、己のすべてを奪った犯人への復讐を目指す。 これは、過去の復讐に燃える男が。 死神少女とともに、失ったはずの幼なじみや妹を取り戻しながら。 結果的に世界を救ってしまう、そんな物語。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

処理中です...