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(どうしよう……)
そう思いながらも意を決して話しかけることにする。
俺が返事をすると、彼女はほっとした表情を浮かべた後に話し始めた。
(それにしてもこの子、綺麗だなぁ)
そう思いながらも彼女の話を聞くことにする。
だが、不意に違和感を覚えてしまった。
(あれ?)
何かが変だと思ったがそれが何なのかまではわからなかった。
俺が困惑していると、その様子に気付いたのか、彼女も不思議そうな顔をしていた。
それからしばらくして、やっと違和感の正体に気づいた。
(そうか!)
そう、声が違うのだ。
普段の声よりも高いような気がする。
(まあ、気のせいかもしれないけど)
そう思いながらも俺は恐る恐る尋ねてみることにする。
「えっと、君は……誰だっけ?」
それを聞いた少女はきょとんとした顔をしていたがすぐに笑顔になると答えてくれる。
「あら、ごめんなさいね。私ったらまだ名乗っていなかったわね」
そう言うと姿勢を正して名乗る。
「私はアリシアっていうのよろしくね♪」
あっけらかんとした態度で言うものだから反応に困ってしまう……。
アリシアさんはニコニコしながら俺のことを見ているのでなんだか落ち着かない気持ちになるのだがなんとか堪えて冷静に考えることにする。
(さてどうしたものかな?)
俺は思案するが結論が出ないうちにアリシアさんが先に話し始めてしまう。
そしてこう言ってきたのだ。
「ねえ、せっかくだし今から遊びに行かない?」
俺は断ろうと思ったがその前にニーナが反応したので任せることにした。
ニーナはしばらく悩んだ後でこう言った。
アリシアさんの言葉にしばらく悩んでいたニーナだったが、やがて意を決したのか俺の方を見てきた。
どうやら俺に決めてほしいようだ。
ニーナの視線を受けた俺は頷くと、ニーナに伝えることにした。
アリシアさんの誘いを受けることにした俺達は屋敷を後にすることにした。
~数分後~
馬車に乗って街を出た俺達を待っていたのは一面に広がる草原だった。
見渡す限り何もない風景が広がる中、アリシアさんの楽しそうな声が響く。
その声に釣られて振り返るとそこには満面の笑みを浮かべる美少女の姿があった。
(うん、可愛いな)
心の中で呟くが、口には出さない。
というのも下手に口説いてしまうと後々面倒なことになりかねないからである。
なので、俺は敢えて何も言わないことにした。
だが、それでも彼女の美しさは伝わってくる。
肌は白く透き通っていて、それでいてきめ細かい肌をしていた。
髪は長く伸ばされていて、風に靡く度にサラサラと音を立てている。
瞳の色は金色で吸い込まれそうなほど綺麗だった。
そんな彼女を見ていると、不思議と心が安らいでいくのを感じた。
(不思議なものだ)
今までずっと一人で過ごしてきたはずなのに、どうしてこうも安心感を覚えるのだろうか?
それはきっと、彼女の人柄による部分が大きいのだろうと思う。
(俺も、変わったな……)
昔は他人に対して興味を持つことなどほとんど無かったというのに、今では彼女達と一緒にいることが当たり前になっているの
だから自分でも驚くばかりだ。
そんなことを考えながら歩いていると目的地に到着したようで、そこでようやく我に返った俺は慌てて取り繕うように言った。
だが、そんな俺の態度を見て、何故か笑われてしまった。
そして、俺は釈然としない気持ちを抱えたまま、先を歩く二人を追いかけていくのだった……
(はぁ……)
溜め息が出る。理由は簡単、アリアがまだ元に戻っていないからだ。
しかし、ここで嘆いていても仕方がないのでとりあえずは現状を受け入れることにした。
俺はアリアに話しかけることにした。
「なあアリア」
すると彼女はこちらを振り向くと首を傾げるような仕草をする。
「どうしたの?」
俺は彼女に向かって手を伸ばすと、そのまま抱き寄せた。
「ちょっ、ちょっと何するのよ!?」
最初は抵抗していたが、次第に大人しくなっていった。
俺はそのまま彼女を抱きしめると耳元で囁いた。
彼女はビクッと体を震わせると顔を真っ赤に染め上げていた。
そのまま黙り込んでしまった。
「あ、ごめん」
俺は謝ると彼女を離した。
すアリアはそのまま俯いてしまった。
俺はその様子を不思議に思いながらも、改めて彼女を見つめると、その姿はとても可愛らしく見えた。
俺はアリアの頭に手を乗せると優しく撫でた。
アリアは気持ちよさそうに目を細める。
その姿を見ていると、つい頬が緩んでしまう。
だが、その時だった。
突然、後ろから声をかけられたのである。
声がした方を見ると、そこにはアリアと同じくらいの年齢の少女が立っていた。
「こんにちは、あなたが噂に聞く英雄様ですか?」
そう言われて、俺は頷くことしかできなかった。
どうやらこの子はアリアの知り合いのようだ。
アリアの方を見ると、少し困った表情を浮かべている。
どうやら、あまり聞かれたくない話らしい。
だが、その願いは叶わなかったようだ。
「あの、もしよろしければお話を聞かせてもらえませんか?  
私はアリア様の従者をしている者で、サラと申します。どうかお願いします!」
そう言って頭を下げる。
俺はアリアに目配せをすると、仕方ないといった感じで頷いた。
それを見た俺は仕方なく了承することにした。
「分かりました、ですがアリアが嫌がるようなことは言わないでくださいね」
俺がそう言うと、彼女は嬉しそうに微笑んでいた。
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