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どうやらあまりの衝撃に思考停止しているようだ。
それも無理はない。
何しろ、自分の父親が見知らぬ女性と話していたのだから。
しかも、その女性はどう見ても人間ではないのだ。
ニーナが驚くのも当然だろう。
俺は苦笑すると、彼女の耳元で囁きかける。
それから改めて紹介することにした。
まずはニーナの紹介を行う。
それから、今度は国王陛下を紹介することにしたのだが……。
「……」
何故か黙り込んでしまった。
というより完全にフリーズしてしまったらしい。
「君が魔王様のお子かい?」
「はい、ニーナと申します」
そう言って頭を下げる。
それから、しばらく見つめ合う二人。
それから、お互いに見つめ合うと、どちらともなく手を差し出した。
二人は握手を交わす。
どうやら仲良くなれそうだ。
俺はホッとする。
(良かった)
そう思った瞬間、背後で大きな音が聞こえた。
振り返ってみると、アリアが兵士達に捕まっていた。
「何でもめ事起こすんだよ」
あきれた声で呟いた。
するとアリアも反論してくる。
だが、その内容は予想外なものだったので困惑してしまうことになるが……。
「リュート様の家系者だと言っても聞き入れてくれなくて」
「我妻だ、申し訳ないが、通してくれ、家族水入らずでお参りに来たのだから」
どうやら兵士達が離れて行くと一緒にクロードの墓の前で跪き手を合わせる。
それから、祈りを捧げると、俺達はその場を後にする。
それから、俺達は城に戻ると、部屋で休むことにした。
だが、どうやら部屋の中には先客がいるようだ。
扉を開けると、そこに居たのはフィリアだった。
「あら、お帰りなさいませ、旦那さま」
そう言って出迎えてくれた。
どうやら俺達を待っていたらしい。
それから、俺はフィリアに質問する。
「それで、なんのようなんだ?」
「実はお願いがありまして……」
そう言って彼女が取り出してきたのは大きな袋だった。
俺は首を傾げると、中身を確認する。
すると、そこには大量の金貨が入っていた。
どうやらお金を貸して欲しいらしい。
俺は首を傾げて問いかける。
「一体どうしたんだ?」
すると、彼女は真剣な表情で答えた。
なんでも、今すぐにでも金が必要なのだとか。
どうも、借金返済のために大金を稼がないといけないようだ。
彼女は必死に訴えかけてきた。
だが、俺にはそんなことをしてやる義理もないし、そもそも、なぜ俺が貸さなければいけないのか理解できない。
なので、断ると、彼女は悲しげな表情を浮かべる。
(そんな顔されてもなぁ……)
俺が困っていると、ニーナが助け舟を出してくれる。
「私からもおねがいします」
こうなったニーナは強い。
俺では逆らうことができないので、素直に従うことにして、渋々承諾することにする。
俺が了承するのを見て、フィリアは安堵の息を漏らすと同時に、
「ありがとうございます」
そう言って深々と頭を下げてくる。
俺は苦笑する。
(別にそこまで感謝されることじゃないんだけど……)
ただ単に、借りを作ると後が怖いからという理由だけで許可しただけだからだ。
とはいっても、流石にこのまま帰らせるのは不味いので、とりあえず泊まってもらうことにする。
(それにしても、どうしてこんなことになったのだろうか?)
俺は首を傾げながら考えるのであった。
翌日になると、俺の部屋にアリアが訪れた。
「おはよう、アリア、どうした?」
アリアが訪ねてきたのは初めてのことだったので、不思議に思って尋ねてみる。
すると、彼女は何かを決意したかのような瞳で俺を見つめると、口を開いた。
「あの、お話があります」
どうやら大事な話があるようだ。
俺は彼女を見つめると、静かに次の言葉を待った。
すると、彼女はゆっくりと口を開くと、
「リュート様、私のことどう思っていますか」
と尋ねてきた。
俺は一瞬戸惑ったが、正直に伝える。
「妻として、好いているよ」
すると、彼女は頬を赤らめると、恥ずかしそうに俯いてしまった。
どうやら照れているらしい。
俺はその姿が可愛らしくて、つい抱きしめてしまう。
彼女は俺の腕の中で大人しくしていた。
どうやら受け入れてくれたようである。
俺は彼女の頭を撫でてから、体を離すと、そのままキスをする。
すると、彼女はさらに真っ赤になって恥ずかしそうにしていた。
俺はその様子を見て、可愛いなと思いながらも、そろそろ時間が迫ってきているのに気づくと、彼女を解放してから、
仕事に向かうのだった。
「行ってらっしゃいませっ、ご主人様!」
そう言って元気よく送り出してもらった。
それから、俺達は冒険者としての仕事をこなすために、ギルドへと向かうのだった。
俺達はいつものように受付嬢のところへ向かうと、依頼の確認をしてもらう。
それから、掲示板の前に立つと、張り出されている紙の中から良さそうなものを探す。
すると、ふいに声をかけられた。
「あの、すみません」
声の方に視線を向けると、一人の女性が立っていた。
年齢は20代前半くらいで、美しい金髪の女性だった。
俺はその容姿に見惚れてしまう。
すると、彼女は俺に向かって話しかけて来た。
「突然話しかけてしまい、すいませんでした」
そう言うと、彼女は頭を下げる。
どうやら礼儀正しい人のようだ。
俺も慌てて謝ろうとすると、彼女はそれを遮るように言葉を続ける。
「私はアリシアと申します」
彼女はそう名乗った。
どうやら偽名を使っているようだ。
(まあ、そりゃそうだよな)
どう考えても、本名を名乗るわけがない。
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