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その後の話によれば、母のお腹の中には新しい命が育っておりいずれは、その子が生まれてくるそうだがそれまでの間は、
二人で暮らしていくこととなり色々と不安はあったがこうして一緒に過ごせると思うと嬉しかった。
それと同時にクロードに対する想いにも改めて気付かされる事になり複雑な心境でもあった。
(結局、俺はどちらを選ぶべきなんだろう……?)
そう思い悩み始めた頃、クロード達がやってきた。
彼女達が訪ねてきた理由はわかっているつもりだが、その前に言っておかなければならないことがある。
なのでまずはそちらを優先する事にした。
そのために俺はある場所へと向かった。
その場所で待ち受けていたのは、 クロード達ではなく父の仇であった魔物の首領だったのである。
そう、ここはかつて住んでいた家であり、現在は魔物の巣窟となっている場所でもあった。
「待っていたよ、クロード」
そう言って嬉しそうに微笑む姿を見て苛立ちを覚えつつも冷静さを保つように努めたが無駄だったようだ。
何故なら既に限界だったからだ……。
しかし奴はお構いなしに話しかけてくる。
それに対して返事をせずに無視を決め込んでいたらいつの間にかいなくなっていたようで、ホッとする間もなく今度は背後から声が聞こえてきたと
思ったら奴が現れたのだった。
よりにもよって女の姿に戻っているものだから余計に腹が立ったのだが相手はそんなことを、知るはずもなく一方的に喋り続けていて正直うざかった。
なので無視してやり過ごすことを決めてひたすら黙っていたところ不意に奴が話しかけてきたのだ。
それもいきなりキスされそうになっていたのでとっさに避けることに成功したが、
それでも執拗に追ってくる相手に恐怖を抱きながらなんとか逃げようと考えていたところで後ろから抱きしめられてしまった。
「ニーナ!」
驚いて名前を呼んだのだが返事はない。
代わりに返ってきたのは別のものだった。
しかも聞き覚えのある声で名前を呼ばれた気がしたが声の主を確かめようとするよりも先にクロードに助けを求めようと手を伸ばした瞬間、
その手を掴んできて抱き寄せると再び唇を重ねられたのだった。
それからしばらくして解放されるも、まだ息苦しさは残っていたので荒い呼吸をしていると、それを見た彼が言う。
「ごめん、大丈夫?」
そう言って手を差し伸べてくるも今はそれどころではないのでやんわりと断りつつ呼吸を整えるとゆっくりと立ち上がり歩き出す。
それに釣られるようにニーナも一緒について来ようとしたがクロードによって止められていたのを見て、ホッとしたような残念なような、
複雑な気分になりながら歩いていると途中で休憩することになった。
「ごめんね」
ニーナに謝罪しつつその場に座り込んでいたのだがそこで彼女は言った。
どうやら先程のことらしいのだが気にすることはないと言うつもりだったが言葉にできなかったために頷くだけに
留めるも伝わっていない様子だったが、まあいいかと思った時に異変が起こる。
急に目眩に襲われてしまったのだ。
その原因はすぐにわかったがどうしようもなかった。
何せ自分の身体が徐々に縮み始めているのだ。
そのことに焦っているとニーナが慌てて駆け寄ってきたので咄嗟に離れるように、
促すが聞いてもらえなかっただけでなく逆に強く抱きしめられて困惑してしまう。
クロードとニーナは何か言い合っているようだが声が遠くに聞こえているように感じ、頭がクラッとなって来た頃に、
ようやく収まったのだが安堵したことで身体の力が抜けていき倒れそうになったのでそのまま意識を失った。
次に目を覚ました時、視界に入ってきた人物の顔を見て安心した後で周囲を見回してみるが見覚えのない部屋にいるので、
戸惑っていると不意に声をかけられて顔を上げるとそこには二人の美少女がいた。
それを見て誰なのか聞こうとすると不意に眠気が襲って来て抵抗しようとしたが間に合わず眠りについてしまった……。
2話 あれからどのくらい経ったのだろうか、時間感覚が麻痺してしまっているのかわからなくなっていたが今はそんなことよりもこの身体を
元に戻さなくてはという気持ちで一杯だったのだが、肝心のクロード達の姿が見えないことに気付いて途方に暮れていると
唐突に部屋の扉が開かれたので目を向けてみるとそこには一人の少女がいた。
その姿はどこか懐かしく思えるもののどこで会ったのか全く思い出せないため悩んでいると少女はこちらに近づいて来ると笑みを浮かべながら話しかけてくる。
「久しぶりね」
その言葉に首を傾げてしまうものの何も思い出せずに考え込んでいると、そんな様子を見た彼女が答える。
「私はリスタ=ルベリドと言います、よろしくお願いいたしますわ」
そう言われて自己紹介されていないことに気付き名乗ることにする。
そうしてお互いの名前を知ることが出来たのだが彼女の様子が変わったことに気付いたものの理由がわからずに戸惑ってしまう中、
質問してみると答えてくれたので納得してしまった。
その理由について説明してもらう中で理解できたのは以下の事だった。
1つ目は今の彼女の姿が偽りであるという事実だが、これは以前見せてもらった時と違いすぎるということから察することができた。
二人で暮らしていくこととなり色々と不安はあったがこうして一緒に過ごせると思うと嬉しかった。
それと同時にクロードに対する想いにも改めて気付かされる事になり複雑な心境でもあった。
(結局、俺はどちらを選ぶべきなんだろう……?)
そう思い悩み始めた頃、クロード達がやってきた。
彼女達が訪ねてきた理由はわかっているつもりだが、その前に言っておかなければならないことがある。
なのでまずはそちらを優先する事にした。
そのために俺はある場所へと向かった。
その場所で待ち受けていたのは、 クロード達ではなく父の仇であった魔物の首領だったのである。
そう、ここはかつて住んでいた家であり、現在は魔物の巣窟となっている場所でもあった。
「待っていたよ、クロード」
そう言って嬉しそうに微笑む姿を見て苛立ちを覚えつつも冷静さを保つように努めたが無駄だったようだ。
何故なら既に限界だったからだ……。
しかし奴はお構いなしに話しかけてくる。
それに対して返事をせずに無視を決め込んでいたらいつの間にかいなくなっていたようで、ホッとする間もなく今度は背後から声が聞こえてきたと
思ったら奴が現れたのだった。
よりにもよって女の姿に戻っているものだから余計に腹が立ったのだが相手はそんなことを、知るはずもなく一方的に喋り続けていて正直うざかった。
なので無視してやり過ごすことを決めてひたすら黙っていたところ不意に奴が話しかけてきたのだ。
それもいきなりキスされそうになっていたのでとっさに避けることに成功したが、
それでも執拗に追ってくる相手に恐怖を抱きながらなんとか逃げようと考えていたところで後ろから抱きしめられてしまった。
「ニーナ!」
驚いて名前を呼んだのだが返事はない。
代わりに返ってきたのは別のものだった。
しかも聞き覚えのある声で名前を呼ばれた気がしたが声の主を確かめようとするよりも先にクロードに助けを求めようと手を伸ばした瞬間、
その手を掴んできて抱き寄せると再び唇を重ねられたのだった。
それからしばらくして解放されるも、まだ息苦しさは残っていたので荒い呼吸をしていると、それを見た彼が言う。
「ごめん、大丈夫?」
そう言って手を差し伸べてくるも今はそれどころではないのでやんわりと断りつつ呼吸を整えるとゆっくりと立ち上がり歩き出す。
それに釣られるようにニーナも一緒について来ようとしたがクロードによって止められていたのを見て、ホッとしたような残念なような、
複雑な気分になりながら歩いていると途中で休憩することになった。
「ごめんね」
ニーナに謝罪しつつその場に座り込んでいたのだがそこで彼女は言った。
どうやら先程のことらしいのだが気にすることはないと言うつもりだったが言葉にできなかったために頷くだけに
留めるも伝わっていない様子だったが、まあいいかと思った時に異変が起こる。
急に目眩に襲われてしまったのだ。
その原因はすぐにわかったがどうしようもなかった。
何せ自分の身体が徐々に縮み始めているのだ。
そのことに焦っているとニーナが慌てて駆け寄ってきたので咄嗟に離れるように、
促すが聞いてもらえなかっただけでなく逆に強く抱きしめられて困惑してしまう。
クロードとニーナは何か言い合っているようだが声が遠くに聞こえているように感じ、頭がクラッとなって来た頃に、
ようやく収まったのだが安堵したことで身体の力が抜けていき倒れそうになったのでそのまま意識を失った。
次に目を覚ました時、視界に入ってきた人物の顔を見て安心した後で周囲を見回してみるが見覚えのない部屋にいるので、
戸惑っていると不意に声をかけられて顔を上げるとそこには二人の美少女がいた。
それを見て誰なのか聞こうとすると不意に眠気が襲って来て抵抗しようとしたが間に合わず眠りについてしまった……。
2話 あれからどのくらい経ったのだろうか、時間感覚が麻痺してしまっているのかわからなくなっていたが今はそんなことよりもこの身体を
元に戻さなくてはという気持ちで一杯だったのだが、肝心のクロード達の姿が見えないことに気付いて途方に暮れていると
唐突に部屋の扉が開かれたので目を向けてみるとそこには一人の少女がいた。
その姿はどこか懐かしく思えるもののどこで会ったのか全く思い出せないため悩んでいると少女はこちらに近づいて来ると笑みを浮かべながら話しかけてくる。
「久しぶりね」
その言葉に首を傾げてしまうものの何も思い出せずに考え込んでいると、そんな様子を見た彼女が答える。
「私はリスタ=ルベリドと言います、よろしくお願いいたしますわ」
そう言われて自己紹介されていないことに気付き名乗ることにする。
そうしてお互いの名前を知ることが出来たのだが彼女の様子が変わったことに気付いたものの理由がわからずに戸惑ってしまう中、
質問してみると答えてくれたので納得してしまった。
その理由について説明してもらう中で理解できたのは以下の事だった。
1つ目は今の彼女の姿が偽りであるという事実だが、これは以前見せてもらった時と違いすぎるということから察することができた。
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