勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音

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彼は冷静に状況を分析すると、リュートに向かって指示を出す。
「お前は逃げろ!」
そう言われても、足がすくんで動けない。
その間にも、敵はこちらに迫ってきていた。
このままでは殺されると思ったその時、クロードが動いた。
彼は剣を引き抜くと、そのまま斬りかかる。
しかし、相手は硬い鱗に覆われていて、傷一つつけることができない。
それでも諦めずに何度も攻撃を繰り返す。
しかし、その度に弾かれてしまう。
それでもクロードは諦めることなく戦い続ける。
「父さん」
「魔王の力を舐めるな」
そう言って再び剣を構える。
そんな父を見てリュートは思った。
(俺は何をやってるんだ?)
そんなことを考えている場合じゃないだろ?
(早く逃げないと)
そんな考えが頭に浮かぶが体が動かない。
そんな時、父が叫んだ。
「いいから行け!」
その言葉にハッとすると同時に走り出す。
背後から父の叫び声が聞こえた気がしたが振り返らずに走った。
それからどのくらい時間が経っただろうか? もう自分がどこにいるのかすらわからない。
とにかく走り続けていると、目の前に人影が見えた。
よく見るとそれは女性のようだった。
彼女はリュートを見ると優しく微笑んだ。
そして、手を差し伸べてくる。
リュートはその手を握った。
その瞬間、目の前が真っ暗になった。
気がつくと、ベッドの上にいた。
どうやら気を失っていたらしい。
体を起こそうとしたが力が入らない。
仕方なく横になっていることにした。
しばらくすると、部屋の扉が開いて誰かが入ってきた。
そちらに目を向けると、そこには二人の少女がいた。
一人は銀髪で紅眼の美少女で、もう一人は金髪の美少女で頭に角が生えていた。
二人はリュートの姿を見つけると駆け寄ってきた。
「大丈夫?」
そう聞いてくるのは銀髪の方だった。
「はい」
と答えると、続けて言う。
「よかった」
それを聞いて安心したような表情を見せる二人だったが、すぐに真剣な表情になる。
そして、銀髪の方が口を開いた。
「あなたに話があるんだけどいいかしら?」
そう言われたので頷くと、少女は話し始めた。
その内容とは、リュートを引き取りたいというものだった。
突然の申し出に驚くが、すぐにその理由を聞くことにした。
すると、彼女から驚くべき答えが返ってきた。
「父親としての責任を取りたいからよ」
その言葉を聞いて納得した。
「待ってくれよ、父さん、ルーティアにならないっていてったじゃないか」
「確かにそう言ったわ、でも、もう限界なのよ」
「よくわからないこと言うなよ」
「そうね、ごめんなさいね」
そう言って立ち去ろうとするので慌てて止める。
「待ってよ、まだ話は終わってないよ」
しかし、彼女は首を左右に振る。
「悪いけど、これ以上話すことはないわ」
そう言って歩き出すので、追いかけようとするが足に力が入らず転んでしまう。
それを見てルーティアが言う。
「無理しないで、怪我してるんだから大人しくしてなさい」
そう言うと部屋から出て行ってしまった。
残されたリュートはしばらく呆然としていたが、やがて立ち上がることができたので後を追うことにした。
部屋を出ると廊下に出る。
左右を見渡すと左の方に人影が見えた。
そちらに目を向けると、そこには銀髪紅眼の女性が立っていた。
その女性はこちらに気づくと声をかけてきた。
「あら、目が覚めたのね」
そう言いながら近づいてくる。
そして、手を差し出してきた。
その手を取ると、女性が自己紹介を始めた。
彼女の名前はミレイというらしい。
リュートは彼女に事情を説明した。
すると、彼女は言った。
「なるほどね、事情はわかったわ」
「それじゃあ……」
「ええ、いいわよ」
リュートは喜んだ。
これでようやく解放されるのだ。
それから数日後、リュートは村を出ることになった。
理由は、ミレイがリュートを連れて行きたいと言ったからだ。
リュートはそれを受け入れた。
それから、リュートは旅支度を整えると、ミレイと一緒に出発した。
リュートはミレイに連れられて森の中を歩いていた。
リュートはミレイの後を追いかけるように歩いている。
ミレイが立ち止まったので、リュートも立ち止まる。
「どうしたの?」
そう聞くと、ミレイは答えた。
「ここなら誰にも見られないわね」
その言葉を聞いた瞬間嫌な予感がした。
逃げようとするが遅かった。
次の瞬間には魔法をかけられてしまった。
次の瞬間には意識を失ってしまった。
目が覚めると知らない場所にいた。
辺りを見回すとどこかの屋敷のようだ。
(ここはどこだろう?)
そう思っていると、部屋の扉が開いた。
そこから現れたのは黒髪黒目の美少女だった。
(誰だろう?)
そう思って見ていると、彼女が話しかけてきた。
「目が覚めたみたいね」
「あなたは……?」
そう尋ねると彼女は答えた。
「私はミレイ、よろしくね」
そう言うと微笑む。
その笑顔はとても綺麗だった。
思わず見惚れてしまいそうになるが、なんとか堪えることができた。
それから、クロードはこれまでの経緯を説明することにした。
「なるほど、そういうことだったんですね」
話を聞いたリュートは納得してくれたようだ。
クロードはホッと胸を撫で下ろす。
すると、今度は逆に質問された。
「あの、一つ聞いてもいいですか?」
「ああ、構わないぞ」
すると、リュートはとんでもないことを聞いてきた。
「どうして、俺を引き取ろうと思ったんですか?」
その質問に、クロードは答えることができなかった。
なぜなら、自分でもよくわからなかったからだ。
ただ、放っておけなかった。
それだけの理由だった。
(いや、違うな)
本当はわかっているはずだ。
(俺はこいつのことが好きなんだ)
だが、それを認めるわけにはいかない。
(だってこいつは人間なんだから)
そう思いながらも、心は揺れ動いていた。
(本当にこのままでいいのだろうか?)
そんなことを考えていると、突然声をかけられた。
驚いて顔を上げると、そこには少女の姿があった。
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