24 / 236
24.
しおりを挟む
振り返ってみると街の中心で暴れ回る黒き竜の姿が見えた。
(くっ!)
悔しかったが今はどうしようもないと思い直し、再び走り出したその時だった。
急に視界が暗転したと思ったら次の瞬間には見知らぬ場所に立っていた。
そこはまるで別世界のようだった。
辺り一面に咲き誇る花々や木々に目を奪われる。
それに空に浮かぶ太陽や月は二つあった。
(ここは一体何処なんだ?)
そう思いながら歩いていると、一人の少女が話しかけてきた。
それは、とても綺麗な少女だった。
透き通るような銀色の髪に、宝石のような青い瞳を持つ美少女だ。
そんな彼女は俺に言った。
「あの、貴方は?」
その質問に戸惑いながらも答える俺。
「えっと、リュート・エルジオルです」
すると彼女は言った。
「そうですか、私はアリアと申します」
それを聞いた瞬間、ある事を思い出した。
(確か名前は……)
そう思っていると彼女は言った。
「あの、宜しければ私と一緒に来ませんか?」
(えっ!?)
突然の申し出に困惑する俺。
そんな彼女に対して断る理由もなく頷くと、俺達は歩き出した。
魔王城が勇者達に制圧されてしまってから、数か月、俺は俯いていた。
何故なら今現在、俺の居場所はないからである。
そんな時、声をかけてきたのは魔王軍の幹部の一人、青のアギトだった。
彼に連れられてやって来たのは魔王軍の幹部達が暮らす屋敷だった。
そこで俺は新たな生活を始める事になったのだ。
それからというものの、アギトの指導のもと修行に励む日々が続いた。
そんなある日の事だった。
いつものように修行に明け暮れているとアギトが言った。
どうやら来客のようだ。
現れたのは金色の髪を靡かせた美しい女性だった。
彼女を見たアギトは頭を下げると言った。
「ようこそおいで下さいました、聖女様」
その言葉に驚く俺。
(せ、聖女だって!?)
そう、目の前にいたのは紛れもなく本物の聖女だったのだ。
呆然とする俺にアギトが言った。
「リュート様、紹介します、こちらが私の上司にあたる聖女様です」
その言葉に慌てて挨拶をする俺。
「お初にお目に掛かります、リュートと申します」
それに対して笑顔で応じる聖女様。
「初めまして、リュート様、私はマリアと申します」
そう名乗ると彼女は言った。
「実は貴方にお願いがあって参りました」
それを聞いた瞬間、嫌な予感がしたが断れるはずもなく、話を聞くことになった。
その内容はこうだ。
「捕虜に捕まった魔王軍の数名が、勇者に占拠された城にて、監禁されているらしいのです」
それを聞いて納得すると俺は頷いた。
すると、聖女は続けて言う。
「つきましては、救出の為に力を貸して頂けないでしょうか?」
それを聞いた俺は悩んだ末に結論を出した。
「分かりました、引き受けましょう」
それを聞いた聖女様は微笑むと、俺の手を握るとこう言った。
「ありがとうございます、リュート様」
こうして俺は魔王軍を救う為に、勇者が占拠している魔王城に潜入することになったのだった……。
そんな中で、アリアが口を開いた。
「これより、会議を始めたいと思います」
その言葉に頷く一同。
するとアリアは話し始めた。
「今回の議題ですが、魔王城の奪還について話し合いたいと思います」
俺は頷くと勇者パーティーレイドに奪われてから、新たに確認できた魔王城の見取り図を広げる。
それを眺めながらアリアは言った。
「まず初めに確認したいのですが、現在の状況を教えて貰えますか?」
その問いに答えるように一人の兵士が進み出て報告を始めた。
それによると現在、魔王城は四階まで制圧されており、三階以降はバリケードが敷かれていて侵入する事ができない状態になっているそうだ。
それを知った上で、アリアは言った。
「それでは、これから作戦を伝えますので皆さんよく聞いていてくださいね」
その言葉を聞いた兵士達は真剣な表情になると耳を傾ける。
そして、一通りの説明が終わると兵士達に向けて言った。
「何か質問がある方はいますか?」
その問いかけに手を挙げたのは先程報告をしていた兵士だった。
「ここ、魔王軍の幹部達が暮らす屋敷からは、どうやって脱出するんですか?」
その質問に対してアリアは答えた。
「そうですね、確かにその問題がありますね」
考え込むような仕草を見せるアリアだったが、すぐに顔を上げて言った。
「それについてなのですが、考えがありますので少し待っていてください」
そう言うと部屋を出て行くアリア。
残された者達の間になんとも言えない空気が流れる中、俺は思った。
(大丈夫かなぁ)
戻ってきたアリアは俺の前に来ると突然、抱きついてきた。
突然の事に動揺していると耳元で囁かれた。
それを聞いた俺は思わず赤面してしまう。
それを見たアリアは笑みを浮かべると俺から離れていった。
(一体何だったんだ?)
そんな事を考えていると、アリアが言ってきた。
「それでは行きましょうか」
俺は頷くとアリアの後に続いた。
~数分後~
(それにしても広いな)
そう思いながらもアリアの後をついて行くと一つの部屋の前で立ち止まった。
それを見て首を傾げる俺に向かってアリアが言う。
「ここが目的地ですよ」
そう言われたので中に入るとそこには、豪華な装飾が施された椅子があった。
(くっ!)
悔しかったが今はどうしようもないと思い直し、再び走り出したその時だった。
急に視界が暗転したと思ったら次の瞬間には見知らぬ場所に立っていた。
そこはまるで別世界のようだった。
辺り一面に咲き誇る花々や木々に目を奪われる。
それに空に浮かぶ太陽や月は二つあった。
(ここは一体何処なんだ?)
そう思いながら歩いていると、一人の少女が話しかけてきた。
それは、とても綺麗な少女だった。
透き通るような銀色の髪に、宝石のような青い瞳を持つ美少女だ。
そんな彼女は俺に言った。
「あの、貴方は?」
その質問に戸惑いながらも答える俺。
「えっと、リュート・エルジオルです」
すると彼女は言った。
「そうですか、私はアリアと申します」
それを聞いた瞬間、ある事を思い出した。
(確か名前は……)
そう思っていると彼女は言った。
「あの、宜しければ私と一緒に来ませんか?」
(えっ!?)
突然の申し出に困惑する俺。
そんな彼女に対して断る理由もなく頷くと、俺達は歩き出した。
魔王城が勇者達に制圧されてしまってから、数か月、俺は俯いていた。
何故なら今現在、俺の居場所はないからである。
そんな時、声をかけてきたのは魔王軍の幹部の一人、青のアギトだった。
彼に連れられてやって来たのは魔王軍の幹部達が暮らす屋敷だった。
そこで俺は新たな生活を始める事になったのだ。
それからというものの、アギトの指導のもと修行に励む日々が続いた。
そんなある日の事だった。
いつものように修行に明け暮れているとアギトが言った。
どうやら来客のようだ。
現れたのは金色の髪を靡かせた美しい女性だった。
彼女を見たアギトは頭を下げると言った。
「ようこそおいで下さいました、聖女様」
その言葉に驚く俺。
(せ、聖女だって!?)
そう、目の前にいたのは紛れもなく本物の聖女だったのだ。
呆然とする俺にアギトが言った。
「リュート様、紹介します、こちらが私の上司にあたる聖女様です」
その言葉に慌てて挨拶をする俺。
「お初にお目に掛かります、リュートと申します」
それに対して笑顔で応じる聖女様。
「初めまして、リュート様、私はマリアと申します」
そう名乗ると彼女は言った。
「実は貴方にお願いがあって参りました」
それを聞いた瞬間、嫌な予感がしたが断れるはずもなく、話を聞くことになった。
その内容はこうだ。
「捕虜に捕まった魔王軍の数名が、勇者に占拠された城にて、監禁されているらしいのです」
それを聞いて納得すると俺は頷いた。
すると、聖女は続けて言う。
「つきましては、救出の為に力を貸して頂けないでしょうか?」
それを聞いた俺は悩んだ末に結論を出した。
「分かりました、引き受けましょう」
それを聞いた聖女様は微笑むと、俺の手を握るとこう言った。
「ありがとうございます、リュート様」
こうして俺は魔王軍を救う為に、勇者が占拠している魔王城に潜入することになったのだった……。
そんな中で、アリアが口を開いた。
「これより、会議を始めたいと思います」
その言葉に頷く一同。
するとアリアは話し始めた。
「今回の議題ですが、魔王城の奪還について話し合いたいと思います」
俺は頷くと勇者パーティーレイドに奪われてから、新たに確認できた魔王城の見取り図を広げる。
それを眺めながらアリアは言った。
「まず初めに確認したいのですが、現在の状況を教えて貰えますか?」
その問いに答えるように一人の兵士が進み出て報告を始めた。
それによると現在、魔王城は四階まで制圧されており、三階以降はバリケードが敷かれていて侵入する事ができない状態になっているそうだ。
それを知った上で、アリアは言った。
「それでは、これから作戦を伝えますので皆さんよく聞いていてくださいね」
その言葉を聞いた兵士達は真剣な表情になると耳を傾ける。
そして、一通りの説明が終わると兵士達に向けて言った。
「何か質問がある方はいますか?」
その問いかけに手を挙げたのは先程報告をしていた兵士だった。
「ここ、魔王軍の幹部達が暮らす屋敷からは、どうやって脱出するんですか?」
その質問に対してアリアは答えた。
「そうですね、確かにその問題がありますね」
考え込むような仕草を見せるアリアだったが、すぐに顔を上げて言った。
「それについてなのですが、考えがありますので少し待っていてください」
そう言うと部屋を出て行くアリア。
残された者達の間になんとも言えない空気が流れる中、俺は思った。
(大丈夫かなぁ)
戻ってきたアリアは俺の前に来ると突然、抱きついてきた。
突然の事に動揺していると耳元で囁かれた。
それを聞いた俺は思わず赤面してしまう。
それを見たアリアは笑みを浮かべると俺から離れていった。
(一体何だったんだ?)
そんな事を考えていると、アリアが言ってきた。
「それでは行きましょうか」
俺は頷くとアリアの後に続いた。
~数分後~
(それにしても広いな)
そう思いながらもアリアの後をついて行くと一つの部屋の前で立ち止まった。
それを見て首を傾げる俺に向かってアリアが言う。
「ここが目的地ですよ」
そう言われたので中に入るとそこには、豪華な装飾が施された椅子があった。
0
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
金貨1,000万枚貯まったので勇者辞めてハーレム作ってスローライフ送ります!!
夕凪五月雨影法師
ファンタジー
AIイラストあり! 追放された世界最強の勇者が、ハーレムの女の子たちと自由気ままなスローライフを送る、ちょっとエッチでハートフルな異世界ラブコメディ!!
国内最強の勇者パーティを率いる勇者ユーリが、突然の引退を宣言した。
幼い頃に神託を受けて勇者に選ばれて以来、寝る間も惜しんで人々を助け続けてきたユーリ。
彼はもう限界だったのだ。
「これからは好きな時に寝て、好きな時に食べて、好きな時に好きな子とエッチしてやる!! ハーレム作ってやるーーーー!!」
そんな発言に愛想を尽かし、パーティメンバーは彼の元から去っていくが……。
その引退の裏には、世界をも巻き込む大規模な陰謀が隠されていた。
その陰謀によって、ユーリは勇者引退を余儀なくされ、全てを失った……。
かのように思われた。
「はい、じゃあ僕もう勇者じゃないから、こっからは好きにやらせて貰うね」
勇者としての条約や規約に縛られていた彼は、力をセーブしたまま活動を強いられていたのだ。
本来の力を取り戻した彼は、その強大な魔力と、金貨1,000万枚にものを言わせ、好き勝手に人々を救い、気ままに高難度ダンジョンを攻略し、そして自身をざまぁした巨大な陰謀に立ち向かっていく!!
基本的には、金持ちで最強の勇者が、ハーレムの女の子たちとまったりするだけのスローライフコメディです。
異世界版の光源氏のようなストーリーです!
……やっぱりちょっと違います笑
また、AIイラストは初心者ですので、あくまでも小説のおまけ程度に考えていただければ……(震え声)
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
無能テイマーと追放されたが、無生物をテイムしたら擬人化した世界最強のヒロインたちに愛されてるので幸せです
青空あかな
ファンタジー
テイマーのアイトは、ある日突然パーティーを追放されてしまう。
その理由は、スライム一匹テイムできないから。
しかしリーダーたちはアイトをボコボコにした後、雇った本当の理由を告げた。
それは、単なるストレス解消のため。
置き去りにされたアイトは襲いくるモンスターを倒そうと、拾った石に渾身の魔力を込めた。
そのとき、アイトの真の力が明らかとなる。
アイトのテイム対象は、【無生物】だった。
さらに、アイトがテイムした物は女の子になることも判明する。
小石は石でできた美少女。
Sランクダンジョンはヤンデレ黒髪美少女。
伝説の聖剣はクーデレ銀髪長身美人。
アイトの周りには最強の美女たちが集まり、愛され幸せ生活が始まってしまう。
やがてアイトは、ギルドの危機を救ったり、捕らわれの冒険者たちを助けたりと、救世主や英雄と呼ばれるまでになる。
これは無能テイマーだったアイトが真の力に目覚め、最強の冒険者へと成り上がる物語である。
※HOTランキング6位
勇者パーティー追放された支援役、スキル「エンカウント操作」のチート覚醒をきっかけに戦闘力超爆速上昇中ですが、俺は天職の支援役であり続けます。
カズマ・ユキヒロ
ファンタジー
支援役ロベル・モリスは、勇者パーティーに無能・役立たずと罵られ追放された。
お前のちっぽけな支援スキルなど必要ない、という理由で。
しかし直後、ロベルの所持スキル『エンカウント操作』がチート覚醒する。
『種類』も『数』も『瞬殺するか?』までも選んでモンスターを呼び寄せられる上に、『経験値』や『ドロップ・アイテム』などは入手可能。
スキルを使った爆速レベルアップをきっかけに、ロベルの戦闘力は急上昇していく。
そして勇者一行は、愚かにも気づいていなかった。
自分たちの実力が、ロベルの支援スキルのおかげで成り立っていたことに。
ロベル追放で化けの皮がはがれた勇者一行は、没落の道を歩んで破滅する。
一方のロベルは最強・無双・向かうところ敵なしだ。
手にした力を支援に注ぎ、3人の聖女のピンチを次々に救う。
小さい頃の幼馴染、エルフのプリンセス、実はロベルを溺愛していた元勇者パーティーメンバー。
彼女たち3聖女とハーレム・パーティーを結成したロベルは、王国を救い、人々から賞賛され、魔族四天王に圧勝。
ついには手にした聖剣で、魔王を滅ぼし世界を救うのだった。
これは目立つのが苦手なひとりの男が、最強でありながらも『支援役』にこだわり続け、結局世界を救ってしまう。そんな物語。
※2022年12月12日(月)18時、【男性向けHOTランキング1位】をいただきました!
お読みいただいた皆さま、応援いただいた皆さま、
本当に本当にありがとうございました!
異世界で買った奴隷がやっぱ強すぎるので説明求む!
夜間救急事務受付
ファンタジー
「異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!」の続編です!
前編を引き継ぐストーリーとなっておりますので、初めての方は、前編から読む事を推奨します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる