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「はぁ……どうせ昼間言っていた事が気になるんでしょう? そんなに心配しなくても大丈夫ですよ、貴方のお父上は私の知り合いですから」
俺は俯いた。
「そうなんですか? ごめんなさい」
そう言って謝る俺に対して彼女は言う。
「いえ、別に謝らなくてもいいですよ、それに、実は私も昔似たような目にあいましたからね」
その言葉に顔を上げた俺に向かって微笑むと彼女は言った。
「さて、少し歩きましょうか?」
そう言われて俺は彼女の後をついていった。
しばらく歩いているとやがて一つの家が見えてきた。
中に入ってみるとそこはかなり豪華な作りになっていた。
部屋の中を見ているとふとあるものが目に入った。
そこにあったのは一人の女性の肖像画だった。
(この人は一体誰なんだろう?)
そう思っているとそれに気づいたのか説明してくれた。
「ああ、これですか、これは、お母様の肖像画です」
「へぇ、お母さんがいるんですね」
「ええ、いますよ、今はもうこの世にはいませんけどね」
「え?」
「ああ、気にしなくて良いですよ、もう昔の話ですし」
そう言うと彼女は続けた。
「それにしても、あの時は大変でしたねぇ、いきなりあんな事言い出すんですから」
そう言ってクスクスと笑う彼女を見ながら俺は思った。
(あの時って一体何の事だろう?)
俺が考え込んでいるのに気づいて彼女は言った。
「ああ、そういえばまだ、話していませんでしたね、貴方がここに来る前の事について」
「え?」
驚いている俺を見て笑うと溜息をついた。
「すくなくとも、陛下が貴方を見逃したからこそ、今の貴方が居るのでしょう? もし見捨てられていたら貴方は今この場に居なかったかもしれないのですよ?」
そう言われてゾッとした。
そんな俺を見て笑うとさらに言葉を続ける。
その表情からは何を考えているのか読み取る事が出来なかった。
まるで人形のようだと思った。
そんな俺に構わず彼女は続ける。
「貴方は運が良かったのです、だから、その幸運を無駄にしないように、しっかり生きてくださいね」
そう言って立ち去ろうとする彼女を慌てて引き留めた。
そして聞いた。
「待ってください、貴女は何者なんですか?」
そう聞くと彼女は振り返りながら答えた。
「私はただの使用人ですわ」
そう言って今度こそ立ち去っていったのだった。
それから暫くして俺は、再び父の部屋を訪れることにした。
部屋に入ると父は笑顔で迎え入れてくれた。
「おお、来てくれたのか、さあ、そこに座りなさい」
言われるままに椅子に座ると父は話し始めた。
「実はお前に会わせたい人がいてな、もうすぐ来るはずだから待っていてくれ」
そう言われて暫く待っていると、扉がノックされた。
返事をすると、ゆっくりと扉が開く。
すると、そこから二人の少女が現れた。
一人は銀髪の綺麗な女の子だ。
もう一人は金髪の可愛らしい子だ。
二人ともとても綺麗で可愛いくて思わず見惚れてしまった。
そんな俺を見て父は言う。
「紹介しよう、この子は、お前の妹だ」
そう言われて驚く俺に更に言う。
「それと、こっちの子は、お前の世話係だ」
それを聞いてまた驚く俺に二人は言った。
「よろしくお願いします」
そう言うと頭を下げたので俺も慌てて頭を下げる。
(なんだか変な感じだ)
そんな事を思っていると父が話しかけてきた。
「それじゃあ、後は頼んだぞ」
そう言って去っていく父を見送っていると妹が声をかけてきた。
「あの、お兄ちゃんって呼んでもいいですか?」
(何この子めっちゃ可愛いんだけど)
そう思いながらも平静を装って答える。
「いいよ、よろしくねミレアちゃん」
「はい! こちらこそよろしくお願いします!」
満面の笑みを見せる彼女に癒されていると今度はもう一人の女の子が話しかけてくる。
「私の事も呼び捨てでいいんですよ?」
そう言いながら上目遣いに見つめてくる彼女にドキッとした。
(何この生き物可愛すぎるんですけどぉぉぉぉ!)
心の中で絶叫しながらもなんとか平常心を保つことに成功すると二人に質問した。
「えっと、君達の名前を教えてもらっていいかな?」
そう聞くと二人同時に答えてきた。
「私はアリアです」
「私はミレアです」
それを聞いた瞬間頭の中で何かが繋がった気がした。
「そっか、よろしくな、アリア、ミレア」
そう答えながらも俺は思った。
これから楽しくなりそうだと。
あれから数日が経ったある日のこと、俺は父親の部屋に呼び出されていた。
そこで告げられたのは信じられない言葉だった。
「リュート、お前の処分が決まった、出ていけ」
一瞬何を言われたのかわからなかった。
呆然としていると続けて言われた。
「聞こえなかったのか? お前はクビだ、さっさと出て行け」
それを聞いて頭が真っ白になる。
それでも何とか言葉を絞り出した。
「なんで、急にそんな事言うんだよ」
すると彼は冷たい目でこちらを見てきた。
「何故だと? それはお前が無能だからだ、それ以外に理由など無い」
そう言われて言葉を失う。
確かに自分は無能だ、それは認めよう。
しかし、だからといってここまでする必要は無いじゃないか。
そう思って睨みつけていると、溜息をつかれた。
「全く、そんな目で見るな、不愉快だ」
そう吐き捨てると、俺の腕を引っ張る。
そのまま引きずられるようにして部屋から連れ出された。
部屋を出る前に振り返って見ると、二人が悲しそうな顔でこちらを見ているのが見えた。
そのまま連れていかれた先は城の中庭だった。
そこには大勢の兵士達がいた。
俺は俯いた。
「そうなんですか? ごめんなさい」
そう言って謝る俺に対して彼女は言う。
「いえ、別に謝らなくてもいいですよ、それに、実は私も昔似たような目にあいましたからね」
その言葉に顔を上げた俺に向かって微笑むと彼女は言った。
「さて、少し歩きましょうか?」
そう言われて俺は彼女の後をついていった。
しばらく歩いているとやがて一つの家が見えてきた。
中に入ってみるとそこはかなり豪華な作りになっていた。
部屋の中を見ているとふとあるものが目に入った。
そこにあったのは一人の女性の肖像画だった。
(この人は一体誰なんだろう?)
そう思っているとそれに気づいたのか説明してくれた。
「ああ、これですか、これは、お母様の肖像画です」
「へぇ、お母さんがいるんですね」
「ええ、いますよ、今はもうこの世にはいませんけどね」
「え?」
「ああ、気にしなくて良いですよ、もう昔の話ですし」
そう言うと彼女は続けた。
「それにしても、あの時は大変でしたねぇ、いきなりあんな事言い出すんですから」
そう言ってクスクスと笑う彼女を見ながら俺は思った。
(あの時って一体何の事だろう?)
俺が考え込んでいるのに気づいて彼女は言った。
「ああ、そういえばまだ、話していませんでしたね、貴方がここに来る前の事について」
「え?」
驚いている俺を見て笑うと溜息をついた。
「すくなくとも、陛下が貴方を見逃したからこそ、今の貴方が居るのでしょう? もし見捨てられていたら貴方は今この場に居なかったかもしれないのですよ?」
そう言われてゾッとした。
そんな俺を見て笑うとさらに言葉を続ける。
その表情からは何を考えているのか読み取る事が出来なかった。
まるで人形のようだと思った。
そんな俺に構わず彼女は続ける。
「貴方は運が良かったのです、だから、その幸運を無駄にしないように、しっかり生きてくださいね」
そう言って立ち去ろうとする彼女を慌てて引き留めた。
そして聞いた。
「待ってください、貴女は何者なんですか?」
そう聞くと彼女は振り返りながら答えた。
「私はただの使用人ですわ」
そう言って今度こそ立ち去っていったのだった。
それから暫くして俺は、再び父の部屋を訪れることにした。
部屋に入ると父は笑顔で迎え入れてくれた。
「おお、来てくれたのか、さあ、そこに座りなさい」
言われるままに椅子に座ると父は話し始めた。
「実はお前に会わせたい人がいてな、もうすぐ来るはずだから待っていてくれ」
そう言われて暫く待っていると、扉がノックされた。
返事をすると、ゆっくりと扉が開く。
すると、そこから二人の少女が現れた。
一人は銀髪の綺麗な女の子だ。
もう一人は金髪の可愛らしい子だ。
二人ともとても綺麗で可愛いくて思わず見惚れてしまった。
そんな俺を見て父は言う。
「紹介しよう、この子は、お前の妹だ」
そう言われて驚く俺に更に言う。
「それと、こっちの子は、お前の世話係だ」
それを聞いてまた驚く俺に二人は言った。
「よろしくお願いします」
そう言うと頭を下げたので俺も慌てて頭を下げる。
(なんだか変な感じだ)
そんな事を思っていると父が話しかけてきた。
「それじゃあ、後は頼んだぞ」
そう言って去っていく父を見送っていると妹が声をかけてきた。
「あの、お兄ちゃんって呼んでもいいですか?」
(何この子めっちゃ可愛いんだけど)
そう思いながらも平静を装って答える。
「いいよ、よろしくねミレアちゃん」
「はい! こちらこそよろしくお願いします!」
満面の笑みを見せる彼女に癒されていると今度はもう一人の女の子が話しかけてくる。
「私の事も呼び捨てでいいんですよ?」
そう言いながら上目遣いに見つめてくる彼女にドキッとした。
(何この生き物可愛すぎるんですけどぉぉぉぉ!)
心の中で絶叫しながらもなんとか平常心を保つことに成功すると二人に質問した。
「えっと、君達の名前を教えてもらっていいかな?」
そう聞くと二人同時に答えてきた。
「私はアリアです」
「私はミレアです」
それを聞いた瞬間頭の中で何かが繋がった気がした。
「そっか、よろしくな、アリア、ミレア」
そう答えながらも俺は思った。
これから楽しくなりそうだと。
あれから数日が経ったある日のこと、俺は父親の部屋に呼び出されていた。
そこで告げられたのは信じられない言葉だった。
「リュート、お前の処分が決まった、出ていけ」
一瞬何を言われたのかわからなかった。
呆然としていると続けて言われた。
「聞こえなかったのか? お前はクビだ、さっさと出て行け」
それを聞いて頭が真っ白になる。
それでも何とか言葉を絞り出した。
「なんで、急にそんな事言うんだよ」
すると彼は冷たい目でこちらを見てきた。
「何故だと? それはお前が無能だからだ、それ以外に理由など無い」
そう言われて言葉を失う。
確かに自分は無能だ、それは認めよう。
しかし、だからといってここまでする必要は無いじゃないか。
そう思って睨みつけていると、溜息をつかれた。
「全く、そんな目で見るな、不愉快だ」
そう吐き捨てると、俺の腕を引っ張る。
そのまま引きずられるようにして部屋から連れ出された。
部屋を出る前に振り返って見ると、二人が悲しそうな顔でこちらを見ているのが見えた。
そのまま連れていかれた先は城の中庭だった。
そこには大勢の兵士達がいた。
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