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すらりと背が高く、整った顔立ちをしており、そのせいか、実年齢よりも大人びて見える女性だった。
名前は、エステラ・ド・ラ・リュゼ・グリフィス。
伯爵家の出身であり、爵位こそ持たないものの、非常に優秀な人材であるため、特別に、宮廷付きのメイドとして採用されているのだそうだ。
そんな彼女のことを一言で表現するなら、クールビューティーという言葉がぴったりだろう。
実際、仕事は完璧だし、人当たりも良く、面倒見も良いことから、多くの者達から慕われている人物でもあるのだが、
唯一つ問題があるとすれば、性格がキツい、ということだろうか。とにかく容赦がないのである。
そして、今日も今日とて、私の指導担当に任命された彼女は、早速、私を鍛え上げるべく、鬼のような特訓を開始したのだった。
(どうして私がこんな目に遭わないといけないのよ!)
心の中で悪態を吐きつつも、何とか耐えるしかなかった。
というのも、今現在、彼女の手には鞭が握られており、それが風を切る音と共に振るわれる度に、私の身体へと叩きつけられるからだ。
あまりの痛みに絶叫を上げそうになるものの、何とか堪えた。
ここで泣き喚いたりしたら、余計に酷くなるだけなので、必死に我慢したの。
それでも、痛みが消えるわけではないのだけど、幸いというべきか、彼女が私に課したのは、
比較的軽い罰だったから、耐えられないほどではないのが救いだったわね。
だけど、だからといって楽観視できるわけでもないので、油断はできないけれどね。
なにしろ、この程度の責め苦では生温い、とばかりに、次々と新しい苦痛を与えられていくのだから、堪ったものではないわ。
(こんなの無理だってば!)
そう思った瞬間、鋭い痛みが全身を駆け巡ると共に、私は意識を失った。
次に目を覚ました時、目の前にいたのは、見知らぬ男性だった。
年齢は20代後半といったところだろうか。
中肉中背といった感じの体格に黒い髪と青い瞳の持ち主で、着ている服から判断するに聖職者なのだろうけれど、
とてもそんな風には見えない風貌をしていた。
彼は私のことを見下ろしながら、ゆっくりと口を開いた。
しかし、そこから発せられた言葉は意外なものだった。
私は一瞬、何を言われたのか理解できず、呆然としてしまった。
そうすると、それを見た男性は訝しげな表情を浮かべてから、再度繰り返した。
その内容は驚くべきもので、なんと彼こそが旦那様の仰っていた御友人であることが判明したのだった。
しかも、その方は聖光教会において枢機卿を務められている方らしく、更に驚いたことに旦那様とは旧知の仲なのだという。
それを知った途端、居ても立っても居られなくなり、慌てて自己紹介を済ませた後、これまでの経緯を説明することにした。
といっても、それほど長い話にはならないと思うのだけど、旦那様との出会いから現在に至るまでの話を簡単に纏めるとこんな感じになるのかしらね。
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