元男爵令嬢ですが、物凄く性欲があってエッチ好きな私は現在、最愛の夫によって毎日可愛がられています

45.

「あの、お願いします。私と子作りしてください」
そう言って頭を下げると、彼は優しく微笑んでくれます。
それが嬉しくてつい抱きついてしまいました。
それから暫く抱き合っていたのですが、ふと思い出したように質問されました。
どうやらこれからどうするつもりなのか知りたいようです。なので正直に答えます。
私には故郷へ帰るという目的がありますし、それを果たせずに死んでしまうわけにはいきませんからね。
だからその為の手段を探しに行こうと思います。
幸いお金ならありますしね。
それに、いざとなれば野宿すればいいんですし……そう言ったら呆れられてしまったようですね。
まあ、確かに無謀かもしれませんけど……仕方ありませんよね。
「えっと、では早速行動を開始したいと思います。
いつまでもここにいるわけにもいかないですし……」
と言ったのですが、すぐに止められてしまいました。
なんでも、ここで待っていればそのうちヴァルディール様が来てくれるはずだとか……それならそれで構いませんが、そうなると困りましたね。
とりあえず、この迷宮から出るまでは行動を共にするということになりました。
それにしてもこの人は一体誰なんでしょうか。
「私はアルヴィナと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
そう言いながら優雅に一礼してみせる姿はどこか儚げで美しいものでした。
だけど、その表情はとても寂しそうに見えました。
きっと何か事情があるのでしょうが、今は聞きません。
何故なら彼女の瞳には決意の色が浮かんでいたからです。
「わかりました。一緒に行きましょう」
私は笑顔で頷きました。
こうして私達は一緒に行動する事になったのです。
それから暫く歩いていると、やがて広い場所に出てきました。
どうやらここが終点みたいです。
目の前には大きな扉があり、その隣には魔法陣のような物が描かれている台座がありました。
それを見て思わず首を傾げてしまいましたが、
「これは転送用の魔方陣ですね」
と説明されたので納得です。
試しに触れてみたら起動してしまい、次の瞬間には別の場所に飛ばされていました。
そこは薄暗い部屋でした。
部屋の中央には怪しげな祭壇のようなものが鎮座しており、そこから紫色の光が溢れていて不気味でした。
そして部屋の四方には大きな鏡が設置されており、まるで自分の姿を映し出しているようでしたが、何故か歪んでいます。
不思議に思ってよく見てみると、それは自分の視界だと気づきました。
つまり私は今、三面鏡の中にいるような状態というわけです。
そこで不意に背後で扉が閉まる音が聞こえてきました。
驚いて振り向くとそこには見知らぬ女性の姿がありました。
その人は私に近づいてくると、微笑みながら話しかけてきました。
彼女はラズベリスという名前で、ここに住む魔女だそうです。
そして私は、彼女に気に入られてしまったらしく、しばらくの間、ここに滞在するように言われてしまいました。
何でも、ここには私の夫であるヴァルディール様がいらっしゃるそうで、彼に紹介してくれると言うのです。