王子の妹君を虐めて婚約破棄される私~実家で療養の為にお屋敷を貰い そこの領主となったのでのんびりスローライフを満喫したい~

一ノ瀬 彩音

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「おはようございます。リリス」
「おはよう。ミレナ」
私達は微笑み合う。
「またミレナの部屋に行ったのですか?」
「ああ」
「全く、毎日飽きずによくやりますね。ミレナも大変ですね」
「いえ、そんな事はないですよ」
「そうですか?   もし何かあったらいつでも相談に乗りますよ」
「ありがとうございます」
「では、失礼します」
そう言ってから去っていきました。
私は歩き出すとスティラが聞いてきたのです。
「なぁ、ミレナ」
「何ですか?」
「どうして君は俺を選んでくれたんだ?」
「それを今聞くの?」
「すまない。ただ、気になっただけだ」
「それは……好きになってしまったからですよ」
私が恥ずかしくなりながらも答えると、スティラは私を抱き締めてきました。
「ミレナ、好きだ」
「私もです」
私達が見つめ合っていると後ろから声を掛けられたのです。
「ミレナ~」
私達に声をかけてきたのはスティラの妹であるリリスです。
「あら、リリスどうしたのですか?」
「あの、ミレナ、少しお話があるので後で私の部屋に来てもらえませんか?」
私はスティラに視線を向けるとスティラは心配そうな顔をしながら言いました。
スティラは妹姫の頼みを断る事は出来ませんでした。
スティラが渋々その場を離れると、私に近づいてきて小声で囁いたのです。
スティラは耳が良いので聞こえているかもしれません。
「ミレナ、あいつの話を聞く必要はないぞ」
「それは駄目よ。だって、貴方の妹でしょう?
無下に扱うわけにもいかないじゃない」
「だが」
「大丈夫よ」
「わかった」
私はスティラと別れてから妹の部屋の前まで来ると、ノックをしました。
中から入室を許可する言葉が聞こえると私は扉を開けました。
「ミレナ、良く来てくれました」
「それで、私に用というのは?」
「ミレナ、貴女は兄様の妻です。
だから、私と仲良くしてくださらないでしょうか?」
「それはどういう意味でしょうか?」
「私と友達になって欲しいのです」
「つまり、私と友人関係になりたいと?」
私が聞き返すと、リリスは笑顔を浮かべて答えた。
どうやら私の考えは当たっていたらしい。
でも、何故私と?
疑問に思っていると、リリスが口を開いた。
何でも私はスティラのお気に入りで、スティラは私にご執心だからだとか。
確かに私はスティラの妻で、私を妻にしたので色々と頑張っているのを知っている。
でも、だからといって私に固執するのはおかしい。
私に執着しているのはスティラだけで、他の人達はそこまでではない。
まぁ、中には例外もいるけど。
でも、私はスティラが好きなので、リリスと仲良くするつもりはなかった。
ただ、それでもスティラの妹だし、無碍に扱えないのが辛いところだ。
それに、スティラが私の事を気に入っているから私と仲の良い所を見せつければ
スティラは嫉妬してくれるかもしれないと思ったからだ。
私はスティラと一緒に居られる時間が少なくて寂しい思いをしていた。
本当はもっと一緒に居たい。
でも、それは無理だった。
それが酷く悲しかった。
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