王子の妹君を虐めて婚約破棄される私~実家で療養の為にお屋敷を貰い そこの領主となったのでのんびりスローライフを満喫したい~

一ノ瀬 彩音

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とっても気分が悪くて頭もいたくなりましたの。
それにお昼御飯はあまり食べたくないと思っていたら、
スティラはミレナを自室に連れて行き、 部屋の鍵を掛けてしまった事に焦ってしまいました。
スティラが近寄って来たのを見て慌てて ミレナは
「大丈夫、心配しなくても平気です!」
と言ったのですけど スティラはそんな言葉を信じてはくれず無理やり部屋にあるベッドに押し倒されたのです。
スティラはミレナの手首を縛り、馬乗り状態で上からミレナを見下ろして 顔を覗き込むのです。
それから額に手を置いて体温を確認した後、首筋、乳房部、腹部、臀部 と触診していきましたの。
「どこも異常は無い。むしろ普段より温かい」
「スティラ!  これは一体どういうつもり!」
スティラに組み敷かれた事で頭が冷えていき先程の自分の状況を思い出すと顔が一気に火照ってしまうのです。
ミレナの声に驚いたのか一瞬手を止めたのですけど再び作業に戻るのです。
乳房元を開けられてスティラが肌に触れると
「ひゃう!」
(やっ、やめて)
「やっぱりいつもより高い温度だが。しかし……」
「スティ、ラ」
手が止まると
「お前、何を考えている!」
スティラの顔色が変わると怒って怒鳴ってきたので怖くて怯えてしまい、目に涙が出てきたのです。
私のせいでこんなに怒っているのだと思うと悲しくなってきました。
「ごめんなさい。こんな、私がいけなかったんですよね、
勝手に貴方と仲良くしたいとか思っちゃってこんな事をさせてしまう私が悪いのです。
私は、もう、スティラの婚約者で居る資格はないのですね」
ミレナは泣きながらスティラに謝罪して、この場から逃げ出そうとしますが、
スティラは逃がしてくれませんでした。
「悪いのは俺だ。本当にすまない。でもこのまま俺から逃げたら絶対に後悔する」
スティラがこんなに慌てたり真剣になったりするのは珍しいと思うのです。
(きっと本気で私の事が好きなんだ)
ミレナはその想いに答えようと思いました。
そして2人っきりになる為に移動した先は 以前スティラの両親に会食した食堂でした。
あそこなら使用人達は仕事があるから誰も居ませんもの。
今思うとここで私達は出会ったのだと懐かしく思うのです。
あの時はあの人では無くて貴方と結ばれたのが運命なのかしら?
そう思うミレナは椅子に座り、スティラはミレナの後ろから抱きかかえる形で膝の上に乗せました。
「スティラ、その、近いのですけど。あと、せ、狭いですわ」
「もう少しだけ辛抱してくれないか?」
「はい、わかっていますわ」
スティラが耳元で囁いてくる度に体がビクついてしまう自分が恨めしく思いました。
ミレナが席について落ち着いた頃にスティラが口を開きました。
「実は俺は結婚適齢期なんだ。もう婚約も決まっているのだが それは政略的なもので、
正直俺は結婚したくないと思っている。
理由はまぁ、うん。言いにくいがミレナは知っているだろう」
「え、あっ」
「まぁ、あんな事があったんじゃ当然の反応だよな。
親父は王家と血縁関係を作りたいだけだし、その母親もそうだ。
でも、ミレナは違うだろ。
ミレナはただ俺を慕ってくれているだけで十分だと思っている。
それだけで十分なんだよ。
ミレナ、好きだ。愛している。
君と添い遂げたい」
「はい」
嬉しさのあまり思わず泣いてしまった。
「だからその、無理強いするつもりはないし、
今日みたいな事になってしまうのは俺も嫌だしな」
スティラは苦笑いをしながら答えるのです。
「いいのです、私が我慢すれば良いだけですもの」
「そういうわけにもいかないさ」
「えっ?」
ミレナは驚いてしまいました。だってまさかスティラがそんな事を言うなんて
夢にも思ってはいなかったものですから。
そんなミレナの心を見透かしたかのようにスティラは言ったのです。
「別に俺だって普通に女好きさ。ミレナは別だけど、可愛い子は全員タイプだ。
乳房大きい子が特に大好きだけど、小さい子だって悪くないぞ。
俺が言いたかったのはだな、 俺と結婚すれば必然的にミレナは王族の一員という扱いを受ける事になる。
つまり俺はミレナを王妃様として迎えるという事だ。
王都での暮らしは間違いなく華やかだ。俺なんかが一緒になればすぐに他の貴族達に目を付けられる。
ミレナの望むような生活とはかけ離れるかもしれない。
それに、もし仮に俺と結婚したら国王の子を身籠ったら次期女王候補筆頭になれる可能性が高まる。
それは非常に不味いのだ。
本来ならばミレナの年齢でそのような事を言われても実感など無い筈なのだが、 今のミレナは貴族の一人だからな。
俺と結婚するのなら 色々な覚悟を決めて欲しい」
スティラは真面目な顔をしてミレナの目を見つめていたのです。
ミレナはそんなスティラを見てとても幸せになりました。
だからでしょうか ミレナは自然と 言葉を紡いでいました。
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