34 / 38
34.
しおりを挟む
「いいえ、本当に何でもないの」
「ただ、ちょっと不安なだけよ」
「それより、ここはどこなんですか?」
と、聞くと、クリスは言った。
「ああ、ここは街の中だよ」
「王都に比べると小さいけど、なかなか住みやすいところだ」
「じゃあ、行こう」
と、言うと、アイリスの手を取って歩き出した。
大きな通りを歩いて行くと、やがて建物が少なくなってきた。
道も整備されていない。
雑草が生い茂っている。
でも、不思議と嫌な感じではない。
むしろ心地よい雰囲気だ。
と、思っていると、やがて小さな家が見えてきた。
何だろ? と思っていると、クリスは言った。
「着いたよ」
「これが僕の家だ」
と、言うと、家の扉を開けた。
そして、アイリスを連れて中に入った。
家は質素な作りで、部屋が4つあった。
クリスはアイリスに言った。
「さあ、入って」
「狭い家で悪いけど」
「どうぞ」
と、言うので、アイリスはお礼を言う。
「ありがとうございます」
と、言うと、クリスは言った。
「いやいや、気にしないで」
「それよりも、座って話をしよう」
「お茶を入れるから」
と、言うので、私は椅子に座って言った。
「はい」
と、言うと、クリスは台所の方へと歩いて行った。
しばらくして、クリスが戻ってくると、テーブルの上にカップを置いて言った。
「どうぞ」
「熱いから、火傷しないように注意してくれ」
「砂糖とミルクはそこにあるから自由に使って」
と、言うので私はお礼を言う。
「はい」
「いただきます」
と、言うと、私は紅茶を一口飲んだ。
美味しい。
と、思っていると、クリスは言った。
「それで?」
「君はどうしてあんな場所に?」
と、聞くので、私は答えた。
「はい」
「私達が住んでいた国では戦争が起こっていました」
「王子様は私を逃がすために自ら敵国へ赴いて戦ってくださいました」
「でも、王子様とはぐれてしまって」
「1人で逃げていたところを、親切な方に助けて頂きました」
「それが、クリスさんです」
と、言うと、クリスはうなずいた。
「なるほど」
「そういう事だったのか」
「辛い事を思い出させて申し訳ない」
「いやいや、そんな事はいいんだよ」
「そんな事より、これからの事を考えよう」
と、言うので私は聞き返した。
「これからの事?」
「はい」
「私達はどうするのですか?」
と、言うと、クリスは言った。
「そうだなぁ」
「とりあえずしばらくはこの家に住めばいいと思う」
「どうだい?」
と、聞かれると、私は答えた。
「はい!」
と、元気よく返事をした。
それを見てクリスは言った。
「そうか」
「じゃあ、決まりだ」
「貴方は何者なんですか」
と、聞くと、クリスは答えた。
「僕は旅人だよ」
「たまたまこの街に来たんだ」
「そうしたら、君を見つけた」
「それだけさ」
「まあ、細かい話はおいおい」
「それより、今日はもう遅いし」
と、言うので時計を見ると、既に夜になっていた。
どうやら結構時間が経っていたらしい。
確かに、疲れた。
それに、色々あって頭も混乱している。
少し休んだ方がいいかもしれない。
と、思うと、クリスは言った。
「ただ、ちょっと不安なだけよ」
「それより、ここはどこなんですか?」
と、聞くと、クリスは言った。
「ああ、ここは街の中だよ」
「王都に比べると小さいけど、なかなか住みやすいところだ」
「じゃあ、行こう」
と、言うと、アイリスの手を取って歩き出した。
大きな通りを歩いて行くと、やがて建物が少なくなってきた。
道も整備されていない。
雑草が生い茂っている。
でも、不思議と嫌な感じではない。
むしろ心地よい雰囲気だ。
と、思っていると、やがて小さな家が見えてきた。
何だろ? と思っていると、クリスは言った。
「着いたよ」
「これが僕の家だ」
と、言うと、家の扉を開けた。
そして、アイリスを連れて中に入った。
家は質素な作りで、部屋が4つあった。
クリスはアイリスに言った。
「さあ、入って」
「狭い家で悪いけど」
「どうぞ」
と、言うので、アイリスはお礼を言う。
「ありがとうございます」
と、言うと、クリスは言った。
「いやいや、気にしないで」
「それよりも、座って話をしよう」
「お茶を入れるから」
と、言うので、私は椅子に座って言った。
「はい」
と、言うと、クリスは台所の方へと歩いて行った。
しばらくして、クリスが戻ってくると、テーブルの上にカップを置いて言った。
「どうぞ」
「熱いから、火傷しないように注意してくれ」
「砂糖とミルクはそこにあるから自由に使って」
と、言うので私はお礼を言う。
「はい」
「いただきます」
と、言うと、私は紅茶を一口飲んだ。
美味しい。
と、思っていると、クリスは言った。
「それで?」
「君はどうしてあんな場所に?」
と、聞くので、私は答えた。
「はい」
「私達が住んでいた国では戦争が起こっていました」
「王子様は私を逃がすために自ら敵国へ赴いて戦ってくださいました」
「でも、王子様とはぐれてしまって」
「1人で逃げていたところを、親切な方に助けて頂きました」
「それが、クリスさんです」
と、言うと、クリスはうなずいた。
「なるほど」
「そういう事だったのか」
「辛い事を思い出させて申し訳ない」
「いやいや、そんな事はいいんだよ」
「そんな事より、これからの事を考えよう」
と、言うので私は聞き返した。
「これからの事?」
「はい」
「私達はどうするのですか?」
と、言うと、クリスは言った。
「そうだなぁ」
「とりあえずしばらくはこの家に住めばいいと思う」
「どうだい?」
と、聞かれると、私は答えた。
「はい!」
と、元気よく返事をした。
それを見てクリスは言った。
「そうか」
「じゃあ、決まりだ」
「貴方は何者なんですか」
と、聞くと、クリスは答えた。
「僕は旅人だよ」
「たまたまこの街に来たんだ」
「そうしたら、君を見つけた」
「それだけさ」
「まあ、細かい話はおいおい」
「それより、今日はもう遅いし」
と、言うので時計を見ると、既に夜になっていた。
どうやら結構時間が経っていたらしい。
確かに、疲れた。
それに、色々あって頭も混乱している。
少し休んだ方がいいかもしれない。
と、思うと、クリスは言った。
0
お気に入りに追加
426
あなたにおすすめの小説

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。※R6.5/18お気に入り登録300超に感謝!一話書いてみましたので是非是非!
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。 ※R7.2/22お気に入り登録500を超えておりましたことに感謝を込めて、一話お届けいたします。本当にありがとうございます。
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
悪役令嬢のビフォーアフター
すけさん
恋愛
婚約者に断罪され修道院に行く途中に山賊に襲われた悪役令嬢だが、何故か死ぬことはなく、気がつくと断罪から3年前の自分に逆行していた。
腹黒ヒロインと戦う逆行の転生悪役令嬢カナ!
とりあえずダイエットしなきゃ!
そんな中、
あれ?婚約者も何か昔と態度が違う気がするんだけど・・・
そんな私に新たに出会いが!!
婚約者さん何気に嫉妬してない?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる