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「これが数時間後に起こる事?」
「そうだ、このままでは君は自身がこう接する」
「どうすればいい?」
「君の未来は決まっている」
「教えて欲しい」
「彼女を探してこう言う事だ」
「愛している、今までごめんよっと」
「正解だ」
「他には?」
「後は自分で考えろ」
「そうか」
「最後に一つだけ忠告しておく」
「何だ?」
「君が彼女を幸せにするんだぞ」
「わかっている」
「それじゃあ、行くがよい」
「ありがとう」
「ああ、気をつけて帰れよ」
「さよなら」
「ああ、達者で暮らせ」
「え?」
「さらばだ」
「待ってくれ」
「何じゃ?」
「名前を教えてくれないか?」
「わしの名前か?」
「ああ」
「わしの名前は……」
「どうした?」
「すまん、とうに忘れて忘れてしまった」
「何だって?」
「すまぬ、気にするな、ではな」
そう言うと大きな風が吹き荒れ気づけば空き地に成っていた。
そこに立っていたのはアイリスだった。
アイリスはクリスの所まで走って来て、飛びついた。
アイリスは泣きじゃくっている。
王子はアイリスを強く抱きしめて、頭を撫で続けた。
しばらくして落ち着くと、アイリスは顔を上げて、笑顔を見せた。
王子も微笑んだ。
「『愛している、今までごめんよ』アイリス」
そう言いながら王子はアイリスをふんわりと抱きしめる。
その光景を見ながら、私は思う。
(これでいいのだ)
私は自分の仕事を果たした満足感に浸っていた。
(それにしても、あの占い師は何者だろうか?)
私は考えたが答えは出なかった。
それから数日が経過して、私は王宮に来ていた。
目的は国王に会うためだ。
王の間で待っていると、国王が現れた。
私を見るなり、話しかけて来た。
私は挨拶をして用件を切り出す。
国王から呼び出された理由を聞く為だ。
国王は重い口を開いた。
「占い師にまでならせてすまなかった」
「私達の子の未来ですもの、あのまま行くとアイリスとクリスは確実に破綻していたでしょう」
「そうだな、お前には苦労を掛けた」
「そうね、ねぇ、貴方」
「何んだ我妻よ」
占い師のフードを取りやがて銀色の綺麗な長い髪に戻って行く。
「これて、私達の子は」
「後は栗栖を信じようではないか、我が妻よ」
「ええ」
そう言いながらお互いにキスを交わすのでした。
ゆっくりと夜の帳が下りて来る。
アイリスはと言えば王子の部屋でのんびりしていた。
「どうした? アイリス」
「いえ、こうして2人きりで居ると、初めて会った時の事を思い出したんです」
「そうか」
「懐かしいわね」
「そうだな」
「クリス王子」
「何だ?」
「好きです」
「俺もだよ」
「ずっと一緒に居たい」
「俺もだ」
「このまま起きていてもいいですか?」
「眠れないのか」
「ええ、興奮しています」
そう言いながら潤んだ瞳で見つめるアイリスに王子は苦笑で返す。
王子はそっと手を伸ばし、アイリスの髪を優しく撫でた。
すると、アイリスは猫のように目を細めて嬉しそうな顔をする。
そんな仕草一つ一つが可愛くて仕方がない。
そんな事を考えていると、アイリスは甘えた声で言った。
「クリス様」
「そろそろ様付けは止めないか? 呼び捨てで呼べよ」
アイリスは少し考えて答えた。
王子はそんなアイリスを優しい目で見守っていた。
そんな王子をアイリスはじっと見つめていた。
やがて意を決したように言葉を口にした。
「クリス」
恥ずかしそうに下を向いて、両手を乳房の前で組みながら、上目遣いで王子を見上げた。
王子はアイリスを引き寄せると、キスをした。
最初は触れるだけの軽いキスを何度も繰り返した。
アイリスの身体からは力が抜けて行く。
「そうだ、このままでは君は自身がこう接する」
「どうすればいい?」
「君の未来は決まっている」
「教えて欲しい」
「彼女を探してこう言う事だ」
「愛している、今までごめんよっと」
「正解だ」
「他には?」
「後は自分で考えろ」
「そうか」
「最後に一つだけ忠告しておく」
「何だ?」
「君が彼女を幸せにするんだぞ」
「わかっている」
「それじゃあ、行くがよい」
「ありがとう」
「ああ、気をつけて帰れよ」
「さよなら」
「ああ、達者で暮らせ」
「え?」
「さらばだ」
「待ってくれ」
「何じゃ?」
「名前を教えてくれないか?」
「わしの名前か?」
「ああ」
「わしの名前は……」
「どうした?」
「すまん、とうに忘れて忘れてしまった」
「何だって?」
「すまぬ、気にするな、ではな」
そう言うと大きな風が吹き荒れ気づけば空き地に成っていた。
そこに立っていたのはアイリスだった。
アイリスはクリスの所まで走って来て、飛びついた。
アイリスは泣きじゃくっている。
王子はアイリスを強く抱きしめて、頭を撫で続けた。
しばらくして落ち着くと、アイリスは顔を上げて、笑顔を見せた。
王子も微笑んだ。
「『愛している、今までごめんよ』アイリス」
そう言いながら王子はアイリスをふんわりと抱きしめる。
その光景を見ながら、私は思う。
(これでいいのだ)
私は自分の仕事を果たした満足感に浸っていた。
(それにしても、あの占い師は何者だろうか?)
私は考えたが答えは出なかった。
それから数日が経過して、私は王宮に来ていた。
目的は国王に会うためだ。
王の間で待っていると、国王が現れた。
私を見るなり、話しかけて来た。
私は挨拶をして用件を切り出す。
国王から呼び出された理由を聞く為だ。
国王は重い口を開いた。
「占い師にまでならせてすまなかった」
「私達の子の未来ですもの、あのまま行くとアイリスとクリスは確実に破綻していたでしょう」
「そうだな、お前には苦労を掛けた」
「そうね、ねぇ、貴方」
「何んだ我妻よ」
占い師のフードを取りやがて銀色の綺麗な長い髪に戻って行く。
「これて、私達の子は」
「後は栗栖を信じようではないか、我が妻よ」
「ええ」
そう言いながらお互いにキスを交わすのでした。
ゆっくりと夜の帳が下りて来る。
アイリスはと言えば王子の部屋でのんびりしていた。
「どうした? アイリス」
「いえ、こうして2人きりで居ると、初めて会った時の事を思い出したんです」
「そうか」
「懐かしいわね」
「そうだな」
「クリス王子」
「何だ?」
「好きです」
「俺もだよ」
「ずっと一緒に居たい」
「俺もだ」
「このまま起きていてもいいですか?」
「眠れないのか」
「ええ、興奮しています」
そう言いながら潤んだ瞳で見つめるアイリスに王子は苦笑で返す。
王子はそっと手を伸ばし、アイリスの髪を優しく撫でた。
すると、アイリスは猫のように目を細めて嬉しそうな顔をする。
そんな仕草一つ一つが可愛くて仕方がない。
そんな事を考えていると、アイリスは甘えた声で言った。
「クリス様」
「そろそろ様付けは止めないか? 呼び捨てで呼べよ」
アイリスは少し考えて答えた。
王子はそんなアイリスを優しい目で見守っていた。
そんな王子をアイリスはじっと見つめていた。
やがて意を決したように言葉を口にした。
「クリス」
恥ずかしそうに下を向いて、両手を乳房の前で組みながら、上目遣いで王子を見上げた。
王子はアイリスを引き寄せると、キスをした。
最初は触れるだけの軽いキスを何度も繰り返した。
アイリスの身体からは力が抜けて行く。
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