悪役令嬢は穢れを知らない~溺愛王子に処女を奪われて、淫蜜と愛蜜の狭間で~

一ノ瀬 彩音

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その視線に射抜かれ、心臓の鼓動が早くなるのを感じる。
アイリスは王子の元へ近づくと、床に膝をついて頭を垂れた。
「おはようございます。本日もお招きいただき光栄でございます」
「ああ、よく来てくれた。まずはそこに座ってくれるかな?」
「はい」
王子の言葉に従い、椅子に腰掛ける。
「体調はどうだい?」
「少し身体が痛みます」
「そうだろうね。私も同じだ」
「えっ?」
王子の言葉に驚いていると、王子は苦笑いをしながら言った。
「大丈夫。命に関わるようなものではないから」
「そうなんですね」
ホッとするアイリスだったが、王子の次の言葉で再び緊張が走った。
「ああ。ただ、24時間経つまではまともに動けないだろう」
「そうですね」
「そこでだ。今日は君にやって欲しいことがある」
「なんなりとお申し付けください」
「ありがとう。では、これを飲んでくれないだろうか?」
そう言って王子は例の聖水の瓶を取り出した。
「これを?」
「ああ」
アイリスは王子の意図がわからず首を傾げる。
「これは君の為でもあるんだ」
「私のため?」
「ああ。君が神のご意思に従う立派な信者であることは分かっている。
だが、それでも私は君のことが心配なんだ」
「王子……」
王子の言葉にアイリスは感動を覚える。
だが、王子は構わず続けた。
「だから、今日一日は私の言うことに従ってほしい」
「わかりました」
「じゃあこれを飲むんだ」
差し出された聖水の入った小瓶を受け取ると、アイリスは一気に飲み干した。
「んっ、ごくっ」
「どうだい?  気分は?」
「はい。特に変わったところはありません」
「そうだろうね。だってこれは偽物だから」
「えっ?」
王子はアイリスの持っていた小瓶を取り上げると、それを部屋の隅に投げ捨てた。
「一体どういうことですか?」
「君に嘘をつくのは心苦しいが、これも君のことを想ってのことなんだ」
「どういうことなの?」
「君が神に心を捧げていることは知っている。
だからこそ、私は君に神の加護を授けることにした」
「それがさっき言っていた副作用のこと?」
「ああ。だけど、君が私の元に来る度にあんなことをしていたんじゃ、君はいつか壊れてしまう」
「だからって……」
「君を思う気持ちは本物だ。だから、せめて君が神の加護を得た時と同じ状態になれば、
君も私のことを信頼してくれるんじゃないかと思ってね」
「……」
王子の言いたいことはわかる。
でも、それと騙されたことへの怒りが相殺されるわけではない。
「ふざけないで!」
アイリスは立ち上がり王子を睨みつける。
「どうしてそんなことをするのよ!
私だってあなたのことを愛しているのに!」
「君も私を愛している?  本当に?」
「当たり前じゃない!」
「なら何故、私が用意したものを受け取らない?」
「それは……」
王子が言っているのは、聖水のことだろう。
確かに、普通に考えればこんな怪しいものを飲もうとしない。
「君は以前こう言ったはずだ。『王子の用意してくださるものは全てありがたく頂戴します』とね」
「それは……」
王子の言葉に、アイリスは俯く。
「君がそう言ってくれたから、私は君の為に尽くしてきたつもりだよ。
それなのに、君は私のことを裏切るというのかい?」
「それは……」
アイリスは唇を強く噛む。
「…………わかったわ」
「アイリス?」
「あなたを信じてみる」
「信じてくれるのかい?」
「ええ」
アイリスは王子の目を真っ直ぐに見据える。
「でも、一つだけ条件があるわ」
「何だい?」
「これからは私のいうことをちゃんと聞いてもらうわ」
「わかった。君が望むのであればなんでもしよう」
「約束する?」
「ああ」
「じゃあ、キスをして」
「そんなことでいいのかい?
もちろん構わないよ」
王子はアイリスの肩を掴むと、そのまま口づけをした。
「んっ」
「これでいいかい?」
「まだよ」
アイリスは王子の首の後ろに腕を回すと、そのまま引き寄せた。
「もっと深くお願い」
「仰せのままに」
王子はアイリスの口内に舌を差し入れる。
「ちゅっ、くちゅっ」
そのまま二人は抱き合うようにベッドの上に倒れ込んだ。
「ぷはっ」
息苦しくなったのか、アイリスは王子から口を離す。
二人の口の間には唾液の橋が架かり、やがて切れた。
「はぁ、はぁ」
荒い呼吸を繰り返すアイリス。
その目は潤んでおり、頬も上気している。
「これでいいかい?」
「いいわけ無いでしょ」
「じゃあ何をすればいい?」
「決まってるでしょ」
アイリスは服を脱ぎ始める。
「アイリス!?︎」
突然の行動に王子が慌てる。
アイリスはそんな王子を無視して全ての衣服を脱ぎ去ると、裸体を晒した。
「アイリス、なんて美しい……」
王子は思わず見惚れる。
雪のように白い肌。
細いウエストに、形の良い胸。そしてその先端にあるピンク色の突起がとても艶めかしい。
そして、下腹部には薄く生えた金色の毛が、その奥に隠されているであろう花弁を想像させる。
「アイリス」
王子はアイリスに覆い被さる。
そしてそのまま抱きしめようとしたその時、アイリスが王子を押し退けた。
「ダメよ」
「えっ?」
「その前にすることがあるでしょ?」
アイリスは微笑を浮かべながら言った。
「その前にすること?」
「ええ。まずはそこに座ってくれるかしら?」
言われるがままに王子はその場に座り込む。
すると、アイリスは王子の前に膝立ちになった。
そして、おもむろに王子のモノを両手で掴むと、自分の口に含んだ。
「アイリス何をっ」
アイリスの予想外の行動に驚く王子。
しかし、当の本人は気にせず続ける。
やがて、アイリスの小さな口では入りきらないほどの大きさになると、アイリスは一度口から出した。
「次はこっちを使ってちょうだい」
そう言って自らの花弁を指差すと、王子に背を向けた状態で跨った。
「いくわよ」
王子の顔に手を添えると、ゆっくりと腰を下ろしていく。
「んっ」
「アイリス、これは一体?」
「ふふ、これが本当のセックスよ」
「セッ、クス?」
聞き慣れない言葉に戸惑う王子。
「大丈夫よ。すぐに気持ちよくなるから」
アイリスはそのまま腰を下ろすと、王子の全てを呑み込んだ。
「ああ、これが王子の……」
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