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もしや、これは魔力暴走ではないのか? 以前にも似たような経験をしたことがあるため、そうではないかと予想したのだが、
だとするとまずい状況だ。このまま放置しておくと、最悪命を落としかねないだろう。
かといって今の私に対処する方法はないに等しい、どうしたものかと頭を悩ませていた時だった。
不意に後ろから声をかけられたのは、聞き覚えのある声だったために振り返ってみると、そこには皇帝陛下が立っていた。
どうしてここに!? 驚きのあまり固まっていると、彼が声をかけてきた。
だが、その内容は私の想像していたものとは大きく異なっていたのだ、
何と彼は私の身体に起こっている異変について知っていたような口ぶりだったのだ!
なぜそのことを知っているのかと問いかけたところ、返ってきた答えは次のようなものだった。
実は、数日前から妙な胸騒ぎのようなものを感じていたらしく、その原因を突き止めるために色々と調べて回っていたらしい。
その結果、一つの可能性に行き着いたとのことなのだが、確証がなかったこともあり、確信を得るためにこうして私を呼び出したのだという。
そこまで話を聞いたところで、思わず溜息を漏らしてしまった、つまりは最初からバレてしまっていたというわけである。
もちろん恥ずかしいという気持ちはあったけれど、それ以上に嬉しかったというのが本音だった。
だってそうだろう、これまで隠し通してきたというのに、それをあっさりと見破られてしまったのだから、怒るどころか感謝したいくらいだった。
そんな私の様子を見て何かを察したのだろう、皇帝陛下は何も言わずに優しく抱きしめてくれた、そして耳元で囁くように言ってきた。
「これからは俺がお前を守ってやる、だから安心しろ」
その一言で胸が高鳴るのを感じた、それと同時に頬が熱くなるのが分かった、恐らく真っ赤になっているのだろうと思った時、急に眠気に襲われたことで、
意識が遠のいていくのを感じた。
最後に見たのは彼の優しい笑顔だった――。
目を覚ますとそこはベッドの上だった、ゆっくりと身体を起こすと辺りを見回す、するとすぐ隣に誰かがいることに気付いてそちらに目を向けると、
そこにいたのは他でもない皇帝陛下だった。
思わず声を上げそうになったが、何とか堪えることが出来たようだ。
それにしてもいつの間に帰ってきたのだろうか? そんなことを考えていると、ふいに声を掛けられる――その声はとても穏やかで優しかった。
しかし、同時にどこか不安げな響きも含んでいたことから、何かあったのではないかと推測する。
そこで何があったのか聞いてみたのだが、上手くはぐらかされてしまったので、それ以上聞くことは出来なかった。
その後、朝食を食べ終えた後で、ルミアさんに連れられて自室へと戻ってきたわけだが、特にこれといった変化はなかったように思う。
強いて言うならば、少しだけ体調が良くなっていることだろうか、
もしかするとこれも皇帝の言っていたことが関係しているのかもしれないと考えたところで、不意にドアがノックされた。
返事をしてから扉の方へと向かうと、そっと開いて外の様子を確認する、するとそこに立っていたのは、皇帝陛下その人だったのである。
一体何の用なのかと思っていると、部屋の中に入ってきた彼が口を開いた。
何でも、話があるそうなのだが、一体何の話なのだろうか? 思い当たる節がないわけではなかったが、
まさかね――そんなことを思いながら彼の言葉を待っていると、意外な言葉が飛び出してきたのだった。
だとするとまずい状況だ。このまま放置しておくと、最悪命を落としかねないだろう。
かといって今の私に対処する方法はないに等しい、どうしたものかと頭を悩ませていた時だった。
不意に後ろから声をかけられたのは、聞き覚えのある声だったために振り返ってみると、そこには皇帝陛下が立っていた。
どうしてここに!? 驚きのあまり固まっていると、彼が声をかけてきた。
だが、その内容は私の想像していたものとは大きく異なっていたのだ、
何と彼は私の身体に起こっている異変について知っていたような口ぶりだったのだ!
なぜそのことを知っているのかと問いかけたところ、返ってきた答えは次のようなものだった。
実は、数日前から妙な胸騒ぎのようなものを感じていたらしく、その原因を突き止めるために色々と調べて回っていたらしい。
その結果、一つの可能性に行き着いたとのことなのだが、確証がなかったこともあり、確信を得るためにこうして私を呼び出したのだという。
そこまで話を聞いたところで、思わず溜息を漏らしてしまった、つまりは最初からバレてしまっていたというわけである。
もちろん恥ずかしいという気持ちはあったけれど、それ以上に嬉しかったというのが本音だった。
だってそうだろう、これまで隠し通してきたというのに、それをあっさりと見破られてしまったのだから、怒るどころか感謝したいくらいだった。
そんな私の様子を見て何かを察したのだろう、皇帝陛下は何も言わずに優しく抱きしめてくれた、そして耳元で囁くように言ってきた。
「これからは俺がお前を守ってやる、だから安心しろ」
その一言で胸が高鳴るのを感じた、それと同時に頬が熱くなるのが分かった、恐らく真っ赤になっているのだろうと思った時、急に眠気に襲われたことで、
意識が遠のいていくのを感じた。
最後に見たのは彼の優しい笑顔だった――。
目を覚ますとそこはベッドの上だった、ゆっくりと身体を起こすと辺りを見回す、するとすぐ隣に誰かがいることに気付いてそちらに目を向けると、
そこにいたのは他でもない皇帝陛下だった。
思わず声を上げそうになったが、何とか堪えることが出来たようだ。
それにしてもいつの間に帰ってきたのだろうか? そんなことを考えていると、ふいに声を掛けられる――その声はとても穏やかで優しかった。
しかし、同時にどこか不安げな響きも含んでいたことから、何かあったのではないかと推測する。
そこで何があったのか聞いてみたのだが、上手くはぐらかされてしまったので、それ以上聞くことは出来なかった。
その後、朝食を食べ終えた後で、ルミアさんに連れられて自室へと戻ってきたわけだが、特にこれといった変化はなかったように思う。
強いて言うならば、少しだけ体調が良くなっていることだろうか、
もしかするとこれも皇帝の言っていたことが関係しているのかもしれないと考えたところで、不意にドアがノックされた。
返事をしてから扉の方へと向かうと、そっと開いて外の様子を確認する、するとそこに立っていたのは、皇帝陛下その人だったのである。
一体何の用なのかと思っていると、部屋の中に入ってきた彼が口を開いた。
何でも、話があるそうなのだが、一体何の話なのだろうか? 思い当たる節がないわけではなかったが、
まさかね――そんなことを思いながら彼の言葉を待っていると、意外な言葉が飛び出してきたのだった。
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