悪役令嬢は『ざまぁ』したいのに、どうしてこうなる！？

64.

私より美しく、私なんかよりも
スタイルが良く、性格も良い。
私と違って誰からも慕われており、
そして誰もが振り向いてくれるほどの
美貌を持っている。
今まで何度もそう思って来たが、
それが違うということをユリウス様と
過ごして理解させられた。
私はその日の夜は眠れなかった。
その次の日、私は決意する。
例え何を犠牲にすることになろうとも
必ず奴の本性を全て暴いてやる。
そのためにはどんな手を使ってでも
やってやりましょう。
私にはある特技がある。
その特技を使えばユリウス様をこちら
側に引き戻すことができるかも
しれないという希望を抱くことが
できた。
私は、その特技を存分に活用し、
ユリウス様を私のものにするために
動き出すのであった。
私はユリウス様の弱点を探るために
色々と試した結果、分かったことが
ありました。
それは、ユリウス様は私がいないと
何も出来ない人間だということが
判明したのである。
「カルネ様。ユリウス様のご様子が
最近おかしいと噂されておりますが、
カルネ様はどのように思われて
いられるのですか？  私、とても
不安でございます」
私はある日、メイドのルゥに呼び
出されるとその言葉を投げかけられた。
どうやら最近のユリウス様は私に
冷たい態度を取るようになり、私を
遠ざけるような行動を取り始めている
と他の人から聞いたことがある。
だけど私はその事を特に気にしている
わけではなかった。
そのせいかユリウス様の行動を注意する
こともしなければ私から何かをする
ということも無いので最近はお互いに
必要最低限以外の会話をしていない。
「そろそろ俺達の関係に終止符を
打とうと思っているんだよね正直さぁ。
あいつとこれ以上一緒にいるのが
辛いんだよ。お前の気持ちは知って
いる。けどもう限界なんだ。
別れてくれないか。そして新しい
恋人を作るとかさ。そういうことを
してもいいだろう？」
彼はそんな言葉を吐き捨てると私に
背を向けるとそのまま立ち去って行く。
その背中を見て、私は心が張り裂ける
ほどの悲しみに襲われてその場に座り
込んでしまった。
カルネは、今日こそは夫の本当の
姿を教えなければならないと考え
ながら屋敷を歩いているとその先に
見えたのは彼の部屋の前に立っている
一人の女性の姿が視界に入る。
すると、女性はカルネの姿を
見かけるなり、満面の笑顔を浮かべ
ながら駆け寄ってきたかと思いきや
その腕にしがみつくようにして身を
寄せて来たではないか！？
それに驚いたカルネはその身を硬直
させながら身震いさせると同時に、
冷や汗を流し始める。
すると彼女はそんなカルネに対して
不思議そうに見上げて来ると小声で
話し掛けてきました。
「あら？ あなたはこの方の使用人
かしら？  ちょうど良かったわ！ 
ねぇ、貴方、私の相談に乗って
くれないかな？」
私はその質問に答えると早速仕事に
戻るため歩き出そうとした。