14 / 30
14.
しおりを挟む
「……もう、こんな遅い時間に何をされているのでしょうか?」
そう呟きながらも見守っていきました。
ルヴァスの行動を観察していたのですが、暫くしてルヴァスの前に一人の女性が現れたのです。
しかも、女性は私と同じ貴族令嬢の格好をしていました。
それで私は驚いてしまったのよ。
何故、貴族の娘があんな場所に一人で現れたのかを不思議に思っていたら、ルヴァスの知り合いだという事が判明しました。
……いえ、正確にはルヴァスに言い寄っているのかもしれません。
そうでなければ夜中に二人で会う理由が無いのよ。
それで私には確信に近い何かがあったの。
「ねぇルヴァス様、今日は私と一緒に過ごして欲しいの。
だからお願いを聞いてくれるかしら。それと今夜は二人っきりで過ごしたいわね」
彼女は甘えるようにしてルヴァスの腕にしがみ付いておりました。
それに対してルヴァスはというと迷惑そうにしております。
それもその筈。
ルヴァスは女性に対して嫌悪感を持っているから。
だから私は、その事実を知っていましたので彼女を遠ざけようとしたの。
けれど、ルヴァスが彼女の申し出を断ったのを見て安心していました。
(よかった~。流石ルヴァスね。私がお願いした通りにしてくれてる)
「すまないが、今日は遠慮して欲しい。今日は彼女と約束をしているのでな。悪いな。
それから何度も言うようだがこればかりは勘弁してほしいな。お前さんと恋人ごっこに興じるつもりは、こちらにはないのだよ。
さっさと帰ってくれ。そうすればお互いに不快な思いはしなくて済むだろう?」
ルヴァスの言葉に傷付いた様子を見せた彼女でしたが、そのまま何も言わずに立ち去ろうとし始めました。
「ふん、つれない人。いいえ、分かっているのよ……。
本当はね。貴男が私の事を本気で愛していない事もね。それでも構わないのよ。今は少しでもいいから一緒にいたいから」
悲しげな顔をしながらそう口にしているのを目にすると、私は思わず駆け寄りたくなりましたが我慢します。
何しろ彼女が去って行く前に一言二言ほど、交わし合った後でルヴァスが追い払うかのように手を振ったのを確認できたの。
これで大丈夫だと思い、私は家へと戻ることにしましょう。
翌日になると、ルヴァスが私に会いに来てくれました。
昨日の一件については既に知っているようで、気に掛けてくれたのですね。
そう思うと嬉しくなって抱きついてしまいます。
そうしていると、彼は優しく受け止めてくれたのです。
ですが、まだ完全には私を信用できないのだと悟った私は、彼を安心させる為に行動に出ます。
「ルヴァス、大好き!」
そう叫びながら唇を重ねたのです。
そうすると彼は驚いたのか硬直してしまいまして、その間に私はキスを続けると、ようやく正気に戻られてきたのか、
彼は戸惑いを見せておりました。
なので、私は彼の背中に手を回すと、そのまま抱きしめるのです。
そうすると、彼も恐る恐るといった具合に抱きしめ返してくれたので、私はそれが堪らない程に幸せな気持ちになりながら、
いつまでもこうしていたいと強く願い続けていく。
そうしていると、次第にキスが濃厚なものに変化していき、
「んぅ!?」
舌まで入れられて激しく絡めてくる。
息継ぎをする余裕が無くなってしまい、呼吸困難に陥りかけた頃に解放されて安堵する間もなく再び求められて、
今度は軽く触れるだけのもので終わりを迎えます。
「はあっ……。はああ……」
私は必死に酸素を取り込もうと深呼吸を繰り返すと、 漸く落ち着く事が出来て、そこで初めて気が付いたの。
自分がとんでもない失態を犯しているのではないかと。
(やってしまった! 勢いに任せてルヴァスと……。それに……、
私から積極的に動いてしまいまして、 ルヴァスが応えてくれて……。ううん、これはチャンスなのかもしれない。
今こそ私から行動を起こしていかなければ、きっと後悔してしまうから。だから……!)
私は覚悟を決めるとルヴァスを見つめて、 真剣な表情で伝える。
そう呟きながらも見守っていきました。
ルヴァスの行動を観察していたのですが、暫くしてルヴァスの前に一人の女性が現れたのです。
しかも、女性は私と同じ貴族令嬢の格好をしていました。
それで私は驚いてしまったのよ。
何故、貴族の娘があんな場所に一人で現れたのかを不思議に思っていたら、ルヴァスの知り合いだという事が判明しました。
……いえ、正確にはルヴァスに言い寄っているのかもしれません。
そうでなければ夜中に二人で会う理由が無いのよ。
それで私には確信に近い何かがあったの。
「ねぇルヴァス様、今日は私と一緒に過ごして欲しいの。
だからお願いを聞いてくれるかしら。それと今夜は二人っきりで過ごしたいわね」
彼女は甘えるようにしてルヴァスの腕にしがみ付いておりました。
それに対してルヴァスはというと迷惑そうにしております。
それもその筈。
ルヴァスは女性に対して嫌悪感を持っているから。
だから私は、その事実を知っていましたので彼女を遠ざけようとしたの。
けれど、ルヴァスが彼女の申し出を断ったのを見て安心していました。
(よかった~。流石ルヴァスね。私がお願いした通りにしてくれてる)
「すまないが、今日は遠慮して欲しい。今日は彼女と約束をしているのでな。悪いな。
それから何度も言うようだがこればかりは勘弁してほしいな。お前さんと恋人ごっこに興じるつもりは、こちらにはないのだよ。
さっさと帰ってくれ。そうすればお互いに不快な思いはしなくて済むだろう?」
ルヴァスの言葉に傷付いた様子を見せた彼女でしたが、そのまま何も言わずに立ち去ろうとし始めました。
「ふん、つれない人。いいえ、分かっているのよ……。
本当はね。貴男が私の事を本気で愛していない事もね。それでも構わないのよ。今は少しでもいいから一緒にいたいから」
悲しげな顔をしながらそう口にしているのを目にすると、私は思わず駆け寄りたくなりましたが我慢します。
何しろ彼女が去って行く前に一言二言ほど、交わし合った後でルヴァスが追い払うかのように手を振ったのを確認できたの。
これで大丈夫だと思い、私は家へと戻ることにしましょう。
翌日になると、ルヴァスが私に会いに来てくれました。
昨日の一件については既に知っているようで、気に掛けてくれたのですね。
そう思うと嬉しくなって抱きついてしまいます。
そうしていると、彼は優しく受け止めてくれたのです。
ですが、まだ完全には私を信用できないのだと悟った私は、彼を安心させる為に行動に出ます。
「ルヴァス、大好き!」
そう叫びながら唇を重ねたのです。
そうすると彼は驚いたのか硬直してしまいまして、その間に私はキスを続けると、ようやく正気に戻られてきたのか、
彼は戸惑いを見せておりました。
なので、私は彼の背中に手を回すと、そのまま抱きしめるのです。
そうすると、彼も恐る恐るといった具合に抱きしめ返してくれたので、私はそれが堪らない程に幸せな気持ちになりながら、
いつまでもこうしていたいと強く願い続けていく。
そうしていると、次第にキスが濃厚なものに変化していき、
「んぅ!?」
舌まで入れられて激しく絡めてくる。
息継ぎをする余裕が無くなってしまい、呼吸困難に陥りかけた頃に解放されて安堵する間もなく再び求められて、
今度は軽く触れるだけのもので終わりを迎えます。
「はあっ……。はああ……」
私は必死に酸素を取り込もうと深呼吸を繰り返すと、 漸く落ち着く事が出来て、そこで初めて気が付いたの。
自分がとんでもない失態を犯しているのではないかと。
(やってしまった! 勢いに任せてルヴァスと……。それに……、
私から積極的に動いてしまいまして、 ルヴァスが応えてくれて……。ううん、これはチャンスなのかもしれない。
今こそ私から行動を起こしていかなければ、きっと後悔してしまうから。だから……!)
私は覚悟を決めるとルヴァスを見つめて、 真剣な表情で伝える。
0
お気に入りに追加
287
あなたにおすすめの小説
伯爵は年下の妻に振り回される 記憶喪失の奥様は今日も元気に旦那様の心を抉る
新高
恋愛
※第15回恋愛小説大賞で奨励賞をいただきました!ありがとうございます!
※※2023/10/16書籍化しますーー!!!!!応援してくださったみなさま、ありがとうございます!!
契約結婚三年目の若き伯爵夫人であるフェリシアはある日記憶喪失となってしまう。失った記憶はちょうどこの三年分。記憶は失ったものの、性格は逆に明るく快活ーーぶっちゃけ大雑把になり、軽率に契約結婚相手の伯爵の心を抉りつつ、流石に申し訳ないとお詫びの品を探し出せばそれがとんだ騒ぎとなり、結果的に契約が取れて仲睦まじい夫婦となるまでの、そんな二人のドタバタ劇。
※本編完結しました。コネタを随時更新していきます。
※R要素の話には「※」マークを付けています。
※勢いとテンション高めのコメディーなのでふわっとした感じで読んでいただけたら嬉しいです。
※他サイト様でも公開しています
【完結】婚約者が好きなのです
maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。
でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。
冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。
彼の幼馴染だ。
そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。
私はどうすればいいのだろうか。
全34話(番外編含む)
※他サイトにも投稿しております
※1話〜4話までは文字数多めです
注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
国王陛下は愛する幼馴染との距離をつめられない
迷い人
恋愛
20歳になっても未だ婚約者どころか恋人すらいない国王ダリオ。
「陛下は、同性しか愛せないのでは?」
そんな噂が世間に広がるが、王宮にいる全ての人間、貴族と呼ばれる人間達は真実を知っていた。
ダリオが、幼馴染で、学友で、秘書で、護衛どころか暗殺までしちゃう、自称お姉ちゃんな公爵令嬢ヨナのことが幼い頃から好きだと言うことを。
美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛
らがまふぃん
恋愛
こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。
*らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。
悪役皇女は二度目の人生死にたくない〜義弟と婚約者にはもう放っておいて欲しい〜
abang
恋愛
皇女シエラ・ヒペリュアンと皇太子ジェレミア・ヒペリュアンは血が繋がっていない。
シエラは前皇后の不貞によって出来た庶子であったが皇族の醜聞を隠すためにその事実は伏せられた。
元々身体が弱かった前皇后は、名目上の療養中に亡くなる。
現皇后と皇帝の間に生まれたのがジェレミアであった。
"容姿しか取り柄の無い頭の悪い皇女"だと言われ、皇后からは邪険にされる。
皇帝である父に頼んで婚約者となった初恋のリヒト・マッケンゼン公爵には相手にもされない日々。
そして日々違和感を感じるデジャブのような感覚…するとある時……
「私…知っているわ。これが前世というものかしら…、」
突然思い出した自らの未来の展開。
このままではジェレミアに利用され、彼が皇帝となった後、汚れた部分の全ての罪を着せられ処刑される。
「それまでに…家出資金を貯めるのよ!」
全てを思い出したシエラは死亡フラグを回避できるのか!?
「リヒト、婚約を解消しましょう。」
「姉様は僕から逃げられない。」
(お願いだから皆もう放っておいて!)
外では氷の騎士なんて呼ばれてる旦那様に今日も溺愛されてます
刻芦葉
恋愛
王国に仕える近衛騎士ユリウスは一切笑顔を見せないことから氷の騎士と呼ばれていた。ただそんな氷の騎士様だけど私の前だけは優しい笑顔を見せてくれる。今日も私は不器用だけど格好いい旦那様に溺愛されています。
【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。
扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋
伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。
それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。
途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。
その真意が、テレジアにはわからなくて……。
*hotランキング 最高68位ありがとうございます♡
▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる