13 / 30
13.
しおりを挟む
「ど、どうかされましたか?」
私の問いかけを聞いた彼ですが真剣な表情をしておりまして、少しばかり怖くなってきたんです。
それから彼は私の方を向かないままに告げてきます。
「あのな……。こういう事ははっきりと言うんだが、今の俺の気持ちとしては、まだ時期尚早だと考えている。
俺達は出会ってからそこまで時間が経っていないから、夫婦関係になれるのかどうかは正直言って不安があるんだ。
だけどな、これだけは言えるぞ。俺は絶対にメリシアを嫌いになったりしないからな。それだけは忘れんなよ?
あともう一つだけ……。この世界に来たばかりの頃は確かに混乱していたけど、今では違う。
だからこそ思うことがあるんだよ。…………今すぐでなくとも良いが、 その……。なんだ、結婚を前提に付き合わないと、
色々と問題が起きかねないから……。その辺りの事はよく考えておいてくれないかな。
それともあれかい、俺の事が信じられないってのかね……。そうならば悲しいぞ……。
もしそうなのであれば、無理強いはせずに、諦めるとするが……」
その言葉を聞くと、私は慌てて彼の言葉を遮りました。
そうじゃないと否定しておいたのです。
「違います! ルヴァスを信じていない訳じゃありません!
ただ、貴方は素敵な男性で私よりも魅力的な女性が沢山います。
私なんかではとても釣り合いが取れないと感じるんですよ。
だってそうでしょう? 私は貴族出身で王族の暮らしにすら慣れてないし、マナーなども知らないのです。
ですが貴方の妻になれば、生活に困るような事は無いと分かっています。
でも、私みたいな者が貴方と結ばれるには相応しいとは思えないんですよ。
きっと貴方に嫌な思いをさせてしまうのは間違いないです。
ですけど私は、ルヴァスを他の誰にも渡したくないんです……。たとえ相手が自分の婚約者であろうとも、
ルヴァスの側に居続けるのは譲れなくなってきているんです。でもルヴァスの気持ちを考えると胸が苦しくなるの……。
でも諦めたくもない……。だから私はルヴァスに嫌われても仕方ないと理解しながらも、こうしてお願いをしたわけだけど」
ルヴァスの反応は意外すぎるものだったの。
彼は、何故かとても呆れた顔をしたまま、私を叱咤してくるの。
その事で私が反論しようとした瞬間にルヴァスが口を開いてきて、私を咎め始める。
「馬鹿を言うんじゃ無い! どうしてそういう発想になるんだ。
大体、貴族の生まれで無い奴が相手では駄目とか言い出したら、平民生まれの女もダメってことになるじゃないか!
そんなのナンセンス過ぎる! そもそもメリシアは貴族としての振る舞いを完璧にこなせるのか。仮にそうであったとしてもだ、
礼儀作法は必要だが最低限の物で十分なんだ! メリシアみたいに大仰に振る舞うのは逆効果でしかない。
そう考えると、やはりメリシアは今まで通りの自然な感じでいた方が良い」
そう力強く語っています。
それを耳にしている私は、嬉しいような申し訳ない気分になっていましたが、何とか笑顔を浮かべることには成功していました。
そしてその笑みは、上手く出来ていたらしくて、ルヴァスを納得させる事に成功したのですよ。
その後は彼との会話を楽しむことが出来て、幸せを感じていられたので良かったと思える時間となり、やがて就寝する事に。
ちなみにその時には当然の如くベッドの上で横になっており、彼は隣に居るんですけど……。
その時にふと思った事があるのよ。
(あぁ……。またいつもの癖が出てしまったわ……。いけない事なのに)
そう考えつつ寝たふりをしていたんだけど、しばらくして目を覚ますとルヴァスの姿は既に無くなっていたわ。
なので、すぐに起き上がった私は服を着替えてから外に出た。
そして、彼が何処にいるのかを探し回っていくと、直ぐに見付ける事が出来た。
それは街灯の明かりが届いている場所だったの。
なので彼に見つからないように注意しながら様子を見守る事にしました。
私の問いかけを聞いた彼ですが真剣な表情をしておりまして、少しばかり怖くなってきたんです。
それから彼は私の方を向かないままに告げてきます。
「あのな……。こういう事ははっきりと言うんだが、今の俺の気持ちとしては、まだ時期尚早だと考えている。
俺達は出会ってからそこまで時間が経っていないから、夫婦関係になれるのかどうかは正直言って不安があるんだ。
だけどな、これだけは言えるぞ。俺は絶対にメリシアを嫌いになったりしないからな。それだけは忘れんなよ?
あともう一つだけ……。この世界に来たばかりの頃は確かに混乱していたけど、今では違う。
だからこそ思うことがあるんだよ。…………今すぐでなくとも良いが、 その……。なんだ、結婚を前提に付き合わないと、
色々と問題が起きかねないから……。その辺りの事はよく考えておいてくれないかな。
それともあれかい、俺の事が信じられないってのかね……。そうならば悲しいぞ……。
もしそうなのであれば、無理強いはせずに、諦めるとするが……」
その言葉を聞くと、私は慌てて彼の言葉を遮りました。
そうじゃないと否定しておいたのです。
「違います! ルヴァスを信じていない訳じゃありません!
ただ、貴方は素敵な男性で私よりも魅力的な女性が沢山います。
私なんかではとても釣り合いが取れないと感じるんですよ。
だってそうでしょう? 私は貴族出身で王族の暮らしにすら慣れてないし、マナーなども知らないのです。
ですが貴方の妻になれば、生活に困るような事は無いと分かっています。
でも、私みたいな者が貴方と結ばれるには相応しいとは思えないんですよ。
きっと貴方に嫌な思いをさせてしまうのは間違いないです。
ですけど私は、ルヴァスを他の誰にも渡したくないんです……。たとえ相手が自分の婚約者であろうとも、
ルヴァスの側に居続けるのは譲れなくなってきているんです。でもルヴァスの気持ちを考えると胸が苦しくなるの……。
でも諦めたくもない……。だから私はルヴァスに嫌われても仕方ないと理解しながらも、こうしてお願いをしたわけだけど」
ルヴァスの反応は意外すぎるものだったの。
彼は、何故かとても呆れた顔をしたまま、私を叱咤してくるの。
その事で私が反論しようとした瞬間にルヴァスが口を開いてきて、私を咎め始める。
「馬鹿を言うんじゃ無い! どうしてそういう発想になるんだ。
大体、貴族の生まれで無い奴が相手では駄目とか言い出したら、平民生まれの女もダメってことになるじゃないか!
そんなのナンセンス過ぎる! そもそもメリシアは貴族としての振る舞いを完璧にこなせるのか。仮にそうであったとしてもだ、
礼儀作法は必要だが最低限の物で十分なんだ! メリシアみたいに大仰に振る舞うのは逆効果でしかない。
そう考えると、やはりメリシアは今まで通りの自然な感じでいた方が良い」
そう力強く語っています。
それを耳にしている私は、嬉しいような申し訳ない気分になっていましたが、何とか笑顔を浮かべることには成功していました。
そしてその笑みは、上手く出来ていたらしくて、ルヴァスを納得させる事に成功したのですよ。
その後は彼との会話を楽しむことが出来て、幸せを感じていられたので良かったと思える時間となり、やがて就寝する事に。
ちなみにその時には当然の如くベッドの上で横になっており、彼は隣に居るんですけど……。
その時にふと思った事があるのよ。
(あぁ……。またいつもの癖が出てしまったわ……。いけない事なのに)
そう考えつつ寝たふりをしていたんだけど、しばらくして目を覚ますとルヴァスの姿は既に無くなっていたわ。
なので、すぐに起き上がった私は服を着替えてから外に出た。
そして、彼が何処にいるのかを探し回っていくと、直ぐに見付ける事が出来た。
それは街灯の明かりが届いている場所だったの。
なので彼に見つからないように注意しながら様子を見守る事にしました。
0
お気に入りに追加
286
あなたにおすすめの小説
旦那様、仕事に集中してください!~如何なる時も表情を変えない侯爵様。独占欲が強いなんて聞いていません!~
あん蜜
恋愛
いつ如何なる時も表情を変えないことで有名なアーレイ・ハンドバード侯爵と結婚した私は、夫に純潔を捧げる準備を整え、その時を待っていた。
結婚式では表情に変化のなかった夫だが、妻と愛し合っている最中に、それも初夜に、表情を変えないなんてことあるはずがない。
何の心配もしていなかった。
今から旦那様は、私だけに艶めいた表情を見せてくださる……そう思っていたのに――。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
純潔の寵姫と傀儡の騎士
四葉 翠花
恋愛
侯爵家の養女であるステファニアは、国王の寵愛を一身に受ける第一寵姫でありながら、未だ男を知らない乙女のままだった。
世継ぎの王子を授かれば正妃になれると、他の寵姫たちや養家の思惑が絡み合う中、不能の国王にかわってステファニアの寝台に送り込まれたのは、かつて想いを寄せた初恋の相手だった。
慰み者の姫は新皇帝に溺愛される
苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。
皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。
ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。
早速、二人の初夜が始まった。
【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。
三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。
それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。
頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。
短編恋愛になってます。
【完結】悪女のなみだ
じじ
恋愛
「カリーナがまたカレンを泣かせてる」
双子の姉妹にも関わらず、私はいつも嫌われる側だった。
カレン、私の妹。
私とよく似た顔立ちなのに、彼女の目尻は優しげに下がり、微笑み一つで天使のようだともてはやされ、涙をこぼせば聖女のようだ崇められた。
一方の私は、切れ長の目でどう見ても性格がきつく見える。にこやかに笑ったつもりでも悪巧みをしていると謗られ、泣くと男を篭絡するつもりか、と非難された。
「ふふ。姉様って本当にかわいそう。気が弱いくせに、顔のせいで悪者になるんだもの。」
私が言い返せないのを知って、馬鹿にしてくる妹をどうすれば良かったのか。
「お前みたいな女が姉だなんてカレンがかわいそうだ」
罵ってくる男達にどう言えば真実が伝わったのか。
本当の自分を誰かに知ってもらおうなんて望みを捨てて、日々淡々と過ごしていた私を救ってくれたのは、あなただった。
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
[R18]引きこもりの男爵令嬢〜美貌公爵様の溺愛っぷりについていけません〜
くみ
恋愛
R18作品です。
18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。
男爵家の令嬢エリーナ・ネーディブは身体が弱くほとんどを屋敷の中で過ごす引きこもり令嬢だ。
そのせいか極度の人見知り。
ある時父からいきなりカール・フォード公爵が婚姻をご所望だと聞かされる。
あっという間に婚約話が進み、フォード家へ嫁ぐことに。
内気で初心な令嬢は、美貌の公爵に甘く激しく愛されてー?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる