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だから思わず甘えたくなってルヴァスの胸に顔を埋めてしまった。
そうした事があって私が落ち着きを取り戻す頃には、すっかり夕方になっていて、
空がオレンジ色に染まってきていましたので急いで帰る事になりました。
そして宿に着くと食事の時間帯だったのですが、そこで私はルヴァスと二人きりになりたいとお願いし、
部屋へと連れ込んでもらいました。
そして夕食も食べ終わり食後のデザートも堪能した後にベッドの上に座り向かい合って話をすることに。
そういえばルヴァスは、いつも私に何かあった時に相談に乗ってくれる人だったわね……と、ふと思い出す。
なので今回もまた助けてもらう事にしました。

「ルヴァス……私って駄目な子よね。
今日はどうしても我慢できなくて暴走してしまったのにルヴァスに迷惑をかけちゃったし。
これから先ずっとルヴァスの隣に立つ資格は私には……ないのかしら?」

つい弱音を吐いてしまい、泣きそうになってしまう私。
しかし、ルヴァスは私を抱きしめて慰めるようにして、そして優しい声で語りかけてきたのです。

「メリシア、君は悪くはないよ。
今回の件は、ただ俺の態度が悪かったのが原因だし、
俺にもっと甲斐性があればメリシアに苦労を掛ける事もなかったはずだしね」

そうルヴァスは言ってくださいますが、やっぱり私は自分を責めたくなります。
だからルヴァスは、こんな風に励ましてくださいます。
そうしてくれるだけでも嬉しく思えますが、ルヴァスの優しさに付け込んでいる自分に罪の意識を感じていました。
それでも構わずに私を優しく抱きしめてくれる彼に対し、感謝の想いを込めて接吻をしようとしますが、
それは叶わぬ夢だと気付くのです。
というのも唇を近づけていく途中で、彼が顔を逸らすようにして避ける動作を取ったのです。
これはつまりキスをする気がないということを示しています。
それを悟った私は落ち込みそうになってしまいました。
そうしている間に彼が立ち上がってしまいましたので寂しさを感じた私は、そのまま何も言わずに
黙ったまま俯いて座った状態でいることしか出来なかったの。
そうしている間にも部屋の扉が開かれようとしています。
けれども私は動くことが出来ずにいた為に、このまま別れるのかと思っていたのです。
すると扉が開かれた途端に彼が大きな溜め息をつきながら

「一体どうしたというのだ。全く、部屋に戻ってきたというだけで、
落ち込んでいたりするなど……。まあいい、それよりも明日の予定を話すがいいか?
……返事はしなくてもいいからな。
とにかく俺は君を屋敷へ送る為に一緒に行動するが、護衛は無しにしておく。
だから好きにしていていいし、やりたい事をするといい。
ただし、あまり遅くならないうちに戻ってくる事だけは守ってくれ。
それから最後に、これは重要な事だからよく聞いてほしい。
屋敷に着いた後は別行動にさせてもらって、 君の好きな事を優先してくれて構わないからな」

そう言われたので私は戸惑いを隠せません。
まさかルヴァスと離れる日が来るとは思いませんでしたから。
ですが、私達の愛を妨げるものなどいない筈。
それに私達はまだ若いのです。
まだまだ時間はあるのでゆっくりと関係を育んでいこうと心に決めました。
それならルヴァスと一緒にいる方が安心できるので私は、
そう伝えようかと思って彼の方を見ると目が合ってしまい、彼は微笑みながら手を差し出してきた。
なのでその手を取ろうとすると、ルヴァスがこう言ってくる。

「お手を拝借しようか?」

そう言われれば断れるはずもなく、素直に右手を出すと彼は、その手を繋いでくれたの。
それを見た私は内心で舞い上がりそうになったのですが、表に出さないようにする。
そうしないとルヴァスが困惑してしまいそうだと感じたので、必死に堪えました。
そうすると、彼が突然に私の手を離したかと思うと、部屋の扉に近づき鍵を掛けたのです。
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