12 / 30
12.
しおりを挟む
だから思わず甘えたくなってルヴァスの胸に顔を埋めてしまった。
そうした事があって私が落ち着きを取り戻す頃には、すっかり夕方になっていて、
空がオレンジ色に染まってきていましたので急いで帰る事になりました。
そして宿に着くと食事の時間帯だったのですが、そこで私はルヴァスと二人きりになりたいとお願いし、
部屋へと連れ込んでもらいました。
そして夕食も食べ終わり食後のデザートも堪能した後にベッドの上に座り向かい合って話をすることに。
そういえばルヴァスは、いつも私に何かあった時に相談に乗ってくれる人だったわね……と、ふと思い出す。
なので今回もまた助けてもらう事にしました。
「ルヴァス……私って駄目な子よね。
今日はどうしても我慢できなくて暴走してしまったのにルヴァスに迷惑をかけちゃったし。
これから先ずっとルヴァスの隣に立つ資格は私には……ないのかしら?」
つい弱音を吐いてしまい、泣きそうになってしまう私。
しかし、ルヴァスは私を抱きしめて慰めるようにして、そして優しい声で語りかけてきたのです。
「メリシア、君は悪くはないよ。
今回の件は、ただ俺の態度が悪かったのが原因だし、
俺にもっと甲斐性があればメリシアに苦労を掛ける事もなかったはずだしね」
そうルヴァスは言ってくださいますが、やっぱり私は自分を責めたくなります。
だからルヴァスは、こんな風に励ましてくださいます。
そうしてくれるだけでも嬉しく思えますが、ルヴァスの優しさに付け込んでいる自分に罪の意識を感じていました。
それでも構わずに私を優しく抱きしめてくれる彼に対し、感謝の想いを込めて接吻をしようとしますが、
それは叶わぬ夢だと気付くのです。
というのも唇を近づけていく途中で、彼が顔を逸らすようにして避ける動作を取ったのです。
これはつまりキスをする気がないということを示しています。
それを悟った私は落ち込みそうになってしまいました。
そうしている間に彼が立ち上がってしまいましたので寂しさを感じた私は、そのまま何も言わずに
黙ったまま俯いて座った状態でいることしか出来なかったの。
そうしている間にも部屋の扉が開かれようとしています。
けれども私は動くことが出来ずにいた為に、このまま別れるのかと思っていたのです。
すると扉が開かれた途端に彼が大きな溜め息をつきながら
「一体どうしたというのだ。全く、部屋に戻ってきたというだけで、
落ち込んでいたりするなど……。まあいい、それよりも明日の予定を話すがいいか?
……返事はしなくてもいいからな。
とにかく俺は君を屋敷へ送る為に一緒に行動するが、護衛は無しにしておく。
だから好きにしていていいし、やりたい事をするといい。
ただし、あまり遅くならないうちに戻ってくる事だけは守ってくれ。
それから最後に、これは重要な事だからよく聞いてほしい。
屋敷に着いた後は別行動にさせてもらって、 君の好きな事を優先してくれて構わないからな」
そう言われたので私は戸惑いを隠せません。
まさかルヴァスと離れる日が来るとは思いませんでしたから。
ですが、私達の愛を妨げるものなどいない筈。
それに私達はまだ若いのです。
まだまだ時間はあるのでゆっくりと関係を育んでいこうと心に決めました。
それならルヴァスと一緒にいる方が安心できるので私は、
そう伝えようかと思って彼の方を見ると目が合ってしまい、彼は微笑みながら手を差し出してきた。
なのでその手を取ろうとすると、ルヴァスがこう言ってくる。
「お手を拝借しようか?」
そう言われれば断れるはずもなく、素直に右手を出すと彼は、その手を繋いでくれたの。
それを見た私は内心で舞い上がりそうになったのですが、表に出さないようにする。
そうしないとルヴァスが困惑してしまいそうだと感じたので、必死に堪えました。
そうすると、彼が突然に私の手を離したかと思うと、部屋の扉に近づき鍵を掛けたのです。
そうした事があって私が落ち着きを取り戻す頃には、すっかり夕方になっていて、
空がオレンジ色に染まってきていましたので急いで帰る事になりました。
そして宿に着くと食事の時間帯だったのですが、そこで私はルヴァスと二人きりになりたいとお願いし、
部屋へと連れ込んでもらいました。
そして夕食も食べ終わり食後のデザートも堪能した後にベッドの上に座り向かい合って話をすることに。
そういえばルヴァスは、いつも私に何かあった時に相談に乗ってくれる人だったわね……と、ふと思い出す。
なので今回もまた助けてもらう事にしました。
「ルヴァス……私って駄目な子よね。
今日はどうしても我慢できなくて暴走してしまったのにルヴァスに迷惑をかけちゃったし。
これから先ずっとルヴァスの隣に立つ資格は私には……ないのかしら?」
つい弱音を吐いてしまい、泣きそうになってしまう私。
しかし、ルヴァスは私を抱きしめて慰めるようにして、そして優しい声で語りかけてきたのです。
「メリシア、君は悪くはないよ。
今回の件は、ただ俺の態度が悪かったのが原因だし、
俺にもっと甲斐性があればメリシアに苦労を掛ける事もなかったはずだしね」
そうルヴァスは言ってくださいますが、やっぱり私は自分を責めたくなります。
だからルヴァスは、こんな風に励ましてくださいます。
そうしてくれるだけでも嬉しく思えますが、ルヴァスの優しさに付け込んでいる自分に罪の意識を感じていました。
それでも構わずに私を優しく抱きしめてくれる彼に対し、感謝の想いを込めて接吻をしようとしますが、
それは叶わぬ夢だと気付くのです。
というのも唇を近づけていく途中で、彼が顔を逸らすようにして避ける動作を取ったのです。
これはつまりキスをする気がないということを示しています。
それを悟った私は落ち込みそうになってしまいました。
そうしている間に彼が立ち上がってしまいましたので寂しさを感じた私は、そのまま何も言わずに
黙ったまま俯いて座った状態でいることしか出来なかったの。
そうしている間にも部屋の扉が開かれようとしています。
けれども私は動くことが出来ずにいた為に、このまま別れるのかと思っていたのです。
すると扉が開かれた途端に彼が大きな溜め息をつきながら
「一体どうしたというのだ。全く、部屋に戻ってきたというだけで、
落ち込んでいたりするなど……。まあいい、それよりも明日の予定を話すがいいか?
……返事はしなくてもいいからな。
とにかく俺は君を屋敷へ送る為に一緒に行動するが、護衛は無しにしておく。
だから好きにしていていいし、やりたい事をするといい。
ただし、あまり遅くならないうちに戻ってくる事だけは守ってくれ。
それから最後に、これは重要な事だからよく聞いてほしい。
屋敷に着いた後は別行動にさせてもらって、 君の好きな事を優先してくれて構わないからな」
そう言われたので私は戸惑いを隠せません。
まさかルヴァスと離れる日が来るとは思いませんでしたから。
ですが、私達の愛を妨げるものなどいない筈。
それに私達はまだ若いのです。
まだまだ時間はあるのでゆっくりと関係を育んでいこうと心に決めました。
それならルヴァスと一緒にいる方が安心できるので私は、
そう伝えようかと思って彼の方を見ると目が合ってしまい、彼は微笑みながら手を差し出してきた。
なのでその手を取ろうとすると、ルヴァスがこう言ってくる。
「お手を拝借しようか?」
そう言われれば断れるはずもなく、素直に右手を出すと彼は、その手を繋いでくれたの。
それを見た私は内心で舞い上がりそうになったのですが、表に出さないようにする。
そうしないとルヴァスが困惑してしまいそうだと感じたので、必死に堪えました。
そうすると、彼が突然に私の手を離したかと思うと、部屋の扉に近づき鍵を掛けたのです。
0
お気に入りに追加
286
あなたにおすすめの小説
慰み者の姫は新皇帝に溺愛される
苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。
皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。
ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。
早速、二人の初夜が始まった。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。
三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。
それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。
頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。
短編恋愛になってます。
[R18]引きこもりの男爵令嬢〜美貌公爵様の溺愛っぷりについていけません〜
くみ
恋愛
R18作品です。
18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。
男爵家の令嬢エリーナ・ネーディブは身体が弱くほとんどを屋敷の中で過ごす引きこもり令嬢だ。
そのせいか極度の人見知り。
ある時父からいきなりカール・フォード公爵が婚姻をご所望だと聞かされる。
あっという間に婚約話が進み、フォード家へ嫁ぐことに。
内気で初心な令嬢は、美貌の公爵に甘く激しく愛されてー?
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
スパダリ猟犬騎士は貧乏令嬢にデレ甘です!【R18/完全版】
鶴田きち
恋愛
★初恋のスパダリ年上騎士様に貧乏令嬢が溺愛される、ロマンチック・歳の差ラブストーリー♡
★貧乏令嬢のシャーロットは、幼い頃からオリヴァーという騎士に恋をしている。猟犬騎士と呼ばれる彼は公爵で、イケメンで、さらに次期騎士団長として名高い。
ある日シャーロットは、ひょんなことから彼に逆プロポーズしてしまう。オリヴァーはそれを受け入れ、二人は電撃婚約することになる。婚約者となった彼は、シャーロットに甘々で――?!
★R18シーンは第二章の後半からです。その描写がある回はアスタリスク(*)がつきます
★ムーンライトノベルズ様では第二章まで公開中。(旧タイトル『初恋の猟犬騎士様にずっと片想いしていた貧乏令嬢が、逆プロポーズして電撃婚約し、溺愛される話。』)
★エブリスタ様では【エブリスタ版】を公開しています。
★「面白そう」と思われた女神様は、毎日更新していきますので、ぜひ毎日読んで下さい!
その際は、画面下の【お気に入り☆】ボタンをポチッとしておくと便利です。
いつも読んで下さる貴女が大好きです♡応援ありがとうございます!
【完結】優しくて大好きな夫が私に隠していたこと
暁
恋愛
陽も沈み始めた森の中。
獲物を追っていた寡黙な猟師ローランドは、奥地で偶然見つけた泉で“とんでもない者”と遭遇してしまう。
それは、裸で水浴びをする綺麗な女性だった。
何とかしてその女性を“お嫁さんにしたい”と思い立った彼は、ある行動に出るのだが――。
※
・当方気を付けておりますが、誤字脱字を発見されましたらご遠慮なくご指摘願います。
・★が付く話には性的表現がございます。ご了承下さい。
【R18】幼馴染な陛下と、甘々な毎日になりました💕
月極まろん
恋愛
幼なじみの陛下に、気持ちだけでも伝えたくて。いい思い出にしたくて告白したのに、執務室のソファに座らせられて、なぜかこんなえっちな日々になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる