絶倫彼は私を離さない～あぁ、私は貴方の虜で快楽に堕ちる～

55話

「初めまして、私は貴女の別人格です」
突然そんなことを言われても信じられるはずがありません。
そもそも、どうして私がもう一人いるのでしょうか？
そんなことを考えていると、もう一人の私は再び話しかけてきました。
「混乱しているようですね、無理もありませんが落ち着いて聞いてください。
実は私には別の人格があるのです。それが今ここにいる私なのですよ」
そう言って微笑む彼女を見ているうちに、
少しずつ冷静さを取り戻していくことができたのでホッとしました。
それにしても何故彼女が、私の前に現れたのか気になります。
なので、尋ねてみることにしました。
彼女はこう答えてくれたのです。
「それはですね、貴女にお願いがあるからなのですよ」
それを聞いて驚きました。
まさか、私に頼み事をされるなんて思ってもみなかったからです。
「実は、私は貴女の心の中に住んでいるのですよ」
それを聞いてさらに混乱してしまいました。
だって、そんなこと言われても信じられるはずがありませんから……。
でも、彼女の真剣な表情を見ていると嘘をついているようには見えませんでした。
そこで思い切って尋ねてみることにしました。
「あの、どうして私の中にいるんですか？」
そうすると彼女は、微笑みながら答えてくれました。
「それはですね、私が孤独だったからですよ」
そう答えた彼女の顔はとても寂しそうに見えました。
だからでしょうか？
思わず手を差し伸べたくなるような気持ちになったのです。
それから私たちは、色々な話をしました。
お互いのことや、この世界についてなどです。
その中で分かったことが幾つかありましたので紹介していこうと思います。
まず一つ目は、彼女が私の別人格であることですが、これは間違いありません。
何故なら、彼女と話しているうちに私自身の記憶が蘇ってきたからです。
二つ目は、彼女が私の心の中に住んでいるということですが、
これはつまり、私の心の中にもう一人別の人格が存在するということなのでしょう。
三つ目は、この世界には魔法が存在していることです。
どうやら、獣人族は魔法を使える種族のようで、私も例外ではないようです。
四つ目は、私と彼女の役割についてですが、それは私にも分かりませんでした。
ただ一つだけ言えることは、私たちはお互いを支え合って
生きていく必要があるということですということだったのです。
私は彼女を受け入れましたし、彼女も私を受け入れてくれました。
そして今に至るわけですが、今ではすっかり仲良しになっています。
「ねえ、今度一緒に街に行かない？」
彼女がそう誘ってきたので、私は喜んで承諾しました。