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そう理解した私が、早速、
「それじゃ、いただきます」
と言い、まずは、米酒を味わってみると、芳しい匂いが鼻腔を刺激し、口の中には甘さが広がっていき、非常に飲みやすい。
これなら、どんどんいけそうな感じだ。
そう思った私は、次々に杯を乾していった。
その結果、あっという間に酔いが回り始め、 次第に意識が遠のいていく。
そんな状態になっているのに、私の心の中にあったのは、 幸せだったという感情のみだったのである。
そう、もう何もかもがどうでも良くなってしまうくらいに、私にとって、
夫との時間は大切なものだったのだ。なので、私は、迷わず、彼に身を委ねたのである。
そうして、私は、そのままベッドまで連れて行かれ、優しく押し倒されたのだった……。
朝になり、目を覚ますと、隣に夫が眠っていた。
私は、その寝顔を眺めながら、愛おしさを募らせていく。
やがて起きると、「おはようございます」
と挨拶し、それから軽くキスをする。
すると、彼も、
「ああ、お早う」
と返してくれたので、私は嬉しくなった。
それからしばらく彼と触れ合っていると、朝食が用意されたので、それを食べた後で部屋に戻り、荷物をまとめると、そのまま宿を出たのだった。
それから駅に向かって馬車に乗り、帰路に就くのだが、途中休憩として、小さな村に立ち寄った際、村の子供たちが遊びに来ていて、
私たちを見るなり駆け寄ってきたので、何だろうと不思議に思っていると、子供たちが私を抱きしめてくる。
よく見ると、それは私に娘の面影があって驚いた。
そこで事情を聞いてみたところ、どうやら彼女たちは、母親に会いたいらしく、私のことを慕っているらしい。
そんな訳で、彼女たちの母親に会うことになり、彼女の実家に向かうことになったのである。
やがて到着した彼女の家の前で待っていると、しばらくすると、一人の女性がこちらへ向かって歩いてきた。
その女性は私にそっくりだったのだ。
「よく似ているな、あの貴婦人は、お前に」
「支援してあげて」
「他人の空似だろう?」
私は、首を傾げながら呟いたのであった。
そして、私たちは、その親子を連れて、彼女の家に入り、居間で話をすることにした。
その最中、母親が、娘の話を始めたので、興味深く耳を傾けた。
なんでも彼女は、昔、結婚しており、夫との間に子供がいたらしい。
その夫は、仕事中に命を落としてしまい、それから彼女は未亡人となってしまった。
それから、彼女は、ずっと悲しみを背負って生きてきていたが、ある日、偶然、通りかかった村で、幼い女の子と出会い、
その子を引き取ると自分の子のように育てたのだと言う。その少女というのが、また、私に似て愛らしくてついつい親近感が湧いてしまった。
だがその一方で私の脳裏をよぎったのは過去の記憶でその時は気にも留めなかったが改めて考えてみると違和感を覚えるようになったのだ。
「これが化けると言う事か」
夫の意味深な言葉に絶句する。
「あれが化けているとでもいうんですか?」
「あぁ、最近、通りかかった討伐隊が、こぞって帰還して来なくなっていてな、ついでに様子を見に来た訳だ」
彼は淡々と語った。
そうしている内に夜が明けてきたらしく朝日が昇ってきていた。
そして彼は私の方を向くと言ったのである。
それはまるで私に何かを伝えようとしているかのようでもあったからだ。
なので私はじっとその瞳を見つめ返したのである。
それから私はそっと手を伸ばそうとした瞬間の事だった。
突如、突風に襲われ私は体勢を大きく崩すとその場に倒れ込んでしまったのだ。
「それじゃ、いただきます」
と言い、まずは、米酒を味わってみると、芳しい匂いが鼻腔を刺激し、口の中には甘さが広がっていき、非常に飲みやすい。
これなら、どんどんいけそうな感じだ。
そう思った私は、次々に杯を乾していった。
その結果、あっという間に酔いが回り始め、 次第に意識が遠のいていく。
そんな状態になっているのに、私の心の中にあったのは、 幸せだったという感情のみだったのである。
そう、もう何もかもがどうでも良くなってしまうくらいに、私にとって、
夫との時間は大切なものだったのだ。なので、私は、迷わず、彼に身を委ねたのである。
そうして、私は、そのままベッドまで連れて行かれ、優しく押し倒されたのだった……。
朝になり、目を覚ますと、隣に夫が眠っていた。
私は、その寝顔を眺めながら、愛おしさを募らせていく。
やがて起きると、「おはようございます」
と挨拶し、それから軽くキスをする。
すると、彼も、
「ああ、お早う」
と返してくれたので、私は嬉しくなった。
それからしばらく彼と触れ合っていると、朝食が用意されたので、それを食べた後で部屋に戻り、荷物をまとめると、そのまま宿を出たのだった。
それから駅に向かって馬車に乗り、帰路に就くのだが、途中休憩として、小さな村に立ち寄った際、村の子供たちが遊びに来ていて、
私たちを見るなり駆け寄ってきたので、何だろうと不思議に思っていると、子供たちが私を抱きしめてくる。
よく見ると、それは私に娘の面影があって驚いた。
そこで事情を聞いてみたところ、どうやら彼女たちは、母親に会いたいらしく、私のことを慕っているらしい。
そんな訳で、彼女たちの母親に会うことになり、彼女の実家に向かうことになったのである。
やがて到着した彼女の家の前で待っていると、しばらくすると、一人の女性がこちらへ向かって歩いてきた。
その女性は私にそっくりだったのだ。
「よく似ているな、あの貴婦人は、お前に」
「支援してあげて」
「他人の空似だろう?」
私は、首を傾げながら呟いたのであった。
そして、私たちは、その親子を連れて、彼女の家に入り、居間で話をすることにした。
その最中、母親が、娘の話を始めたので、興味深く耳を傾けた。
なんでも彼女は、昔、結婚しており、夫との間に子供がいたらしい。
その夫は、仕事中に命を落としてしまい、それから彼女は未亡人となってしまった。
それから、彼女は、ずっと悲しみを背負って生きてきていたが、ある日、偶然、通りかかった村で、幼い女の子と出会い、
その子を引き取ると自分の子のように育てたのだと言う。その少女というのが、また、私に似て愛らしくてついつい親近感が湧いてしまった。
だがその一方で私の脳裏をよぎったのは過去の記憶でその時は気にも留めなかったが改めて考えてみると違和感を覚えるようになったのだ。
「これが化けると言う事か」
夫の意味深な言葉に絶句する。
「あれが化けているとでもいうんですか?」
「あぁ、最近、通りかかった討伐隊が、こぞって帰還して来なくなっていてな、ついでに様子を見に来た訳だ」
彼は淡々と語った。
そうしている内に夜が明けてきたらしく朝日が昇ってきていた。
そして彼は私の方を向くと言ったのである。
それはまるで私に何かを伝えようとしているかのようでもあったからだ。
なので私はじっとその瞳を見つめ返したのである。
それから私はそっと手を伸ばそうとした瞬間の事だった。
突如、突風に襲われ私は体勢を大きく崩すとその場に倒れ込んでしまったのだ。
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