王子様が私の全てを奪っていく

22.

「お前 あの時の奴だったのか？」
と聞くと いきなり怒り口調に変わり 腕を掴んでは地面に叩き付けた。そうしてからアシェリアに対し罵倒を投げつけたり暴行を加えはじめたのだ。王子も見過ごせなかったのか王子が殴りつけようと前に出ようとしたその時のことだった。突然 魔法陣が現れ中より炎の塊が飛び出してきては女性の方へ飛んでいき命中すれば瞬く間に燃え広がり消し炭同然となった。だが女性の方は余裕そうな態度のままで立ち上がればニヤリと笑みを浮かべ その様子を見届けたアシェリアは何かに気づいたような反応を示した。
「まさか貴方が召喚されていたなんて思いもしませんでしたわ」
とアシェリアが声をかけてきたのだが王子はそれをスルーしてしまうと攻撃を再開しようとするのだった。だが突如として謎の魔物が出現していき二人の周囲を囲み込んでしまった。しかも彼らは逃げられないほどの密集具合でもって接近してくるので二人に逃げ場は無くなる一方。おまけに立ち塞がれていて退路がないため逃げ出すことすら出来なくなっていた。
それだけではなく 二人が身構えたところ
「王子様……、いえ ここではバッデスドと呼びましょうかね。私を殺したりした場合には国同士の戦争が起こりますが構わないということでよろしいのでしょうかね。因みにこのモンスターですが 通常の人間の3倍はありますのよ？   下手をしたならば一国すら滅びかねない程の脅威といってもいいでしょう。どうかここは私に任せてくれません？」
とアシェリアが語りかけたのと同時にアシェリアは魔法の詠唱を始めると氷柱のような物体が何本も出現しては放たれていく。それらは正確に言えば無数の鋭い棘を持つ針のようなものが次々とモンスター達を射抜いては刺し貫くという光景が繰り広げられていく。