王子様が私の全てを奪っていく

21.

「一体 どうしたというのですか王子様。今日は何時もの行為に及んでこないのですね」
とアシェリアは言うと不思議がりつつも警戒を緩める事は無かった。王子は何も言わないまま黙っていて彼女をただひたすらに撫で続けているだけだった。最初は何も起きないので不審に感じていたものの徐々に彼女の気持ちに変化が生じる。
というのも、頭を触られているうちに気持ちが良くなって来たらしく妙な感覚を覚えたからである。やがてアシェリアは気持ちよくなったのかどうか判断が出来なくなっていき思考能力が低下を始めているせいか自然と王子に体を預けるようになり行為に没頭し始めていた。
「私の事が好きなんですよね王子は」
アシェリアは確認を取るようにそう問いかけると 王子は恥ずかしげもなく、コクりと一度だけ静かにうなずく。それから二人は何度も求め合い貪るように肌を重ね合わせた。そんなこんなあり、その後も王子が飽きることなく毎日のように訪れるようになると いつしかアシェリアはすっかり彼を受け入れるようになっていった。
「殿下、もう少し手加減をしてください」「まあいいじゃないの お互い気が合う者同士なんだから。ね？ アシェリア」
と言い返されたアシェリアは 溜め息混じりながらもどこか満更でもない反応を見せた。王子の言い分は本気である。故に彼女との事は遊びのつもりは毛頭無いのであった。それから程なくしての事だ。今度は王城にいる他のヒロイン達が王子の異変に気付いて駆けつけてきた。彼女たちもまた王子から愛の告白を受けた者たちであり 彼を好きになった一人である。
それを見たアシェリアは焦るかのような行動を見せ、
「今は大事な話をしている最中だから邪魔をしないようにしてくれないかしら？」
と、警告を促しても彼女達は引こうとはしなかった。とはいえ 最終的にはアシェリアの味方となっては彼女の身の回りを手助けすることにしていくのであった。すると、ある日のこと、王子が何処から聞きつけたのか不明であるが、とある場所で女性の声がすると情報を聞き付けてしまうとアシェンドに急ぐと急ぎ駆けつけた。そこに待ち受けていた女性は白髪の女性だったが どことなく面影がある顔つきをしていた。