王子様が私の全てを奪っていく

一ノ瀬 彩音

文字の大きさ
上 下
17 / 30

17.

しおりを挟む
やがて限界が近くなったのか 王子はアシェリアに覆いかぶさるとラストスパートをかけた上で お互いに絶頂に達することとなった。
そこで二人共果てるとそのまま眠りに落ちていく。
しばらく時間が経ったあと
「大丈夫か」
と、バッデスド王子は優しい声で問い掛けてきた。そしてアシェリアは抱き寄せられると背中に手を回してギュッと抱きしめてきた。その腕からは温もりを感じられて心地よく感じるとそのまま寄り添ってくる。王子もそれに応えるように腕の力を強めると互いに体を密着させた状態で微睡んでいく。そんな中での会話。最初は穏やかではあったが徐々に話題は逸れていき最終的には他愛のないことを語り合うようになっていた。すると、バッデスド王子はこんな話をしてきた。彼女の耳に入れておきたいと思えるようなことがあったからだ。そうして彼が語り始めたのは最近とある地域で奇妙な出来事があったのだという。
というのも、森に住む謎の生物の噂が流れ始めているらしいのだ。王子はそれを聞き付けた時真っ先に浮かんできたのは先日の件である。森の中で獣に襲われそうになった際にその謎の存在が助けに現れていたからなのだ。それが頭から離れずにいたこともあって彼にそれを伝えたところ、妙に納得したかのように相槌を打ってきた。
そんな話が一通り終わったのを見計らうとバッデスド王子は何かに気付いたかのような口調で言葉を発してきていた。
「もし良ければ今日一日ぐらいはここで休んで行かないか」
と、彼は言った。それは願ってもないことだったが、いきなりの展開に驚いてしまい戸惑うのである。
「私の事をそんな風に扱ってくれるのは嬉しいですけど……いいんですか?」
とアシェリアは王子に抱き着きながら不安げに問いかけた。しかしながら彼は嬉しそうに抱き寄せてきて額にキスしてくるとアシェリアは頬を赤く染めあげる。そのまま王子と共に過ごし始めるのだが そうしているうちに朝が訪れ、食事の用意をしはじめると 彼はアシェリアの料理を褒めてきた。そしてお礼だと口にしてから口移しで食べさせようとしてきた。勿論 アシェリアは拒否しようとしたのだが彼は有無をいわせずに抱きかかえると自身の膝の上に乗せ、
「さぁ口を開けてくれ」
と催促される。
流石にここまでされてしまうと断り切れないと感じたのかアシェリアは観念して受け入れることに。そして 何度か繰り返された後で王子に頭を撫でられながらアシェリアは恥ずかしさに悶絶してしまった。そして更に バッデスド王子はアシェリアに食事をさせる度に彼女にキスを迫ってきた。
初めは拒もうとしていたアシェリアであったが次第に心を許してしまい段々と王子にされるがままになっていった。
王子はアシェリアを甘々に可愛がり、そして 最後には一緒に入浴し、その際に身体を洗われてしまっていた。
「自分でやるってば!」
と言いつつもアシェリアは恥ずかしい部分を見られ続け顔から火が出そうな気分。
一方王子はといえば特に恥じることなく アシェリアにマッサージを施し始め 全身を弄繰り回すと満足気に眺めていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。 二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。 けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。 ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。 だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。 グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。 そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

完)まあ!これが噂の婚約破棄ですのね!

オリハルコン陸
ファンタジー
王子が公衆の面前で婚約破棄をしました。しかし、その場に居合わせた他国の皇女に主導権を奪われてしまいました。 さあ、どうなる?

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

最愛から2番目の恋

Mimi
恋愛
 カリスレキアの第2王女ガートルードは、相手有責で婚約を破棄した。  彼女は醜女として有名であったが、それを厭う婚約者のクロスティア王国第1王子ユーシスに男娼を送り込まれて、ハニートラップを仕掛けられたのだった。  以前から婚約者の気持ちを知っていたガートルードが傷付く事は無かったが、周囲は彼女に気を遣う。  そんな折り、中央大陸で唯一の獣人の国、アストリッツァ国から婚姻の打診が届く。  王太子クラシオンとの、婚約ではなく一気に婚姻とは……  彼には最愛の番が居るのだが、その女性の身分が低いために正妃には出来ないらしい。  その事情から、醜女のガートルードをお飾りの妃にするつもりだと激怒する両親や兄姉を諌めて、クラシオンとの婚姻を決めたガートルードだった……  ※ 『きみは、俺のただひとり~神様からのギフト』の番外編となります  ヒロインは本編では名前も出ない『カリスレキアの王女』と呼ばれるだけの設定のみで、本人は登場しておりません  ですが、本編終了後の話ですので、そちらの登場人物達の顔出しネタバレが有ります

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒― 私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。 「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」 その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。 ※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

処理中です...