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今日はウンディルネという町で祭りがあるのですから、私はウディルをお誘いする事に致します。
朝食を済ませて身支度を整えた後部屋を出ると、そこには何故か陛下がいらっしゃいます。
私は呆気に取られて立ち止まっていると、陛下が近付いて来て私の手を取って言います。
「一緒に行こうか」
「……はい?」
(え? 何で?)
と思いつつも返事をする私に陛下は満足そうな顔をして私をエスコートして下さるのでした。
何故陛下が居るのかわかりませんでしたが、まぁ、いっかと思って町へと向かいました。
町の入口まで来ると、警備兵の方が出迎えてくださいました。
その方達にも陛下と一緒に行くことが知れ渡りました。どうやら、皆知っているみたいですね、
そう思う私なのでした。
祭りは大通りで行われていて屋台も出ていた。そこでウディルは何か買おうとしていた。
何をと思ったけど私も同じものを食べたくなったから二人で買いに行った。
食べ終わる頃には陽が暮れていたので広場の噴水で二人並んで腰掛けて夜空に浮かぶ星を見ながら過ごしました。
その日はとても楽しかったのでまた、来たいと思える程に。
翌日私は仕事の為朝早くから城に向かう為準備をしていました。そこへウディルも訪ねて来たので、
まだ時間もありますし、お話くらいしてあげてもバチは当たらないだろう思い招き入れます。
お茶を飲みながら少しだけ話すことにしました。
内容はやっぱり昨日のことでした。どうやら気になっていたようで、しつこく聞いてくるんです。
仕方ないので、私も楽しく過ごせたと言う事を素直に話ししたら、ホッとしたような顔をしたのでした。
私が城を発つ時は、陛下と別れを惜しみながらも馬車に乗り込む。
窓から手を振ってくれる陛下に、振り返すとウディルが乗り込んできました。
何事!?︎
と思っていると、そのままウディルの腕が私に伸びて抱きしめてきます。
私はウディルの行動がわからず、困惑してしまいました。そんな私の耳元でウディルは囁くように言うのです。
「今夜、お前を抱くから、そのつもりでいろ」
と、私は真っ赤になり何も言えなくなりました。
それからウディルが馬車に乗っていくのを見送ってから城の扉を閉めます。
ウディルに抱かれると聞いて、私、ちゃんとお手入れしないといけないなと思いました。
(だって、あんなに素敵な男性に抱かれに行くんですもの)
そんな事を思ってしまう自分が少し可笑しいけれど、とても楽しみでした。
ウディルは約束通り夜の9時頃にやってきました。
いつものように食事をして、その後はウディルの部屋でくつろぎます。
ウディルは私の髪に触れて、口づけをしてから、耳元で囁くように言います。
「今夜は覚悟しろよ」
それだけ言って、私を抱いてきました。私はウディルに抱かれている間、ずっと幸せを感じておりました。
ウディルが帰ろうとした時、私はウディルを呼び止めて抱きつきます。すると、
ウディルは私を抱き寄せてくれました。
「どうした?」
「もうちょっと、このままで居たい」
「わかった」
と言ってくれたので、私はウディルの胸に顔を埋めたままでいる事にするのでした。
暫くそうしていると、私が落ち着きを取り戻した頃合いで、
「お前、俺の事好きすぎだな」
「うん」
「即答かよ」
「だって、好きなんだもん」
「……そうか」
「ウディルは?」
「俺も好きだよ」と、言って私の額に口付けを落とすのでした。
こうして、私の初めては無事に終わりを迎えることが出来たのでした。
翌朝、目が覚めると隣にウディルの姿がありました。
私は思わず抱きついて胸元に頬擦りします。
すると、ウディルは起きて私の頭を撫でてくれる。
それが気持ち良くて、もう少しこうしていたいと思うのでした。
そんな風に過ごしていたらノックが聞こえてきた。私は慌てて離れるとドアを開ける。
そこに居たのは陛下だった。
私は焦った。まさか、陛下が来るなんて思ってもいなかったから。
だけど陛下は何も言わずに部屋に入ってくると、ソファーに座って寛いでしまう。
私はオロオロしながらもウディルを起こします。
すると、眠たそうにしてるウディルは目をこすりながら体を起こして欠伸を一つ漏らすのでした。
その姿が可愛らしく見えてしまったのは内緒です。
それから三人で朝食を食べてから執務室に向かいます。その間も陛下は無言のままでした。
そして、執務室に辿り着くと、陛下は書類に目を通してサインを書いていきます。
それを横目に見つつ私は自分の仕事をする為に机に向かってペンを走らせていく。
それから数時間後、私の仕事が一段落ついた時に陛下が声をかけてきました。
それは、昨日のことに関する事でした。
私は黙って聞いていました。
全てを聞き終えたあと、私は立ち上がります。
陛下は私を見つめて言いました。
やはり、許せないか、と。
私は首を振ります。
許せる訳がないじゃないですか。私は言ったはずですよ、次は許さないって。
私は言いました。今度のことは見逃してあげるって。
その代わり条件が有るって事も。
それは、今度からは私の意思を尊重して欲しいって事だけでした。
朝食を済ませて身支度を整えた後部屋を出ると、そこには何故か陛下がいらっしゃいます。
私は呆気に取られて立ち止まっていると、陛下が近付いて来て私の手を取って言います。
「一緒に行こうか」
「……はい?」
(え? 何で?)
と思いつつも返事をする私に陛下は満足そうな顔をして私をエスコートして下さるのでした。
何故陛下が居るのかわかりませんでしたが、まぁ、いっかと思って町へと向かいました。
町の入口まで来ると、警備兵の方が出迎えてくださいました。
その方達にも陛下と一緒に行くことが知れ渡りました。どうやら、皆知っているみたいですね、
そう思う私なのでした。
祭りは大通りで行われていて屋台も出ていた。そこでウディルは何か買おうとしていた。
何をと思ったけど私も同じものを食べたくなったから二人で買いに行った。
食べ終わる頃には陽が暮れていたので広場の噴水で二人並んで腰掛けて夜空に浮かぶ星を見ながら過ごしました。
その日はとても楽しかったのでまた、来たいと思える程に。
翌日私は仕事の為朝早くから城に向かう為準備をしていました。そこへウディルも訪ねて来たので、
まだ時間もありますし、お話くらいしてあげてもバチは当たらないだろう思い招き入れます。
お茶を飲みながら少しだけ話すことにしました。
内容はやっぱり昨日のことでした。どうやら気になっていたようで、しつこく聞いてくるんです。
仕方ないので、私も楽しく過ごせたと言う事を素直に話ししたら、ホッとしたような顔をしたのでした。
私が城を発つ時は、陛下と別れを惜しみながらも馬車に乗り込む。
窓から手を振ってくれる陛下に、振り返すとウディルが乗り込んできました。
何事!?︎
と思っていると、そのままウディルの腕が私に伸びて抱きしめてきます。
私はウディルの行動がわからず、困惑してしまいました。そんな私の耳元でウディルは囁くように言うのです。
「今夜、お前を抱くから、そのつもりでいろ」
と、私は真っ赤になり何も言えなくなりました。
それからウディルが馬車に乗っていくのを見送ってから城の扉を閉めます。
ウディルに抱かれると聞いて、私、ちゃんとお手入れしないといけないなと思いました。
(だって、あんなに素敵な男性に抱かれに行くんですもの)
そんな事を思ってしまう自分が少し可笑しいけれど、とても楽しみでした。
ウディルは約束通り夜の9時頃にやってきました。
いつものように食事をして、その後はウディルの部屋でくつろぎます。
ウディルは私の髪に触れて、口づけをしてから、耳元で囁くように言います。
「今夜は覚悟しろよ」
それだけ言って、私を抱いてきました。私はウディルに抱かれている間、ずっと幸せを感じておりました。
ウディルが帰ろうとした時、私はウディルを呼び止めて抱きつきます。すると、
ウディルは私を抱き寄せてくれました。
「どうした?」
「もうちょっと、このままで居たい」
「わかった」
と言ってくれたので、私はウディルの胸に顔を埋めたままでいる事にするのでした。
暫くそうしていると、私が落ち着きを取り戻した頃合いで、
「お前、俺の事好きすぎだな」
「うん」
「即答かよ」
「だって、好きなんだもん」
「……そうか」
「ウディルは?」
「俺も好きだよ」と、言って私の額に口付けを落とすのでした。
こうして、私の初めては無事に終わりを迎えることが出来たのでした。
翌朝、目が覚めると隣にウディルの姿がありました。
私は思わず抱きついて胸元に頬擦りします。
すると、ウディルは起きて私の頭を撫でてくれる。
それが気持ち良くて、もう少しこうしていたいと思うのでした。
そんな風に過ごしていたらノックが聞こえてきた。私は慌てて離れるとドアを開ける。
そこに居たのは陛下だった。
私は焦った。まさか、陛下が来るなんて思ってもいなかったから。
だけど陛下は何も言わずに部屋に入ってくると、ソファーに座って寛いでしまう。
私はオロオロしながらもウディルを起こします。
すると、眠たそうにしてるウディルは目をこすりながら体を起こして欠伸を一つ漏らすのでした。
その姿が可愛らしく見えてしまったのは内緒です。
それから三人で朝食を食べてから執務室に向かいます。その間も陛下は無言のままでした。
そして、執務室に辿り着くと、陛下は書類に目を通してサインを書いていきます。
それを横目に見つつ私は自分の仕事をする為に机に向かってペンを走らせていく。
それから数時間後、私の仕事が一段落ついた時に陛下が声をかけてきました。
それは、昨日のことに関する事でした。
私は黙って聞いていました。
全てを聞き終えたあと、私は立ち上がります。
陛下は私を見つめて言いました。
やはり、許せないか、と。
私は首を振ります。
許せる訳がないじゃないですか。私は言ったはずですよ、次は許さないって。
私は言いました。今度のことは見逃してあげるって。
その代わり条件が有るって事も。
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