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「まぁ、我が娘の帰還なのだから、嬉しい事には変わりない」
「ありがとうございます」
「しかし、お前が結婚とは、感慨深いものがある」
「はい」
「ところで、ウディル様には話して来たのだろうな」
「いいえ、ですから家出です」
きっぱりと言うあたり思わず叔父様も噴き出して笑い出す。
「さすがは我が子の娘だな、若い頃の父もこの城を勝手に抜けて城下町に
お前の母の元に良く行っていたが、親子それってとは、いや、恐れ入った」
「父上も母上にぞっこんだったからなぁ」
「はい?」
「いや、なんでも無い」
「そうですか? それよりも、ウディルに会わないと行けないのですが」
と、言うと叔父は首を横に振る。
「駄目だ、お前は明日の朝まではここに居るんだ」
「どうしてですか?」
「どうしても何も、陛下がお怒りになるからだ」
と、言われてしまった。
確かに、怒っているかもしれない。
今戻れば確かにお仕置きされてしまうでしょう。
「明日、正式に謁見の間で話なさい、お前の玉座はそのままだから、問題ないだろう」
「わかりました」
「それでは、部屋に案内しよう」
「はい」
私は叔父に連れられ、部屋に戻りました。
部屋に戻ると、私はベッドに飛び込みます。
「疲れました」
と、呟くと、扉がノックされました。
私は慌てて身なりを整えてから扉を開けると、そこには陛下が立っていました。
「陛下」
「ウディルだ」
「ウディル」
「あぁ、おかえり」
「ただいま」
と、私が答えると、陛下は私を抱き締めてきます。
「陛下、苦しいです」
「あぁ、すまない」
と、言ってから陛下は私を離してくれました。
「陛下」
「よそよそしいな、兵に報告を受けて早馬飛ばして来た夫に対して他人行儀はあんまりでは無いのか?」
「仕事が大好きな、ウディル国王陛下」
「相変わらず手厳しいな」
「そんなことより、何で来たの?」
「早馬でと言っただろう」
「違う、何で、ほっとかなかったの」
「そっちかよ、まるで来るなと言いたげだな」
「叔父様に挨拶はした?」
「リエル国王には先程お会いした、お前の事で嘆いていたぞお父上に似てお転婆だと」
「それはどうも」
「褒めてはいない」
「そう? それで? 私に会いに来た理由はそれだけじゃないでしょ? 早く言って」
「あぁ、実はな」
と、言ってから陛下は真剣な顔で言います。
「フィリア、すまなかった、少し配慮が足り無いようで」
「少し?」
「う」
「帰って」
「何でだよ、ちゃんと謝ったぞ」
「だって、貴方が、あんなに」
「あんなに?」
「激しいから」
「は?」
「とにかく、今は無理」
「おい、待て」
と、言うと私は部屋の中に入って鍵を閉める。
「ありがとうございます」
「しかし、お前が結婚とは、感慨深いものがある」
「はい」
「ところで、ウディル様には話して来たのだろうな」
「いいえ、ですから家出です」
きっぱりと言うあたり思わず叔父様も噴き出して笑い出す。
「さすがは我が子の娘だな、若い頃の父もこの城を勝手に抜けて城下町に
お前の母の元に良く行っていたが、親子それってとは、いや、恐れ入った」
「父上も母上にぞっこんだったからなぁ」
「はい?」
「いや、なんでも無い」
「そうですか? それよりも、ウディルに会わないと行けないのですが」
と、言うと叔父は首を横に振る。
「駄目だ、お前は明日の朝まではここに居るんだ」
「どうしてですか?」
「どうしても何も、陛下がお怒りになるからだ」
と、言われてしまった。
確かに、怒っているかもしれない。
今戻れば確かにお仕置きされてしまうでしょう。
「明日、正式に謁見の間で話なさい、お前の玉座はそのままだから、問題ないだろう」
「わかりました」
「それでは、部屋に案内しよう」
「はい」
私は叔父に連れられ、部屋に戻りました。
部屋に戻ると、私はベッドに飛び込みます。
「疲れました」
と、呟くと、扉がノックされました。
私は慌てて身なりを整えてから扉を開けると、そこには陛下が立っていました。
「陛下」
「ウディルだ」
「ウディル」
「あぁ、おかえり」
「ただいま」
と、私が答えると、陛下は私を抱き締めてきます。
「陛下、苦しいです」
「あぁ、すまない」
と、言ってから陛下は私を離してくれました。
「陛下」
「よそよそしいな、兵に報告を受けて早馬飛ばして来た夫に対して他人行儀はあんまりでは無いのか?」
「仕事が大好きな、ウディル国王陛下」
「相変わらず手厳しいな」
「そんなことより、何で来たの?」
「早馬でと言っただろう」
「違う、何で、ほっとかなかったの」
「そっちかよ、まるで来るなと言いたげだな」
「叔父様に挨拶はした?」
「リエル国王には先程お会いした、お前の事で嘆いていたぞお父上に似てお転婆だと」
「それはどうも」
「褒めてはいない」
「そう? それで? 私に会いに来た理由はそれだけじゃないでしょ? 早く言って」
「あぁ、実はな」
と、言ってから陛下は真剣な顔で言います。
「フィリア、すまなかった、少し配慮が足り無いようで」
「少し?」
「う」
「帰って」
「何でだよ、ちゃんと謝ったぞ」
「だって、貴方が、あんなに」
「あんなに?」
「激しいから」
「は?」
「とにかく、今は無理」
「おい、待て」
と、言うと私は部屋の中に入って鍵を閉める。
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