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彼の名前はレイアン・ガディール陛下は隣国の国王で小国ながらも独身で
しかもウディルとは大の親友と言うではありませんか?
私はつい、ドキドキしてしまう。
私はつい、俯いてしまう。
そんな私に陛下は言います。
「フィリア、俺と結婚してほしい」
「……」
「俺には君が必要なんだ」
「……でも」
「俺には君しかいないんだ」
「私には貴方しか」
「フィリア、俺と結婚してほしい」
と、陛下は私を抱きしめてくる。
その手は微かに震えていますが、私はそんなことよりも、陛下に抱き締められていることに
意識がいってしまいます。
私はつい、考えてしまいます。
この人と一緒ならば、どんな困難も乗り越えられるのではないかと。
私はつい、思ってしまっています。
しかし、それは夫を裏切る行為に他ならない。
凄く悩みました。
そして、私が出した答えは……。
「ごめんなさい、夫のウディルを待たせているので失礼します」
と、言って私は陛下の腕を振り払って、部屋に戻ります。
陛下は追いかけてこようとしましたが、私は足を止めません。
部屋に戻ると、私はベッドに飛び込むと枕に顔を押し付けて、
「うわぁあああん」
と、泣き出してしまったのです。
私はそのまま眠ってしまったようです。
目が覚めると、外は既に明るくなっていました。
私は起き上がると、鏡の前に行きました。
そこには、酷い顔をした私が映っていました。
私は溜息をつきます。
すると、扉がノックされました。
私は慌てて涙の跡を隠します。
「どうしたんだ? 何かあったのか?」
ヴディルが心配して駆けつけてくれました。
「貴方、その、隣国の王、レイアン・ガディールと言うお方をご存じですか?」
と、聞くと、ヴディルは目を丸くして、固まってしまいます。
「知っているも何も、あいつは俺の幼馴染だ」
「えぇ!?」
と、私は驚いてしまいます。
すると、ヴディルは私を優しく抱きしめて、頭を撫でながら言いました。
「それがどうしたんだ? レイアンもそう言えば舞踏会の様子が可笑しかったが、まさかお前達」
「はい」
「そうか」
「あの、怒っていらっしゃらないのですか?」
「怒るもなにも、お前は断ったのだろう?」
「は、はい」
「なら後でこちらで話を付けよう、お前は何も心配しなくて……」
そこまで言ってから少し考えた顔をすると
「そうだ、俺が直々に断ってやろう、それでいいだろう?」
と、言われてしまいました。
私はつい、苦笑いを浮かべてしまいました。
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