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私は緊張して、陛下であるウディルを盗み見るのです。
「どうした?」
「なんかかっこよくて」
「なら面白い話をしようか」
「聞きたいです」
「この海岸のミサキが何故あると思う」
「知りません」
「実はな、この国には昔に魔女がいたんだ」
「へぇ」
「その魔女は美しい女性だったが、性格が最悪だった」
「どうしてですか」
「それはな、この国の男を全員自分の物にしようとしたからだ」
「最低ですね」
「その通り、だからその魔女は処刑された」
「でも、その魔女は生きていたんですね」
「そうだ、その魔女の名前は、リリスだ」
「そうなんですね」
「その魔女は今も何処かを彷徨っているらしいぞ」
「怖い話なんですね」
「そうだ、だが、そんなことはない、フィリアはもう俺の妻なんだから」
「そうですね」
私は微笑みます。
そして、私は手を差し伸べます。
陛下はその手を握り返してくれました。
これからもずっと一緒に居てください。
私はそう願いました。
それから、私と陛下は無事に結婚記念日を過ごすと
その日は、とても天気が良くて、青空が広がり雲一つもない快晴でした。
空には鳥が飛んでいてとても綺麗でしたね。
私は窓の外を眺めて、そんなことを考えていたのですが……。
「フィリア、何を見ているんだ?」
「あっ、陛下」
私は慌てて振り返ります。
そこには、陛下がいました。
「外を見ていたのか」
「はい」
「そういえば、今日はいい天気だな」
「そうですね」
「そういえば、今日は何の日だ」
「今日は特に何もなかったような」
「そうだな、特にこれといったイベントはない」
と、陛下は言いますが、私は知っているのです。
「あの、舞踏会は」
私がそう言うと、陛下は少し驚いた様子でした。
私は続けて言います。
陛下は私にプロポーズをしてくださった時も、 私の誕生日にプレゼントを渡してくださった時も、 私に求婚してくださった時も、 私に結婚記念日をお祝いしてくださった時も、 いつも何かしらのイベントがある時は、必ずと言っていいほど、私と陛下は一緒でした。
そして、今日は舞踏会の日、さすがに仕事の邪魔になるのはいけないので、陛下にはお断りをしたのですが……。
それでも、陛下は諦めずに私を誘ってくれたのですが……。
私は申し訳なく思いながらも、お断りをしました。
すると、陛下は残念そうな顔をしながらも、 私の頭を撫でてくれたのですが……。
私はついつい、聞いてしまいました。
「陛下は私のことを愛しているのでしょうか?」
と、すると陛下は答えてくれました。
「勿論だ、俺はお前を愛しているが少し寂しいな」
「どうしても踊ってはくれないのか?」
と、言われてしまえば私だって踊りたかったのですが、 私にも立場というものがあります。
それに、私は今や王妃です。
王の仕事に王妃は手伝わないのが
普通です。
なので、私は我慢するしかないのです。
私は、陛下に笑顔でこう言ってあげました。
「ごめんなさい、陛下」
と、すると陛下は悲しげな表情を浮かべて、 私の前から去っていきました。
私は部屋に戻って、ドレスを脱いで、ラフな格好になりました。
鏡の前で髪を解いて、櫛を使って整えていきます。
すると、扉がノックされました。
私は誰だろうと思いながら、返事をします。
すると、入ってきたのは陛下でした。
陛下は私の姿を見て、目を丸くしています。
どうしたんだろうかと思っていると、陛下は口を開きます。
「その、俺と一曲」
「今ここでです?」
と聞くと、陛下は恥ずかしげもなく言いました。
私はついつい呆れてしまいました。
「人目が無ければいいのではないと思いますが」
と、私が言えば陛下は嬉しそうな表情を浮かべて言いました。
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