49 / 76
49.
しおりを挟む
フィリアは数日後ウディルを蘇生する事に成功するのでした。
「よくも、我妻をそそのかしてくれたな、お前はフィリアの兄だったはずだろう」
「さぁ、なんのことですかねぇ」
「とぼけるな!」
「あはははははは、怒らないで下さいよぉ」
「俺は今すぐお前を殺してやりたいのだが、それはできない」
「なんでですかぁ? 貴方は俺の妹であるフィリアを誘惑して、奴隷にしただけじゃないですかぁ」
「それを黙っていて欲しいと頼んだはずだ」
「えぇ、もちろん言いませんとも、誰にも」
「……」
「だけど、俺としては面白い方を優先してしまいますので」
「何をするつもりだ?」
「いえ、特には何も」
「本当だろうな?」
「えぇ、でも、少しぐらいは遊ばせてもらいますよ?」
「くっ」
「まぁ、安心してください、フィリアには傷一つ付けませんから、だってあの子は、俺の為にいるのだから」
「お前のその歪んだ愛情に反吐が出る」
「おやおや、怖い事言わないでくださいよ」
「お前は、妹を愛しているのか?」
「愛しているに決まっているじゃありませんか」
「そうか、ならば、俺から言えることは一つだけだ」
「なんですか?」
「死ね!」
「酷い言い方しますね」
「お前がしたことを考えれば当然のことだ」
「そうですか」
「お前が妹の事を想っているなら、決して手を出すな」
「わかりました」
「あとは、好きにしろ」
「ありがとうございます」
その男は、その場を去って行きました。
兄に染められたフィリアは涙を流していた。
いない間に嫌な思いをさせたと俺は反省する。
そしてフィリアを抱きしめるとそのまま歩き出して
部屋に戻った。
部屋に戻ってきた俺たちはベッドに腰掛ける。
「フィリア」
「はい」
「すまなかった」
「え?」
「フィリアは俺のために頑張っていたんだろう?」
「はい」
「なのに、俺は何も知らなかった」
「いえ、お仕事ですので」
「それでも、フィリアの気持ちを考えていなかった」
「いえ、私は気にしておりませんので」
「いや、俺が気にするんだ」
「陛下」
「なんだ」
「私は陛下の役に立てておりましたでしょうか」
「当たり前じゃないか」
「なら、いいのですが」
「これからもよろしく頼むぞ」
「はい」
「それと、今日は一緒に寝るか?」
「え?」
「ダメか?」
「いえ、そんな事はございませんが」
「なら決まりだな」
私たちはそのまま同じ布団に入りました。
「お休みなさいませ」
「あぁ、お休み」
私は目を閉じました。
ウディル様が私の頭を撫でてきました。
私はその心地良さに身を委ねるのでした。
私は夢を見ていました。
ウディル様が私のことを抱っこしています。
私は嬉しくてウディル様に抱きつきました。
ウディル様は私を床に下ろして、キスをしてきました。
「よくも、我妻をそそのかしてくれたな、お前はフィリアの兄だったはずだろう」
「さぁ、なんのことですかねぇ」
「とぼけるな!」
「あはははははは、怒らないで下さいよぉ」
「俺は今すぐお前を殺してやりたいのだが、それはできない」
「なんでですかぁ? 貴方は俺の妹であるフィリアを誘惑して、奴隷にしただけじゃないですかぁ」
「それを黙っていて欲しいと頼んだはずだ」
「えぇ、もちろん言いませんとも、誰にも」
「……」
「だけど、俺としては面白い方を優先してしまいますので」
「何をするつもりだ?」
「いえ、特には何も」
「本当だろうな?」
「えぇ、でも、少しぐらいは遊ばせてもらいますよ?」
「くっ」
「まぁ、安心してください、フィリアには傷一つ付けませんから、だってあの子は、俺の為にいるのだから」
「お前のその歪んだ愛情に反吐が出る」
「おやおや、怖い事言わないでくださいよ」
「お前は、妹を愛しているのか?」
「愛しているに決まっているじゃありませんか」
「そうか、ならば、俺から言えることは一つだけだ」
「なんですか?」
「死ね!」
「酷い言い方しますね」
「お前がしたことを考えれば当然のことだ」
「そうですか」
「お前が妹の事を想っているなら、決して手を出すな」
「わかりました」
「あとは、好きにしろ」
「ありがとうございます」
その男は、その場を去って行きました。
兄に染められたフィリアは涙を流していた。
いない間に嫌な思いをさせたと俺は反省する。
そしてフィリアを抱きしめるとそのまま歩き出して
部屋に戻った。
部屋に戻ってきた俺たちはベッドに腰掛ける。
「フィリア」
「はい」
「すまなかった」
「え?」
「フィリアは俺のために頑張っていたんだろう?」
「はい」
「なのに、俺は何も知らなかった」
「いえ、お仕事ですので」
「それでも、フィリアの気持ちを考えていなかった」
「いえ、私は気にしておりませんので」
「いや、俺が気にするんだ」
「陛下」
「なんだ」
「私は陛下の役に立てておりましたでしょうか」
「当たり前じゃないか」
「なら、いいのですが」
「これからもよろしく頼むぞ」
「はい」
「それと、今日は一緒に寝るか?」
「え?」
「ダメか?」
「いえ、そんな事はございませんが」
「なら決まりだな」
私たちはそのまま同じ布団に入りました。
「お休みなさいませ」
「あぁ、お休み」
私は目を閉じました。
ウディル様が私の頭を撫でてきました。
私はその心地良さに身を委ねるのでした。
私は夢を見ていました。
ウディル様が私のことを抱っこしています。
私は嬉しくてウディル様に抱きつきました。
ウディル様は私を床に下ろして、キスをしてきました。
0
お気に入りに追加
706
あなたにおすすめの小説
【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜
茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。
☆他サイトにも投稿しています
慰み者の姫は新皇帝に溺愛される
苺野 あん
恋愛
小国の王女フォセットは、貢物として帝国の皇帝に差し出された。
皇帝は齢六十の老人で、十八歳になったばかりのフォセットは慰み者として弄ばれるはずだった。
ところが呼ばれた寝室にいたのは若き新皇帝で、フォセットは花嫁として迎えられることになる。
早速、二人の初夜が始まった。
【完結】【R18】伯爵夫人の務めだと、甘い夜に堕とされています。
水樹風
恋愛
とある事情から、近衛騎士団々長レイナート・ワーリン伯爵の後妻となったエルシャ。
十六歳年上の彼とは形だけの夫婦のはずだった。それでも『家族』として大切にしてもらい、伯爵家の女主人として役目を果たしていた彼女。
だが結婚三年目。ワーリン伯爵家を揺るがす事件が起こる。そして……。
白い結婚をしたはずのエルシャは、伯爵夫人として一番大事な役目を果たさなければならなくなったのだ。
「エルシャ、いいかい?」
「はい、レイ様……」
それは堪らなく、甘い夜──。
* 世界観はあくまで創作です。
* 全12話
腹黒王子は、食べ頃を待っている
月密
恋愛
侯爵令嬢のアリシア・ヴェルネがまだ五歳の時、自国の王太子であるリーンハルトと出会った。そしてその僅か一秒後ーー彼から跪かれ結婚を申し込まれる。幼いアリシアは思わず頷いてしまい、それから十三年間彼からの溺愛ならぬ執愛が止まらない。「ハンカチを拾って頂いただけなんです!」それなのに浮気だと言われてしまいーー「悪い子にはお仕置きをしないとね」また今日も彼から淫らなお仕置きをされてーー……。
噂の“放置され妻”
Ringo
恋愛
世間の注目を浴びて結婚した“公爵家次男”ハワードと“子爵家長女”マリエル。
妬み嫉みを抱く周囲の視線を受けながら結ばれたが、初夜にハワードが妻を置いて仕事へ向かった事であらぬ噂が流れ始めた。
婚約者であった頃からマリエルは外部との接触を最低限に抑えており、結婚後は屋敷に籠る日々。
ふたり揃って姿を現すのは年に数回、限られた夜会やお茶会のみ。
そんな状況が“噂は真実であった”と憶測を呼び、更なる興味を惹きつける。
※ご都合主義の世界観
※ちょくちょく生々しい表現あり
※全体的にR18内容です
※作品中の法律や知識は創作物です
美貌の騎士団長は逃げ出した妻を甘い執愛で絡め取る
束原ミヤコ
恋愛
旧題:夫の邪魔になりたくないと家から逃げたら連れ戻されてひたすら愛されるようになりました
ラティス・オルゲンシュタットは、王国の七番目の姫である。
幻獣種の血が流れている幻獣人である、王国騎士団団長シアン・ウェルゼリアに、王を守った褒章として十五で嫁ぎ、三年。
シアンは隣国との戦争に出かけてしまい、嫁いでから話すこともなければ初夜もまだだった。
そんなある日、シアンの恋人という女性があらわれる。
ラティスが邪魔で、シアンは家に戻らない。シアンはずっとその女性の家にいるらしい。
そう告げられて、ラティスは家を出ることにした。
邪魔なのなら、いなくなろうと思った。
そんなラティスを追いかけ捕まえて、シアンは家に連れ戻す。
そして、二度と逃げないようにと、監禁して調教をはじめた。
無知な姫を全力で可愛がる差別種半人外の騎士団長の話。
未亡人メイド、ショタ公爵令息の筆下ろしに選ばれる。ただの性処理係かと思ったら、彼から結婚しようと告白されました。【完結】
高橋冬夏
恋愛
騎士だった夫を魔物討伐の傷が元で失ったエレン。そんな悲しみの中にある彼女に夫との思い出の詰まった家を火事で無くすという更なる悲劇が襲う。
全てを失ったエレンは娼婦になる覚悟で娼館を訪れようとしたときに夫の雇い主と出会い、だたのメイドとしてではなく、幼い子息の筆下ろしを頼まれてしまう。
断ることも出来たが覚悟を決め、子息の性処理を兼ねたメイドとして働き始めるのだった。
[R18]引きこもりの男爵令嬢〜美貌公爵様の溺愛っぷりについていけません〜
くみ
恋愛
R18作品です。
18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。
男爵家の令嬢エリーナ・ネーディブは身体が弱くほとんどを屋敷の中で過ごす引きこもり令嬢だ。
そのせいか極度の人見知り。
ある時父からいきなりカール・フォード公爵が婚姻をご所望だと聞かされる。
あっという間に婚約話が進み、フォード家へ嫁ぐことに。
内気で初心な令嬢は、美貌の公爵に甘く激しく愛されてー?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる