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「俺もフィリアを愛してしまったんだ」
「そうかよ」
俺がそう返事を返すと兄貴は黙ってしまった。
「それで、兄貴、フィリアに求婚するつもりなのかよ」
「当たり前だ、フィリアは俺と結婚する運命にあるんだ」
「はぁ~、それ本気で言ってる?」
「言っている」
「フィリアだってさ」
「ふざけるな、フィリア騙されるなこいつは」
「もういいです、私、ウディルの妻になります」
私はこれ以上、この人と話すとウディルに迷惑がかかると思い、席を立ちました。
私はウディルの側に行きます。
ウディルは私を見ると優しく微笑みかけてくれるのです。
それだけで私は幸せな気持ちになるのです。
私はウディルの手を取り、指を絡めて握ります。
すると、ウディルは少し照れたように顔を背けてしまいました。
私もなんだか恥ずかしくなって俯いてしまいました。
そんな私達を見て、兄は何か言おうとしていましたが、すぐに口を閉じてしまいました。
兄はそのまま部屋を出て行きました。
私はウディルと一緒にいるだけで幸せでした。
ウディルは私の事をどう思っているのでしょうか?
そう思いながらウディルを見つめると、目が合いました。
ウディルは私の目を見て言います。
私の目を覗き込む様にしながら。
ウディルの目は澄んだ綺麗な青でした。
私はウディルに見惚れていると、唇を奪われました。
それは一瞬の出来事でした。
私達は見詰め合いながらお互いに頬を赤く染めていきました。
そして私はウディルに抱き寄せられます。
私もウディルの背中に腕を回します。
ウディルの腕に力が入るのがわかります。
そして私の耳にウディルの息遣いが聞こえてきます。
ウディルの鼓動が早鐘のように鳴り響いているのが分かるのです。
ドキドキしているのです。
きっと私もそうなのですが、
ウディルの胸に顔を埋めているのでよく分かりませんでした。
ただ心地よいのだけは確かでした。
私がその胸板に手を当てるとビクっと反応するのが分かりました。
でも、離さないのです。
私はウディルの事が好きなのです。
好きになってしまったのです。
あの時、アルジオ様に襲われそうになった時に真っ先に浮かんだのはウディルだったのです。
アルジオ様ではなく、ウディルだったのです。
だから私は決めたのです、私はウディルと結婚します。
アルジオ様との縁談は破断になって貰います。
アルジオ様は私を嫌っていましたから、多分、問題ないでしょう。
私はアルジオ様との婚姻を解消し、正式にウディルと婚約する事にしたのです。
私はアルジオ様との縁を切る為に父であるウディルのお父様にお会いします。
「フィリア嬢、よく来てくれた」
私は父の執務室に通されます。
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