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戸惑うとそのまま笑みを浮かべて歩き出す今度は振り返られる事は無かった。
(どうしよう、怒らせたかも)
私は急いでウディルを追い掛ける。
ウディルに追いつくと、ウディルは言った。
(私の事が好きと言うのは嘘なのかな、あれだけ酷い仕打ちを受けておいて、まだ好きとか、
どんだけチョロいんだ)
と自分でも思う。
でも、私はウディルの事が好きで好きでたまらない。
ウディルの事が大好きだから、どんな酷い事をされても嫌いになれない。
やっぱり好きだ。
でも、もう婚約者じゃない。
ウディルの事を思って乳房が痛くなる。
「ウディル」
気付けばそう叫んでいた。
「なんでしょうか? 王女様」
他人行儀なその呼び方が辛い。
「無理言ってごめんなさい」
「そんな言葉が何になると思う? 正直今のは深く傷ついた」
と、ウディルは悲しそうに言う。
私はウディルの言葉を聞いて心を痛める。
ウディルは続けて言う。
「だが、それは俺も悪いのかもしれない、お前の気持ちを知っていながら、
何もせずに放置していた俺もな、少しは自制していれば良かったのに、
俺はお前を前にすると歯止めがきかない、こんな俺をお前はどう思っているんだろうな?」
と、聞いてくる。
私はどう答えていいかわからず黙ってしまう。
それから、そっと微笑むと
「この国の夜はあっちと違って冷えるだろう? 風邪を引くなよフィリア」
そっと抱き寄せられる。
「うん」
「そう言えば、アイシクルとして婚約相手を探すと言っていたな」
私は驚いて言う。
どうして知っているの? 私がウディルの方を見ると、ウディルは言う。
俺は君の父さんの友人なんだぞ、知らない訳が無いだろう。
と、言われてしまう。
ウディルは私から体を離すと、優しく笑って言う。
俺はお前の事がずっと好きだったよ、フィリア・アンジェロ、これからもよろしく頼む。
と、言われて私は思わず泣いてしまった。
ウディルは私の頭を撫でて、私の涙を拭ってくれる。
ウディルは私の涙を指で掬うと、キスをしてきた。
私はウディルに言う。
「ウディル、私は貴方の許嫁に戻りたい。
でもどうしていいのかがわからないのよ」
と、ウディルに話す。
ウディルは私の頬を両手で挟んで、私の目をじっと見つめると、 私の額にキスをして言った。
「俺はいつでも君の許嫁のつもりでいるよ」
と、ウディルは私にキスをする。
私はウディルに言う。
「ありがとうウディル、私もウディルの事が大好きなのよ、愛しているわ、心から、ウディル」
と、言うとウディルはそっと私を抱きしめてくれる。
しかし、次の瞬間その手を放した。
「え?」
「叔父上と俺の父上が見ている」
と、言うので後ろを振り向くと、父さんと叔父さんが立っていた。
私は慌ててドレスを整えると、二人の元に駆け寄る。
ウディルが叔父さんに話しかける。
先程までとは打って変わって、優しい声だ。
叔父さんはウディルの顔を見るなり、私に向かって、
「フィリアよ、お前が幸せになるならそれでいい。
ウディル殿下、娘をどうか宜しくお願い致します」
と言って、私にキスをする。
(どうしよう、怒らせたかも)
私は急いでウディルを追い掛ける。
ウディルに追いつくと、ウディルは言った。
(私の事が好きと言うのは嘘なのかな、あれだけ酷い仕打ちを受けておいて、まだ好きとか、
どんだけチョロいんだ)
と自分でも思う。
でも、私はウディルの事が好きで好きでたまらない。
ウディルの事が大好きだから、どんな酷い事をされても嫌いになれない。
やっぱり好きだ。
でも、もう婚約者じゃない。
ウディルの事を思って乳房が痛くなる。
「ウディル」
気付けばそう叫んでいた。
「なんでしょうか? 王女様」
他人行儀なその呼び方が辛い。
「無理言ってごめんなさい」
「そんな言葉が何になると思う? 正直今のは深く傷ついた」
と、ウディルは悲しそうに言う。
私はウディルの言葉を聞いて心を痛める。
ウディルは続けて言う。
「だが、それは俺も悪いのかもしれない、お前の気持ちを知っていながら、
何もせずに放置していた俺もな、少しは自制していれば良かったのに、
俺はお前を前にすると歯止めがきかない、こんな俺をお前はどう思っているんだろうな?」
と、聞いてくる。
私はどう答えていいかわからず黙ってしまう。
それから、そっと微笑むと
「この国の夜はあっちと違って冷えるだろう? 風邪を引くなよフィリア」
そっと抱き寄せられる。
「うん」
「そう言えば、アイシクルとして婚約相手を探すと言っていたな」
私は驚いて言う。
どうして知っているの? 私がウディルの方を見ると、ウディルは言う。
俺は君の父さんの友人なんだぞ、知らない訳が無いだろう。
と、言われてしまう。
ウディルは私から体を離すと、優しく笑って言う。
俺はお前の事がずっと好きだったよ、フィリア・アンジェロ、これからもよろしく頼む。
と、言われて私は思わず泣いてしまった。
ウディルは私の頭を撫でて、私の涙を拭ってくれる。
ウディルは私の涙を指で掬うと、キスをしてきた。
私はウディルに言う。
「ウディル、私は貴方の許嫁に戻りたい。
でもどうしていいのかがわからないのよ」
と、ウディルに話す。
ウディルは私の頬を両手で挟んで、私の目をじっと見つめると、 私の額にキスをして言った。
「俺はいつでも君の許嫁のつもりでいるよ」
と、ウディルは私にキスをする。
私はウディルに言う。
「ありがとうウディル、私もウディルの事が大好きなのよ、愛しているわ、心から、ウディル」
と、言うとウディルはそっと私を抱きしめてくれる。
しかし、次の瞬間その手を放した。
「え?」
「叔父上と俺の父上が見ている」
と、言うので後ろを振り向くと、父さんと叔父さんが立っていた。
私は慌ててドレスを整えると、二人の元に駆け寄る。
ウディルが叔父さんに話しかける。
先程までとは打って変わって、優しい声だ。
叔父さんはウディルの顔を見るなり、私に向かって、
「フィリアよ、お前が幸せになるならそれでいい。
ウディル殿下、娘をどうか宜しくお願い致します」
と言って、私にキスをする。
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