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私は驚いてウディルを見上げると、ウディルは微笑んでいた。
え? 今なんて言ったの? お父さんって聞こえたけど……
ウディル様のお父さんって……元・国王陛下だよ……ね…… 私が混乱していると、お父様が言う。
お父様はウディルに向かって深々と頭を下げた。
そして、ウディルに謝罪の言葉を述べた。
お父様が頭を下げるところなど見たことがありません。
ウディルは困ったような表情をして言いました。
いつもならここで、
「父上、どうか気になさらないで下さい」
と、言って、その場を収めるところですが、ウディルは黙ったままです。
すると、お父様は続けて、
「この度の事は大変申し訳なかった。この通りだ」
と言って、更に深く頭を下げられてしまいました。
さっきからウディルが何も言わないので、私は不安になり、ウディルに小声で話しかける。
「あの、ウディル様?」
ウディルは私の方に振り向くと、私の唇にそっとキスをしました。
「フィリア、少し待っていてくれ」
ウディルはそれだけを言うと、お父様に向き直り、そして、こう言われてしまったのです。
「わかった。では、決闘をしよう」
「え?」
えぇーーーーーー!
「決闘?」
「ああ、そうだ。それでケリをつけよう」
お父様とお母様は、お互いに顔を見合わせる。
お父様は、お母様が何か言おうとするのを制すると、お父様が先におっしゃいました。
お父様がおっしゃることには、ウディルとフィリアが結婚するにあたって、お互いの両親の間で
決めた事があるらしい。
それは、フィリアのご両親が望んでいない場合は、フィリアとの結婚を認めないと
言う事です。
そして、今回フィリアの両親は、ウディルの事を許せないと仰っていると……。
それはそうだろう。
私も当事者でなければ、フィリアの両親の気持ちもわかるし、
フィリアがウディルと結婚することにも反対するだろう。
しかし、フィリアの父親は、娘が望んでいるのであれば、
ウディルと婚約させることは構わないと言っているそうだ。
但し、ウディルと結婚する以上は、ウディルに責任を取ってもらいたい。
それが出来ないのなら、婚約解消しろという事らしい。
ウディルが勝てば、今まで通りの生活をさせてやる。
ただ、負けたらフィリアと別れろ。
フィリアの父親からの申し出に、ウディルは了承した。
「わかりました、剣で勝てと言うのなら、喜んで受けましょう」
「ありがとう。ウディル君」
こうして、ウディルと元・国王陛下との決闘が決まった。
ウディルは私に言った。
「フィリア、すまないがしばらく一人で部屋にいてくれないか」
「はい……」
「すまないな」
ウディルは私にそう言うと、私に背中を向けた。
私、邪魔なんだよね。わかっていたことだけど、辛いなぁ。
でも、仕方ないんだよね。私が悪いんだもん。
ウディルは私に背を向けると、部屋のドアの方へ歩いて行った。
そして、そのまま部屋を出て行ってしまった。
ウディルが出て行ってから数分後、執事が私の所に来た。
「フィリア様、ウディル様はどちらでしょうか? 先程から探していますが、見当たらないのですが」
「え? 先ほど出て行きましたが」
「え? 先ほどの会話は聞かれていなかったのですか?」
「いえ、聞いていますよ。だから、ウディル様の言われるとおりに、一人にしてもらっているんです」
「え? ええええええええええええ!!」
執事が大声を上げたので、私はビックリして飛び上がった。
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