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「目が覚めたようだね。フィリア」
「ウディル様! 無事だったんですね!」
「あぁ、俺は大丈夫だよ。それよりフィリアの方が心配だ」
「私も平気です。一体どうしてここに? ウディル様は何をなさっているのですか?
今は忙しい時期ではないのですか?」
「うん、俺も色々とやりたい事があるんだけど、アンナから頼まれてしまってな。
フィリアには悪いが、しばらくの間ここで生活してもらう事になった」
「え? どういう意味ですか?」
「そのままの意味だ。これから俺と一緒に暮らすんだよ」
「一緒に? まさか! ウディル様は私の事を!?」
「勘違いするなよ? 別にお前に欲情したから一緒に暮らしてもらうわけではない」
「え? それじゃあ、なんでですか? 理由を教えてください」
「フィリアは、最近体が凝ったりしないか?」
「えぇ、少し肩が重かったりしますが、それがどうかしましたか?」
「その症状はな、体の血流が悪くなって起こるものだ。だが、それだけじゃない。
その症状は慢性化しやすく、放っておくと大変な事になる。だから、
フィリアにはその治療を手伝ってもらおうと思ってな」
つまり、ウディルはフィリアにマッサージをさせようというのだ。
もし、フィリアと結婚して子供が出来たらその子も美しくなるに違いない。
ウディルにとってこれほど嬉しい事はないだろう。
「ウディル様は、私が好きなのですか?」
「あぁ、好きだぞ。愛している」
「ッ!!」
ウディルはストレートな言葉を口にするが、フィリアは顔を真っ赤にして俯いてしまった。
そんな様子を見てウディルはフィリアを抱きしめた。
「ウディル様、急に抱きつかないでください。びっくりしてしまいます」
フィリアはウディルを押しのけようとするが、ウディルは離れようとしなかった。
「フィリアは意外と照れ屋なんだな。そういう所も可愛いと思うが、そろそろ慣れてくれないか?」
「無理です!恥ずかしいものは恥ずかしいのです!」
フィリアが顔を赤くしたまま叫ぶように言った。
そんなフィリアを見てウディルは笑った。
フィリアは本当に可愛い奴だ。
この調子でいけばフィリアを落とせる日も近いかもしれない。
ウディルはフィリアを抱き寄せた。
ウディルの乳房板にフィリアの顔が埋まる形になる。
フィリアは慌ててウディルから離れようとしたが、ウディルに腕を掴まれて逃げる事が出来なかった。
ウディルはそのままフィリアの耳に口を近づけた。
フィリアがビクっと体を震わせた。
ウディルは息を吹きかけるようにしてフィリアに囁いた。
ふぅーっ。
「ひゃう! 耳はやめてください! くすぐったいですよ」
フィリアは身を捩らせて逃げようとした。
しかし、ウディルの腕がそれを許さない。
「ウディル様! もう止めてくださ……ヒャウン! ちょ……待って! 舐めるのは……だめぇ……ンアァ」
フィリアは力が抜けてしまい、その場に座り込んでしまった。
そんなフィリアの姿を見てウディルはニヤリと笑い、フィリアの顎を持ち上げた。
「どうだ? 少しは緊張が解けたか?」
そう言われて初めて気づいた。
自分が震えていた事に。ウディルはフィリアが落ち着くまでずっと傍に居てくれた。
しばらくして、フィリアは落ち着いてきた。
フィリアが落ち着いた事を確認するとウディルはフィリアの頬にキスをした。
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