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声劇の章
声劇フリー台本『ハイリーセンシティブパーソン』
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利用時申請は不要。無料で利用できます。著作権は冬野てん(ふゆのてん)です。過度な改変、自作発言はおやめ下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
店主「逃げてもいい。苦手なことに立ち向かって自分を鍛えようなどとしなくてもいい」
ーーーーそう言ったのは、駅近くにある喫茶店兼カレー屋の店主だった。
私「へえ。面白いですね。そんなふうに考えたこと、あまりありませんでした」
店主「ふうん。そう。真面目だね。うまくやってる世渡り上手な人はほどよく不真面目なものなんだよ」
ーーーー真面目、か。わりとよく言われる。私が言われる時は概ね悪い意味だ。
私「高校、いや、中学……いや。小学校の頃から、もしかしたら幼稚園のころから言われていたかもしれません」
店主「そりゃあ筋金入りってモンだね。まあ、生来のものとも言えそうだ。」
私「……」
ーーーーでも、と思う。
私「真面目に取り組んだからっていい結果が得られるわけじゃないですよ。むしろ、真面目に取り組んでも大したことにはならなかった……なんてことばかりだった」
店主「そうだね」
私「苦手なことでも、真面目に取り組んで、頑張っても……」
店主「そんなにいい結果は出ないでしょ?」
私「はい」
ーーーー店主はコーヒーを私のカップに継ぎ足した。思えば、手元のコーヒーはだいぶ冷めてしまっていた。
店主「もっと熱いのにしようか?」
私「いえ、これで大丈夫です」
店主「コーヒーは温度管理が大事でね。好みもあるんだけど」
ーーーー店主は、いつのまにか持っていた店主専用マグカップにコーヒーを自分で注いで、飲んだ。
店主「天候や、その日の気分によっても左右される繊細なものだ。コーヒー豆ってやつはね。日本みたいな天候の国では……ってウンチクはさておき。今日みたいな日は、このくらいがちょうどいいかも」
ーーーーニヤニヤしながら店主は自分で淹れたコーヒーをグビリと飲んだ。
私「(コーヒーを飲む)うん。おいしい」
店主「それはなにより。うーん、ぬるめかな……?」
ーーーー店主は酒が飲めないそうだ。その代わりにコーヒーにはうるさくなって趣味が講じてこの店を開いたそうだ。
店主「空気に触れると、酸味がー、とか言う人もいるが、そもそも湿度の関係を考慮に入れているかであって……ブツブツ」
ーーーーコーヒーバリスタとしての腕は信用できるけど、ちょっと変わり者だ。
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店主「逃げてもいい。苦手なことに立ち向かって自分を鍛えようなどとしなくてもいい」
ーーーーそう言ったのは、駅近くにある喫茶店兼カレー屋の店主だった。
私「へえ。面白いですね。そんなふうに考えたこと、あまりありませんでした」
店主「ふうん。そう。真面目だね。うまくやってる世渡り上手な人はほどよく不真面目なものなんだよ」
ーーーー真面目、か。わりとよく言われる。私が言われる時は概ね悪い意味だ。
私「高校、いや、中学……いや。小学校の頃から、もしかしたら幼稚園のころから言われていたかもしれません」
店主「そりゃあ筋金入りってモンだね。まあ、生来のものとも言えそうだ。」
私「……」
ーーーーでも、と思う。
私「真面目に取り組んだからっていい結果が得られるわけじゃないですよ。むしろ、真面目に取り組んでも大したことにはならなかった……なんてことばかりだった」
店主「そうだね」
私「苦手なことでも、真面目に取り組んで、頑張っても……」
店主「そんなにいい結果は出ないでしょ?」
私「はい」
ーーーー店主はコーヒーを私のカップに継ぎ足した。思えば、手元のコーヒーはだいぶ冷めてしまっていた。
店主「もっと熱いのにしようか?」
私「いえ、これで大丈夫です」
店主「コーヒーは温度管理が大事でね。好みもあるんだけど」
ーーーー店主は、いつのまにか持っていた店主専用マグカップにコーヒーを自分で注いで、飲んだ。
店主「天候や、その日の気分によっても左右される繊細なものだ。コーヒー豆ってやつはね。日本みたいな天候の国では……ってウンチクはさておき。今日みたいな日は、このくらいがちょうどいいかも」
ーーーーニヤニヤしながら店主は自分で淹れたコーヒーをグビリと飲んだ。
私「(コーヒーを飲む)うん。おいしい」
店主「それはなにより。うーん、ぬるめかな……?」
ーーーー店主は酒が飲めないそうだ。その代わりにコーヒーにはうるさくなって趣味が講じてこの店を開いたそうだ。
店主「空気に触れると、酸味がー、とか言う人もいるが、そもそも湿度の関係を考慮に入れているかであって……ブツブツ」
ーーーーコーヒーバリスタとしての腕は信用できるけど、ちょっと変わり者だ。
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