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【本編】永遠の旅人
04 追われる魚・追う魚
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「誰か来る!」
突然、エレナは頭を抱えて恐怖の叫びを上げた。
「誰か? ジャンパーか?」
Jは薄青の目を彼女に向けた。
「たぶん……あたしたちが跳んだ後を、正確に追跡してきてる……」
「馬鹿な……〈協会〉にそんなジャンパーが……あとどれくらいここにいられそうだ?」
「わからない……とにかく早く逃げなきゃ……今ここに来るわ!」
エレナの切羽詰まった様子に、ようやくJも真剣になって彼女の手首をつかんだ。
「じゃあ、早いとこ別のとこに……」
Jがそう言いかけたときだった。
「来た!」
「……エレナ……ちゃん?」
エレナの絶叫と少し遠慮がちな少年の声とが、同時にJの耳に入った。
Jはすぐさま跳んだ。ポイントはエレナに触れていればわかる。
目の端でJは見た。
自分の担当のリンネ・ロゼと同じ東洋系。
まだ幼い顔をしていた。――十二、三歳?
とにかく、Jには見覚えのない少年だった。
「ちぇっ、あともうちょっとだったのに!」
寸前で二人に逃げられた達也は、舌打ちして指を鳴らした。
「あれじゃ、あの女の子だけさらうなんて無理だよなー。とにかく、追っかけてりゃいいのかなー」
達也はぶつぶつ言いながら、今さっきまで二人がいた廃墟のビルの一室を見回した。
コンクリートの残骸が、そこかしこに転がっている。
ここは少なくとも二階以上であるらしい。壊れた壁から見える灰色の空の下には、瓦礫の山が一面に広がっていた。
一瞬にして時空を跳べる達也に、執着する時空はない。
すぐにこの場所に飽きた彼は、再びJとエレナを追った。
***
『まるで水を得た魚だな』
呆れたようにウムルが言った。
『ついさっきまで自分がジャンパーだと知らなかった奴が、いざ跳びはじめたら指示なしで追いかけてやがる……』
正面の壁面にあるモニタは、複数で一つの画面に再構成され、向かって左にJの着地点の年号と経緯度が、右に達也のそれが大きく表示されていた。
両者とも数秒ごとにその表示が変わっていたが、右は常に左の一つ前のそれを表示していた。
すでに職員は全員仕事の手を休め、あっけにとられてモニタを眺めていた。気分はスポーツ観戦に近い。
『妙だねえ』
そんな中、顎に手をやり、何事か考えこんでいたライアンが独り言のように呟いた。
『何がだ?』
それを聞きとがめて、ロゼは眉をひそめた。
『いや、これまでは何というか、何の目的もなくランダムに跳んでいるようだったんだがね。一度、達也に追いつかれてからは、時を下る一方になった』
『確かに、言われてみれば』
きわめて珍しいことに、ロゼはライアンの指摘に素直に同意した。
『だいたい、逃げるなら時を遡るほうが有利だろう? いくら体に発信機が埋めこまれているとはいえ、人ごみの中にでも紛れこまれたら捜し出すのは容易じゃないんだから。そこで考えられるのは、Jがある特定のポイントをめざしはじめたということだ。いや、もしかしたら最初からそのつもりだったのかもしれないが、とにかく彼らがめざしているのは二〇〇〇年以後だ。――何か心当たりは?』
ロゼは少し考える間を置いてから、感情のない声で答えた。
『Jが生まれたのが二×七八年だ』
『嫌な年代だね』
苦笑しつつ、ライアンは言った。
『で、あのJを収容したのは?』
『二×九九年。――貴様、何を考えている?』
ふと何かに思い当たったらしく、ロゼは表情を険しくさせた。
『おそらく君と同じだよ。収容は君がしたのかい?』
『いや、私の部下のミズリだ。……因果律の説明は一応したのだがな。どうやら理解できていなかったようだ』
『それはどうかな。ロゼ、正確には二×九九年のいつどこでかね?』
『……八月十日、十五時ジャスト。元ロサンゼルスの郊外だ』
「達也!」
〝教壇〟の端末を操作して、ライアンは日本語で叫んだ。
『なーにー。俺、今めちゃくちゃ忙しいんだけどー』
このうえもなく不機嫌そうな達也の声が、室内のスピーカーを通して返ってきた。
「それはよくわかっているよ。でも、今から言うところに跳んでくれないか?」
ロゼ以外は不可解そうな顔をしている人々を尻目に、ライアンはにっこり笑った。
***
Jには確固たる目的があった。
その目的を隠すために、今まで無意味にタイム・ジャンプを繰り返していた。
ジャンパーやシアーの体には、どこへ逃げてもすぐに居場所を把握できるように発信機が埋めこまれている。どこに埋めこまれているかは〈協会〉でなければわからない。
さらに、発信機には、埋めこまれている人間を麻痺させたり失神させたりする機能もあった。Jがやみくもにタイム・ジャンプをしてきたのは、その機能を使う間を〈協会〉に与えないためでもあった。
あの東洋系の少年ジャンパーに追いつかれなければ、彼はもう少しタイム・ジャンプをしてから目的を達成するつもりだった。
だが、もう一刻の猶予もならない。Jたちは少年ジャンパーを撒くために、短いジャンプを重ねてそこに向かった。
二人の周りの景色は万華鏡のように目まぐるしく変わりつづけていたが、Jにはそれらを見ている余裕などなかったし、エレナは最初からまったく別なところを見ていた。
目的地に着いたとき、Jはビルの陰でみっともなくへたりこんだ。
体力には自信があったが――そうでなければあの時代、こんな年齢まで生き残れなかった――間を置かないタイム・ジャンプの連続は、予想以上に彼を疲労させていた。
もともとタイム・ジャンプはそれほど楽なものではない。普通はもっとインターバルを置いて跳ぶし、帰った後はたっぷり休養をとる。
「奴は……?」
「大丈夫?」
Jの荒い息遣いに、エレナは逆に心配そうに訊ね返した。
「いいから、訊かれたことに答えろ!」
思わずJは声を荒立てた。エレナがびくっとして小さな肩を震わせる。
「……追ってきてないわ。途中で止まっちゃったの。とにかく、ここには来ていない」
「じゃあ、撒けたのか?」
我知らず、Jの顔に勝利の笑みが浮かんだ。
「……そうは思えない。何かよくないことが起こりそうな気がする……」
思慮深くエレナは呟いた。
タイム・シアーの能力は、千里眼や予知能力と重なっているところがある。彼女には微弱だが予知能力もあった。
「ここにいなけりゃいい。おまえの当てにならない勘なんか訊いてない」
しかし、Jはすげなく言った。慣れてはいたが、やはりエレナは傷ついてうつむいた。
この白人の青年は、総じてエレナに冷たい。ここにこうして来られたのも、エレナのおかげだというのに。
だが、エレナは決してJに逆らわない。いや、彼女の人生において、誰かに反抗したことなど、ただの一度もない。
エレナはいつでも己に課せられた運命を、唯々諾々として受け入れてきた。それが彼女の生き方であり、それ以外の生き方を知らなかった。
「あと二分……」
エレナのことなどまったく気にも留めず、Jは低く呟いた。
場所はいい。確かにここだ。
今から何年前のことかというのは考えるだけ不毛なことだ。ことに、今の自分は老化を止められている。これはエレナも同じだ。
赤い空。赤い大地。まるで火星のような赤い世界。
崩れかけたコンクリートの建築物がまばらにそびえたつ中、彼らはいつ断たれるかもしれない毎日を、息を潜めて必死に生き抜いていた。
いっそ死んだほうがましだと思いながら、それでも彼らは死ねなかった。やはり死は恐ろしく、奴らに降伏するのは屈辱だった。奴らは彼らを抹殺したがっている。命乞いなど奴らを悪戯に喜ばせるだけだ。
こんな胸糞の悪くなる時代に、Jは戻りたいわけではなかった。
今から目的を達したら、どこか平和な時代に跳んで、そこに隠れ住む。
できたら、二十世紀のアメリカがいい。豊かで平和で自由な頃のアメリカ。彼の欲しいものはすべてそろっている。
Jは立ち上がると、自分のジージャンの内ポケットに手を伸ばして、例のものを慎重に取り出した。
この日のために、職員の目を盗んで手に入れたものだ。〈協会〉に持ち帰ってはすぐにばれてしまうので、今まで秘密のポイントに隠しておいた。効果のほどはもう確かめてある。彼はビルの陰から出ると、誰もいない空間にそれを向けた。
あのとき、Jはよく知った仲間の声で呼ばれて、ついうかうかと外に出た。
それが運の尽きで、あっというまにあそこに連れ去られた。
だから、自分を呼ぶ前に消さなくては。
(来た!)
Jは目を細め、唇を歪めた。
今の今まで何もなかったところに、あの見覚えのある黒い制服姿の男が現れた。
こんな時代だからこそできる、あまりにも無造作な現れ方。
(今だ!)
狂気に似た歓喜をもって、Jは目的を果たそうとした。
だが。
「そんなにあいつが憎いのか?」
だしぬけにそう声をかけられて、Jはタイミングを逸した。
その間にあの男は廃墟の一角に声をかけ、中から現れた薄汚れた金髪男の痩せ細った腕を強引に引くと、そこからかき消えた。
わずか数十秒の出来事。目撃者はなし。
否。今は三人いる。
Jとエレナとあと一人――
「てめえっ!」
Jは自分の邪魔をしたその人物を、憎悪をこめて睨みつけた。
黒髪の、まだ子供のような顔をしたジャンパーは、エレナの口を後ろから両手でふさいだまま、飄然とたたずんでいた。
突然、エレナは頭を抱えて恐怖の叫びを上げた。
「誰か? ジャンパーか?」
Jは薄青の目を彼女に向けた。
「たぶん……あたしたちが跳んだ後を、正確に追跡してきてる……」
「馬鹿な……〈協会〉にそんなジャンパーが……あとどれくらいここにいられそうだ?」
「わからない……とにかく早く逃げなきゃ……今ここに来るわ!」
エレナの切羽詰まった様子に、ようやくJも真剣になって彼女の手首をつかんだ。
「じゃあ、早いとこ別のとこに……」
Jがそう言いかけたときだった。
「来た!」
「……エレナ……ちゃん?」
エレナの絶叫と少し遠慮がちな少年の声とが、同時にJの耳に入った。
Jはすぐさま跳んだ。ポイントはエレナに触れていればわかる。
目の端でJは見た。
自分の担当のリンネ・ロゼと同じ東洋系。
まだ幼い顔をしていた。――十二、三歳?
とにかく、Jには見覚えのない少年だった。
「ちぇっ、あともうちょっとだったのに!」
寸前で二人に逃げられた達也は、舌打ちして指を鳴らした。
「あれじゃ、あの女の子だけさらうなんて無理だよなー。とにかく、追っかけてりゃいいのかなー」
達也はぶつぶつ言いながら、今さっきまで二人がいた廃墟のビルの一室を見回した。
コンクリートの残骸が、そこかしこに転がっている。
ここは少なくとも二階以上であるらしい。壊れた壁から見える灰色の空の下には、瓦礫の山が一面に広がっていた。
一瞬にして時空を跳べる達也に、執着する時空はない。
すぐにこの場所に飽きた彼は、再びJとエレナを追った。
***
『まるで水を得た魚だな』
呆れたようにウムルが言った。
『ついさっきまで自分がジャンパーだと知らなかった奴が、いざ跳びはじめたら指示なしで追いかけてやがる……』
正面の壁面にあるモニタは、複数で一つの画面に再構成され、向かって左にJの着地点の年号と経緯度が、右に達也のそれが大きく表示されていた。
両者とも数秒ごとにその表示が変わっていたが、右は常に左の一つ前のそれを表示していた。
すでに職員は全員仕事の手を休め、あっけにとられてモニタを眺めていた。気分はスポーツ観戦に近い。
『妙だねえ』
そんな中、顎に手をやり、何事か考えこんでいたライアンが独り言のように呟いた。
『何がだ?』
それを聞きとがめて、ロゼは眉をひそめた。
『いや、これまでは何というか、何の目的もなくランダムに跳んでいるようだったんだがね。一度、達也に追いつかれてからは、時を下る一方になった』
『確かに、言われてみれば』
きわめて珍しいことに、ロゼはライアンの指摘に素直に同意した。
『だいたい、逃げるなら時を遡るほうが有利だろう? いくら体に発信機が埋めこまれているとはいえ、人ごみの中にでも紛れこまれたら捜し出すのは容易じゃないんだから。そこで考えられるのは、Jがある特定のポイントをめざしはじめたということだ。いや、もしかしたら最初からそのつもりだったのかもしれないが、とにかく彼らがめざしているのは二〇〇〇年以後だ。――何か心当たりは?』
ロゼは少し考える間を置いてから、感情のない声で答えた。
『Jが生まれたのが二×七八年だ』
『嫌な年代だね』
苦笑しつつ、ライアンは言った。
『で、あのJを収容したのは?』
『二×九九年。――貴様、何を考えている?』
ふと何かに思い当たったらしく、ロゼは表情を険しくさせた。
『おそらく君と同じだよ。収容は君がしたのかい?』
『いや、私の部下のミズリだ。……因果律の説明は一応したのだがな。どうやら理解できていなかったようだ』
『それはどうかな。ロゼ、正確には二×九九年のいつどこでかね?』
『……八月十日、十五時ジャスト。元ロサンゼルスの郊外だ』
「達也!」
〝教壇〟の端末を操作して、ライアンは日本語で叫んだ。
『なーにー。俺、今めちゃくちゃ忙しいんだけどー』
このうえもなく不機嫌そうな達也の声が、室内のスピーカーを通して返ってきた。
「それはよくわかっているよ。でも、今から言うところに跳んでくれないか?」
ロゼ以外は不可解そうな顔をしている人々を尻目に、ライアンはにっこり笑った。
***
Jには確固たる目的があった。
その目的を隠すために、今まで無意味にタイム・ジャンプを繰り返していた。
ジャンパーやシアーの体には、どこへ逃げてもすぐに居場所を把握できるように発信機が埋めこまれている。どこに埋めこまれているかは〈協会〉でなければわからない。
さらに、発信機には、埋めこまれている人間を麻痺させたり失神させたりする機能もあった。Jがやみくもにタイム・ジャンプをしてきたのは、その機能を使う間を〈協会〉に与えないためでもあった。
あの東洋系の少年ジャンパーに追いつかれなければ、彼はもう少しタイム・ジャンプをしてから目的を達成するつもりだった。
だが、もう一刻の猶予もならない。Jたちは少年ジャンパーを撒くために、短いジャンプを重ねてそこに向かった。
二人の周りの景色は万華鏡のように目まぐるしく変わりつづけていたが、Jにはそれらを見ている余裕などなかったし、エレナは最初からまったく別なところを見ていた。
目的地に着いたとき、Jはビルの陰でみっともなくへたりこんだ。
体力には自信があったが――そうでなければあの時代、こんな年齢まで生き残れなかった――間を置かないタイム・ジャンプの連続は、予想以上に彼を疲労させていた。
もともとタイム・ジャンプはそれほど楽なものではない。普通はもっとインターバルを置いて跳ぶし、帰った後はたっぷり休養をとる。
「奴は……?」
「大丈夫?」
Jの荒い息遣いに、エレナは逆に心配そうに訊ね返した。
「いいから、訊かれたことに答えろ!」
思わずJは声を荒立てた。エレナがびくっとして小さな肩を震わせる。
「……追ってきてないわ。途中で止まっちゃったの。とにかく、ここには来ていない」
「じゃあ、撒けたのか?」
我知らず、Jの顔に勝利の笑みが浮かんだ。
「……そうは思えない。何かよくないことが起こりそうな気がする……」
思慮深くエレナは呟いた。
タイム・シアーの能力は、千里眼や予知能力と重なっているところがある。彼女には微弱だが予知能力もあった。
「ここにいなけりゃいい。おまえの当てにならない勘なんか訊いてない」
しかし、Jはすげなく言った。慣れてはいたが、やはりエレナは傷ついてうつむいた。
この白人の青年は、総じてエレナに冷たい。ここにこうして来られたのも、エレナのおかげだというのに。
だが、エレナは決してJに逆らわない。いや、彼女の人生において、誰かに反抗したことなど、ただの一度もない。
エレナはいつでも己に課せられた運命を、唯々諾々として受け入れてきた。それが彼女の生き方であり、それ以外の生き方を知らなかった。
「あと二分……」
エレナのことなどまったく気にも留めず、Jは低く呟いた。
場所はいい。確かにここだ。
今から何年前のことかというのは考えるだけ不毛なことだ。ことに、今の自分は老化を止められている。これはエレナも同じだ。
赤い空。赤い大地。まるで火星のような赤い世界。
崩れかけたコンクリートの建築物がまばらにそびえたつ中、彼らはいつ断たれるかもしれない毎日を、息を潜めて必死に生き抜いていた。
いっそ死んだほうがましだと思いながら、それでも彼らは死ねなかった。やはり死は恐ろしく、奴らに降伏するのは屈辱だった。奴らは彼らを抹殺したがっている。命乞いなど奴らを悪戯に喜ばせるだけだ。
こんな胸糞の悪くなる時代に、Jは戻りたいわけではなかった。
今から目的を達したら、どこか平和な時代に跳んで、そこに隠れ住む。
できたら、二十世紀のアメリカがいい。豊かで平和で自由な頃のアメリカ。彼の欲しいものはすべてそろっている。
Jは立ち上がると、自分のジージャンの内ポケットに手を伸ばして、例のものを慎重に取り出した。
この日のために、職員の目を盗んで手に入れたものだ。〈協会〉に持ち帰ってはすぐにばれてしまうので、今まで秘密のポイントに隠しておいた。効果のほどはもう確かめてある。彼はビルの陰から出ると、誰もいない空間にそれを向けた。
あのとき、Jはよく知った仲間の声で呼ばれて、ついうかうかと外に出た。
それが運の尽きで、あっというまにあそこに連れ去られた。
だから、自分を呼ぶ前に消さなくては。
(来た!)
Jは目を細め、唇を歪めた。
今の今まで何もなかったところに、あの見覚えのある黒い制服姿の男が現れた。
こんな時代だからこそできる、あまりにも無造作な現れ方。
(今だ!)
狂気に似た歓喜をもって、Jは目的を果たそうとした。
だが。
「そんなにあいつが憎いのか?」
だしぬけにそう声をかけられて、Jはタイミングを逸した。
その間にあの男は廃墟の一角に声をかけ、中から現れた薄汚れた金髪男の痩せ細った腕を強引に引くと、そこからかき消えた。
わずか数十秒の出来事。目撃者はなし。
否。今は三人いる。
Jとエレナとあと一人――
「てめえっ!」
Jは自分の邪魔をしたその人物を、憎悪をこめて睨みつけた。
黒髪の、まだ子供のような顔をしたジャンパーは、エレナの口を後ろから両手でふさいだまま、飄然とたたずんでいた。
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