ニートシルキー ~僕とステラの不思議な生活~

にわとりぶらま

文字の大きさ
上 下
18 / 38

第018話 ステラの漁と宅急便

しおりを挟む
 るんちゃんの回収が終わり、リビングやキッチン以外の場所を掃除していると、玄関の扉がノックされ声が響く。

「すみませーん! 宅急便でーす!」

「はーい!」

 僕は掃除の手を止め玄関へと向かう。どうやら、昨日ネットで注文したものが届いたようだ。

 僕は玄関でサインを書いて受け取りを済ませ、届いた箱を持ちながらリビングへと向かう。

「八雲~ 何が届いたの?」

 テラスの方からステラの声がする。あれ?二階の掃除をしていたはずでは…

「えっ? ステラ、テラスで何をしてたの?」

 テラスに目を向けるとステラが2リッターのペットボトルを何本も抱えている。

「お小遣いの為に魚を取る罠を上げてたの、ほら!見てみて八雲ぉ~! お魚とれてるよっ!」

 そう言ってステラが海水が滴るペットボトルを持って家の中に入ろうとする。

「スタップ!!」

 手で制止するポーズを取り急に大声を上げる僕に、ステラが家に入る寸前で固まる。

「そんなの持って家に入ったら海水で家の中が濡れちゃうし汚れちゃうでしょっ!」

「でも、お魚とれたんだよ?」

 そう言ってステラがペットボトルを掲げて見せる。

 ステラの掲げたペットボトルの中には、確かに小さな豆アジが入っているのが見える。どうやらあのペットボトルはステラが自作した魚とりの罠のようだ。

「ちょっと待って!ステラ! 今、移し替える入れ物を持っていくから、それに移し替えてっ!」

 僕は一先ず箱をテーブルの上に置いてキッチンへと向かい、何か入れ物を探す。そこでボウルを見つけたのでそれを持ってステラのいるテラスへと向かう。

「じゃあ、ステラ、この中に魚を入れて」

「分かった!」

 ステラは罠をぱかっと開くと中に入っていた豆アジをボウルの中に入れていく。魚とりの罠は、ペットボトルの注ぎ口側を切り取って、反対向きにして差し込むだけの簡単な罠のようだ。

「しかし、そこそこ取れているね」

「うん、二日ほど上げてなかったから一杯入ってる、普段はこんなに取れない」

 ボウルに十数匹の豆アジが入っている。小さいけどこれだけの量があれば一食また二食分のおかずにはなると思うが、ステラはこれよりもっと少ない量でその日の糧としていたのか…

「じゃあ、これは今日の夕食のおかずにしようか、で、この魚を取った分のお小遣いの100円は今渡せばいいかい?」

「1000円溜まったらプリペイドカードで貰える?」

「プリペイドカード?」

 ステラはあまり常識を知らないがこういう所だけは知っているんだな…

「うん! ゲームの課金に使う」

「あぁ、なるほど」

 そういえば、ステラはこの家から離れられないから、自分で買い物に行くことなんて出来なかったな… しかし、プリペイドカードで課金か…最初に頼まれた祖父はどこで買うものか分からずに困惑したんだろうな…

「とりあえず、魚は冷蔵庫にしまっておくね」

「うん、分かった! それより何が届いたの?」

 お小遣いもあるが、ステラの興味の矛先は荷物に向いている様だ。

「ちょっと待ってね、ステラに関係あるものだから」

 僕は冷蔵庫に魚を入れて、リビングに戻る。

「なになに! 私に関係ある物って!」

 ステラが期待に目を輝かせながら箱を見る。僕はそのステラの見ている前で、テープを剥がして箱を開ける。

「ほら、ステラの服だよ!」

 僕はステラを驚かせるつもりで箱の中から服を取り出してステラの掲げる。

「えっ? 私の?」

 ステラが服を目の前に目を丸くする。

「あっ!」

 その時、僕は威勢よく服を掲げたものの自分の失敗に気が付く。

 ネットの写真を見て、ステラに合いそうな物を選んで買ったのだが、サイズを確認していなかったので、サイズが小さすぎたのだ。恐らく、小学生1・2年の物であろうか…これではいくらステラが小柄で華奢だといっても着る事ができない。

「ごめん…サイズを間違ったみたいだ…」

 箱の中の他の服も確認してみるが、どれも小さすぎるようだ… 今度からちゃんとサイズを見て買わないとダメだな…

「でも、このパンツは大丈夫そうだね」

 パンツはパンツで検索すると女性の高級そうなランジェリーが出てきたので、ステラの見た目年齢である『12歳』を加えて検索して購入したので大丈夫そうだ。

「これ? 私のパンツ? なんか布が少ないね…」

「まぁ…ドロワーズと比べるとそうなるね… でも、今はこれが普通の女の子用の下着だよ」

 ステラがなんだか特殊な下着だと言ってるように聞こえたので、誤解無きよう正確に説明する。確かにドロワーズと比べたら皆そうなる。

「じゃあ、履き替えればいいの?」

 そう言ってステラは仮に履いている祖父のトランクスに手を掛けようとする。

「スァァァタップ!!」

「えっ!? 八雲!? 今度は何!?」

 ステラは僕の大声に驚いて手を止める。

「ステラ…今ここで…履き替えるんじゃなくて…お風呂に入った後で履き替えようね…」

 僕はステラにちゃんと言葉が伝わるように、一音一音丁寧に説明する。

「ん、分かった。お風呂の後で履き替える」

 そう言って、トランクスから手を放すステラの姿に僕はほっと安堵のため息を漏らす。ここらあたりもおいおいに教えていかないとダメだな…

「八雲、まだ他にも箱の中に入っている様だけど、それはなに?」

 ステラは再び箱の中を覗き込む。

「あぁ、これかい? これはステラにちょっと試して欲しい物が入っているんだ」

 そう言って残りの物を箱の中から取り出す。

「えっ!? 何それ… 怖い… もしかして髪の毛…?」

「ははは、これはウィッグ、カツラというものだよ」

 そういって取り出した金髪長髪をカツラをステラに僕自身で被って見せる。 

「八雲も私の様に金色の髪になりたかったの?」

「いやいや、どう使うが見せる為に僕が被って見せただけで、実際にこれを被るのはステラだよ」

 僕が女装したがっている様に聞こえたので、僕はカツラを取ってステラに手渡す。

「私に?」

 ステラは渡されたカツラを首を傾げてキョトンとした目で見る。僕はその間にもう一つのものを箱から取り出す。

「それとこれを使って、ステラのある実験に協力してもらいたいんだよ」

「それは?」

「これは化粧品のファンデーションだね。掃除を終わらせて夕食の後、実験を始めようと思うからその時は頼むよ」

「うん、分かった…」

 ステラは怪訝な顔をしながら答えた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

AV研は今日もハレンチ

楠富 つかさ
キャラ文芸
あなたが好きなAVはAudioVisual? それともAdultVideo? AV研はオーディオヴィジュアル研究会の略称で、音楽や動画などメディア媒体の歴史を研究する集まり……というのは建前で、実はとんでもないものを研究していて―― 薄暗い過去をちょっとショッキングなピンクで塗りつぶしていくネジの足りない群像劇、ここに開演!!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...