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第007話 夢なら覚めて
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あの後、僕は女の子を何も言わず無言でリビングのソファーの上に置いて、二階の祖父の部屋へと向かい、何も考えず眠りに着いた。
これが夢であるなら、寝て目を覚ませば何もなかった事になるはずだし、もし…仮に…あの警察官のいう通りに、心霊現象などであれば、日が昇り、夜が明けて辺りが明るくなれば、その様な存在は消えてなくなるはずである。
まぁ、僕は科学主義のオカルト否定派なので、アメリカからの強行軍の帰省で疲れて夢をみているだけだと思うが…
そして、僕は目が覚める。
微睡む事や、二度寝したいという気持ちは起こらず、昨日のことが無ければ、清々しい部類の目覚めになる。窓から差し込む朝日を見る限り、朝日が昇って一番見ごたえのある時間帯である。
僕は枕元に置いていたスマホを手に取り、時間を確認する。時刻は6時15分ちょっと早めの起床時間だ。僕は更にスマホを弄り、通話履歴を確認する。
うん、家族に連絡した後、110番に連絡した履歴が残っている…
スマホという科学文明の利器が、昨日僕が警察に連絡している事を記録している。つまり、昨日僕が体験した事は夢ではなかったという証明だ。
後は…一階に降りて、女の子を降ろしたソファーの所に誰もいなければ、昨日の事は信じられない事だが、心霊現象ということになる。
そうなったら、さっさと祖父の遺品を車に詰め込んで、父にはこの家に幽霊…いや怪奇現象が起きると報告して後は関わらなくて良い、そう考えながら、祖父の部屋をでて一階に続く階段を降りていく。
「!!!!」
しかし、階段の途中で一階のリビング部分を見てみると、僕の予想とは反して女の子がいた。正確には、ソファーで寝ていたのである。しかも、昨日僕が女の子を見つける途中で、物置きで発見した毛布と体にかけ、ソファーの近くのテーブルには、同じく昨日見つけた携帯ゲーム機が置かれてある。やはり、女の子の物だったようだ…
僕は一階に降りたって、ソファーで寝ている女の子の所へ近づく。もう見つかったから隠れる必要が無いと思ってのか、女の子は僕が近づいても反応することなく堂々と眠って寝返りを打っており、お前に涎まで垂らしている。
僕はその口元に手を運んで見ると、手に女の子の息が当たり呼吸をしていることが確認できる。次に広げて似ている手を取って見ると、ちゃんと触れるし、体温もある。
そこまで確認すると、昨日のよるの警察官は女の子が色白すぎて見間違えたのではないと考えた。しかし、一応確認の為に、スマホを取り出しカメラ越しの女の子を確認してみると、驚きの光景が目に飛び込んでくる。
女の子が写ってない!! ワイシャツだけだ!!
スマホの画面と自分の目で交互に確認するが、やはり、昨日の警察官が言っていた通り、スマホ越しにはワイシャツしか映っていない。女の子は実在の人間の様に見えるが、実際には怪奇現象なのだ。
そこで、僕はこれからどうするのか考え込む。やはり、ここは定番の霊能力者にお払いにきてもらうのか? だが、ここまで実在化して会話もできる状態であるのならば、僕は今までオカルト否定派であったけれど、話をして見てその理解を深めるのも悪くはないと考える。
きゅうぅぅ
そんな事を考えていると、お腹の虫が鳴き始める。そう言えば、昨日、飲み物も飲めなかったから、喉の渇きも感じている。
僕は視線を昨日買ってきたテーブルの上のコンビニ袋に向けるが、昨日の夜に女の子に食い荒らされて、パン一つ飲み物一滴も残ってない。僕はその事に、はぁと溜息をつく。
もう既にない物を悔やんでも仕方が無い… コンビニ買出しに行くか…
そう思うと、一度部屋に戻ってから服装を整えて再び一階に降りて来る。うん、やはり女の子はソファーの上で寝ていて実在している様だ。
女の子が寝ている姿を眺めながら玄関に向かい靴を履き替えて、自動車へと向かう。ナビに近くのコンビニを検索して車を走らせる。やはり、ここらあたりは田舎の様で、コンビニに行くにも徒歩で行ける距離ではなく車を使わないとダメな距離だ。
五分程車を走らせると目的のコンビニ到着して店の中に入る。店の店員も都会の学生バイトではなく、オーナー家族の老人がしているようだ。
とりあえず、喉の渇きを覚えていたので、先ずは飲み物のコーナーに向かう。アメリカの飲み物は甘ったるい飲み物が多かったので、僕はさっぱりとしたお茶が好きだ。そこで様々にブランドがあるお茶のコーナーに手を伸ばす。
ん? よく考えたら、あの女の子の分はどうしよう?
自分の分だけ考えていたが、よく考えたらあの女の子の分の事は考えていなかった。これが、ただの人間の悪さをした悪ガキであれば、そんな奴の分を買って帰る義理は無いが、あの女の子は怪奇現象である。
いや、そもそも怪奇現象である存在が飲み食いをするのか?
そう考えてみたものの、思い返せば、リビングでバーベキューをして魚やザリガニを焼いて食べたのか、あの女の子だとしたら、飲み食いはするだろうし、実際、僕のコンビニのパンやペットボトルを飲まれた事実がある。
その後、色々と考えた結果、警察でも犯人にかつ丼を食べさせて自供を促す事をしているので、僕のその方法にあやかって見ようと結論した。
そして、僕はコンビニでお弁当二つと飲み物を2本買って帰る。
家に辿り着いた僕は、車を降りて、コンビニ袋を手に下げながら玄関へと向かう。まだ、ワンチャン、女の子の姿が消えている事を願いながら、玄関の扉を開ける。そして、靴を脱いで奥へ進んでいくと、僕の淡い希望は打ち砕かれる。
女の子は僕が買い物に出かけたままの姿でソファーの上に眠っていたのだ。
僕はその姿を見て、諦めたように溜息をつく。そして、女の子が眠る向かいのソファーに腰を降ろして、コンビニ袋をテーブルの上に置いた。
ここまで物音を立てても女の子は目覚めようとはしない。スマホを取り出して時間を確認すると7時を回っている。
このまま女の子が起きるまで待つ事は出来ないので、僕は女の子を起こす事に決めたのであった。
これが夢であるなら、寝て目を覚ませば何もなかった事になるはずだし、もし…仮に…あの警察官のいう通りに、心霊現象などであれば、日が昇り、夜が明けて辺りが明るくなれば、その様な存在は消えてなくなるはずである。
まぁ、僕は科学主義のオカルト否定派なので、アメリカからの強行軍の帰省で疲れて夢をみているだけだと思うが…
そして、僕は目が覚める。
微睡む事や、二度寝したいという気持ちは起こらず、昨日のことが無ければ、清々しい部類の目覚めになる。窓から差し込む朝日を見る限り、朝日が昇って一番見ごたえのある時間帯である。
僕は枕元に置いていたスマホを手に取り、時間を確認する。時刻は6時15分ちょっと早めの起床時間だ。僕は更にスマホを弄り、通話履歴を確認する。
うん、家族に連絡した後、110番に連絡した履歴が残っている…
スマホという科学文明の利器が、昨日僕が警察に連絡している事を記録している。つまり、昨日僕が体験した事は夢ではなかったという証明だ。
後は…一階に降りて、女の子を降ろしたソファーの所に誰もいなければ、昨日の事は信じられない事だが、心霊現象ということになる。
そうなったら、さっさと祖父の遺品を車に詰め込んで、父にはこの家に幽霊…いや怪奇現象が起きると報告して後は関わらなくて良い、そう考えながら、祖父の部屋をでて一階に続く階段を降りていく。
「!!!!」
しかし、階段の途中で一階のリビング部分を見てみると、僕の予想とは反して女の子がいた。正確には、ソファーで寝ていたのである。しかも、昨日僕が女の子を見つける途中で、物置きで発見した毛布と体にかけ、ソファーの近くのテーブルには、同じく昨日見つけた携帯ゲーム機が置かれてある。やはり、女の子の物だったようだ…
僕は一階に降りたって、ソファーで寝ている女の子の所へ近づく。もう見つかったから隠れる必要が無いと思ってのか、女の子は僕が近づいても反応することなく堂々と眠って寝返りを打っており、お前に涎まで垂らしている。
僕はその口元に手を運んで見ると、手に女の子の息が当たり呼吸をしていることが確認できる。次に広げて似ている手を取って見ると、ちゃんと触れるし、体温もある。
そこまで確認すると、昨日のよるの警察官は女の子が色白すぎて見間違えたのではないと考えた。しかし、一応確認の為に、スマホを取り出しカメラ越しの女の子を確認してみると、驚きの光景が目に飛び込んでくる。
女の子が写ってない!! ワイシャツだけだ!!
スマホの画面と自分の目で交互に確認するが、やはり、昨日の警察官が言っていた通り、スマホ越しにはワイシャツしか映っていない。女の子は実在の人間の様に見えるが、実際には怪奇現象なのだ。
そこで、僕はこれからどうするのか考え込む。やはり、ここは定番の霊能力者にお払いにきてもらうのか? だが、ここまで実在化して会話もできる状態であるのならば、僕は今までオカルト否定派であったけれど、話をして見てその理解を深めるのも悪くはないと考える。
きゅうぅぅ
そんな事を考えていると、お腹の虫が鳴き始める。そう言えば、昨日、飲み物も飲めなかったから、喉の渇きも感じている。
僕は視線を昨日買ってきたテーブルの上のコンビニ袋に向けるが、昨日の夜に女の子に食い荒らされて、パン一つ飲み物一滴も残ってない。僕はその事に、はぁと溜息をつく。
もう既にない物を悔やんでも仕方が無い… コンビニ買出しに行くか…
そう思うと、一度部屋に戻ってから服装を整えて再び一階に降りて来る。うん、やはり女の子はソファーの上で寝ていて実在している様だ。
女の子が寝ている姿を眺めながら玄関に向かい靴を履き替えて、自動車へと向かう。ナビに近くのコンビニを検索して車を走らせる。やはり、ここらあたりは田舎の様で、コンビニに行くにも徒歩で行ける距離ではなく車を使わないとダメな距離だ。
五分程車を走らせると目的のコンビニ到着して店の中に入る。店の店員も都会の学生バイトではなく、オーナー家族の老人がしているようだ。
とりあえず、喉の渇きを覚えていたので、先ずは飲み物のコーナーに向かう。アメリカの飲み物は甘ったるい飲み物が多かったので、僕はさっぱりとしたお茶が好きだ。そこで様々にブランドがあるお茶のコーナーに手を伸ばす。
ん? よく考えたら、あの女の子の分はどうしよう?
自分の分だけ考えていたが、よく考えたらあの女の子の分の事は考えていなかった。これが、ただの人間の悪さをした悪ガキであれば、そんな奴の分を買って帰る義理は無いが、あの女の子は怪奇現象である。
いや、そもそも怪奇現象である存在が飲み食いをするのか?
そう考えてみたものの、思い返せば、リビングでバーベキューをして魚やザリガニを焼いて食べたのか、あの女の子だとしたら、飲み食いはするだろうし、実際、僕のコンビニのパンやペットボトルを飲まれた事実がある。
その後、色々と考えた結果、警察でも犯人にかつ丼を食べさせて自供を促す事をしているので、僕のその方法にあやかって見ようと結論した。
そして、僕はコンビニでお弁当二つと飲み物を2本買って帰る。
家に辿り着いた僕は、車を降りて、コンビニ袋を手に下げながら玄関へと向かう。まだ、ワンチャン、女の子の姿が消えている事を願いながら、玄関の扉を開ける。そして、靴を脱いで奥へ進んでいくと、僕の淡い希望は打ち砕かれる。
女の子は僕が買い物に出かけたままの姿でソファーの上に眠っていたのだ。
僕はその姿を見て、諦めたように溜息をつく。そして、女の子が眠る向かいのソファーに腰を降ろして、コンビニ袋をテーブルの上に置いた。
ここまで物音を立てても女の子は目覚めようとはしない。スマホを取り出して時間を確認すると7時を回っている。
このまま女の子が起きるまで待つ事は出来ないので、僕は女の子を起こす事に決めたのであった。
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