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107.手の甲
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「すまない…怖がらせる気はなかった」
「ち…違うの!白羽くんの…手、大きくて…こんなに触れるの…初めてで…、慣れて…なくて…。改めて…白羽くんを近くで見て…かっこよくて…自分の心臓が…おかしく…なっちゃいそうで…」
「そう…か」
白羽も照れ始めた。
しかし、だからといって握りしめた手を離す様子はない。
「なら…お互いに慣れていくしかないな。せっかくこうやって呪いが解けたんだ…。今まで出来なかった分…少しずつでも…」
「白羽…くん…」
「ちなみに…俺も、慣れてない…」
「2人で…自然に出来るように…なれたらいいね」
「あぁ…」
と、白羽が握っていた手の方に身体を倒した。
静羽の手と白羽の顔がとても近く、足の上にはまるで枕のように置かれた頭の重さをズシッと感じる。
「なんか…静羽が起きて安心した。そのせいか…眠気がきてる…。悪いが少し、仮眠を取らせてもらえるか」
「うん…いいよ、大丈夫」
「満足したら、横の簡易ベッドで寝るから…それまで…このまま…」
白羽が自分の手を握りながら寝ている姿を見て、静羽はとても心の中が安らかになった。
そしてそんな白羽を見ているうちに、静羽もいつの間にかもう一度眠りについていた。
次の朝に目覚め朝食を済ませた後、美津子と朴木がお見舞いに来てくれた。
その頃には喋る事も自然にできるようになり、食事をしたことで力が沸いてきたような気がする。
やはりきちんとした食事は偉大である。
後日徹や空、楓真や楓、Sクラスのメンバーもお見舞いに来てくれた。
清忠曰く、入学からSクラスに入るまでの期間が最も早かった人に静羽がなったらしい。
最高記録で1年はかかっていたそうなので、今回大幅に記録を更新した。
条件が条件だった事もあって、Sクラスのミルカが負けるなどという事は学園内でも想定されていなかったようだ。
しかも今回の結果は、Sクラスだったミルカのほうがルールを破ったのだから。
まさかの結果に学園内で静羽の事を知らない人はいなくなった。
そこから3日間は検査をしたり衰えた筋力を戻したりして、家に帰る頃にはスムーズに歩けるようになる。
退院した日がちょうど金曜日だった事もあり、土日は家に帰ってゆっくりすることに。
静羽が入院している間、リンは白羽の部屋で過ごしていたらしい。
帰ってきた静羽を見るなり、心配しながらも再会を喜んでいた。
メイド業はまだ体力が戻りきっていないため、出来る仕事をこなし、他の時間は白羽と過ごす。
特に触れられるようになったからといって、進展がある訳ではなく、いつも通り一緒に座ったり、話したりするだけ。
それでも触れてはいけないと、気を使う事が無くなったのは大きい事だった。
「静羽…」
「ん…なぁに?」
「……今度のクリスマスイブとクリスマスの日…、予定を空けておいてほしい」
「は…はい。特に予定はないです…」
「そうか、2人で出かけようと思う。もしその前に必要なものがあるなら買いに行こう」
「それは…よければ皆で行きたいな。きっとクリスマス前って必要なもの買い揃えたりすると思うの。皆の予定空いてるといいな」
「聞いてみるといい」
「うん」
デートに誘われたことにウキウキしながら、静羽はスマホを取り出すと皆に連絡し始めた。
直ぐに既読がつく。
だいたい最初に見てくれるのは空だ。
「わー!いいよいいよ!いきたーい!皆の予定に合わせるよー!」
と、空から返信がきた。
だが残念な事に徹は商店街の手伝いがあるそうで来られないらしい。
亮は友達と出かける用事があるようで来られず、愛莉も一緒のようだ。
結局連絡をとって来られるのは、空と楓、楓真と清忠になった。
次の土曜日午前10時に、ショッピングモールに現地集合すると連絡。
皆も同意してくれた。
「そういえば、遺跡の皆はどうしてるの?」
白羽によると、学園祭の日を一緒に貴紀達と楽しんだようで、いつもは冷静そうに見える冬月ですら、テンションが上がっていたのだとか。
是非今後仲間も連れて行きたいと、興奮しながら話しつつ、できれば今風になれる衣装が欲しいとの事だった。
静羽が寝ていた間にアイテムを量産し、そろそろ出来上がってくるようなので、7つを誰かが分担して持つという事になりそうだ。
とはいえ、遺跡にわざわざ持って帰るとしても面倒な事が多いので、普段はどこか1つにまとめておくのが無難だろう。
「まぁ…立候補がいればそれでいいが、もし出来なくてもうちなら広いし部屋もあるから、まとめて来てもらっても大丈夫だろう。それに、朴木とばあちゃん手伝ってくれる人がいた方が、賑やかで楽しく毎日が過ごせそうだからな」
「皆の意見も聞きたいね。それぞれ離れて暮らすのがいいのか、皆一緒にいた方がいいのか…」
「そうだな」
とりあえずこれからの予定は決まった。
そして夜も更け寝る時間になると、白羽は自分の部屋に帰っていく。
「じゃ、また明日」
「うん…おやすみ」
「おやすみ」
玄関で白羽におやすみを言い、静羽は帰っていく白羽を見送る。
これからデートの予定があるのであれば、別に急ぐ必要もないし、隣にいる時間も凄く大事だ。
手を握るくらいのことはしてくれたが、それ以上ぐいぐい来ないのは、静羽が病み上がりだからという事もあるかもしれないが、きっと白羽自身が今まで女性に触れる事が出来なかった事の、後遺症みたいなものなのだろう。
『いつかは…ぎゅーって、してくれたり…するのかな…』
前に1度、自分の名前の由来が判明した時に、私は何者なのだと苦しんだ静羽を白羽が抱きしめてくれた事もあるが、あの時は頭の中が混乱していた事もあってよく覚えていないのだ。
いい雰囲気になった時の抱きしめられるという感覚は、どういう感じなのだろう…。
抱きしめて欲しいなんて、自分から言えはしない。
静羽自身、あまり他人から触れられたりするのは苦手なのだ。
それは母親からの虐待であったり、学校でのいじめがあったりした過去で、他人に触れられる事が恐怖の対象となってしまったためである。
本来なら母親からの愛情は子に向けられ、抱きしめられたり、自分が大切に思われている事も学び、分かるはずなのだが、静羽にはそれがない。
家族とも友人とも違う、大好きな人に抱きしめてもらえたらきっと、幸せなのではないか…という憧れ。
街を歩いたり買い物をしている時に、仲良しのカップルを見かける度、自分と白羽で妄想した事がもしかしたら現実になるかもしれない。
「静羽?」
「え?あ…何?」
おやすみを言った直後に俯いてしまった静羽を気にして、白羽が名前を呼んだ。
「手…出して」
言われるがまま手を差し出すと、白羽はその手を取り握る。
何をするのだろう、ただ握るだけ?と思って見ていた静羽は予想外の出来事に言葉を失った。
今自分の目に飛び込んできているのは、自分の手を持ち上げ手の甲にキスしている白羽の姿だ。
一瞬だけ、柔らかい唇の感触が手を通し伝わる。
びっくりして言葉が出ずそのまま立ち尽くしている静羽に、白羽はもう一度改めておやすみを言うと、そそくさと外に出て言ってしまった。
白羽が出ていった後のドアを瞬きもせず見つめる静羽は、そのまま力が抜けその場にへたりこむ。
「わ………わあぁ……」
不意打ちは心臓に悪い。
しばらくボーッとその場で動けなくなった。
もう何にも邪魔されずに触れ合えるとしても、がっついて来ないのが白羽らしい。
少しずつ近くなっていくお互いの距離、今日もまたそれを感じた。
そして起き上がりながらフラフラと移動する静羽には、理解した事がある。
『手を洗いたくないっていう人の気持ち…ちょっとわかったかも…』
「ち…違うの!白羽くんの…手、大きくて…こんなに触れるの…初めてで…、慣れて…なくて…。改めて…白羽くんを近くで見て…かっこよくて…自分の心臓が…おかしく…なっちゃいそうで…」
「そう…か」
白羽も照れ始めた。
しかし、だからといって握りしめた手を離す様子はない。
「なら…お互いに慣れていくしかないな。せっかくこうやって呪いが解けたんだ…。今まで出来なかった分…少しずつでも…」
「白羽…くん…」
「ちなみに…俺も、慣れてない…」
「2人で…自然に出来るように…なれたらいいね」
「あぁ…」
と、白羽が握っていた手の方に身体を倒した。
静羽の手と白羽の顔がとても近く、足の上にはまるで枕のように置かれた頭の重さをズシッと感じる。
「なんか…静羽が起きて安心した。そのせいか…眠気がきてる…。悪いが少し、仮眠を取らせてもらえるか」
「うん…いいよ、大丈夫」
「満足したら、横の簡易ベッドで寝るから…それまで…このまま…」
白羽が自分の手を握りながら寝ている姿を見て、静羽はとても心の中が安らかになった。
そしてそんな白羽を見ているうちに、静羽もいつの間にかもう一度眠りについていた。
次の朝に目覚め朝食を済ませた後、美津子と朴木がお見舞いに来てくれた。
その頃には喋る事も自然にできるようになり、食事をしたことで力が沸いてきたような気がする。
やはりきちんとした食事は偉大である。
後日徹や空、楓真や楓、Sクラスのメンバーもお見舞いに来てくれた。
清忠曰く、入学からSクラスに入るまでの期間が最も早かった人に静羽がなったらしい。
最高記録で1年はかかっていたそうなので、今回大幅に記録を更新した。
条件が条件だった事もあって、Sクラスのミルカが負けるなどという事は学園内でも想定されていなかったようだ。
しかも今回の結果は、Sクラスだったミルカのほうがルールを破ったのだから。
まさかの結果に学園内で静羽の事を知らない人はいなくなった。
そこから3日間は検査をしたり衰えた筋力を戻したりして、家に帰る頃にはスムーズに歩けるようになる。
退院した日がちょうど金曜日だった事もあり、土日は家に帰ってゆっくりすることに。
静羽が入院している間、リンは白羽の部屋で過ごしていたらしい。
帰ってきた静羽を見るなり、心配しながらも再会を喜んでいた。
メイド業はまだ体力が戻りきっていないため、出来る仕事をこなし、他の時間は白羽と過ごす。
特に触れられるようになったからといって、進展がある訳ではなく、いつも通り一緒に座ったり、話したりするだけ。
それでも触れてはいけないと、気を使う事が無くなったのは大きい事だった。
「静羽…」
「ん…なぁに?」
「……今度のクリスマスイブとクリスマスの日…、予定を空けておいてほしい」
「は…はい。特に予定はないです…」
「そうか、2人で出かけようと思う。もしその前に必要なものがあるなら買いに行こう」
「それは…よければ皆で行きたいな。きっとクリスマス前って必要なもの買い揃えたりすると思うの。皆の予定空いてるといいな」
「聞いてみるといい」
「うん」
デートに誘われたことにウキウキしながら、静羽はスマホを取り出すと皆に連絡し始めた。
直ぐに既読がつく。
だいたい最初に見てくれるのは空だ。
「わー!いいよいいよ!いきたーい!皆の予定に合わせるよー!」
と、空から返信がきた。
だが残念な事に徹は商店街の手伝いがあるそうで来られないらしい。
亮は友達と出かける用事があるようで来られず、愛莉も一緒のようだ。
結局連絡をとって来られるのは、空と楓、楓真と清忠になった。
次の土曜日午前10時に、ショッピングモールに現地集合すると連絡。
皆も同意してくれた。
「そういえば、遺跡の皆はどうしてるの?」
白羽によると、学園祭の日を一緒に貴紀達と楽しんだようで、いつもは冷静そうに見える冬月ですら、テンションが上がっていたのだとか。
是非今後仲間も連れて行きたいと、興奮しながら話しつつ、できれば今風になれる衣装が欲しいとの事だった。
静羽が寝ていた間にアイテムを量産し、そろそろ出来上がってくるようなので、7つを誰かが分担して持つという事になりそうだ。
とはいえ、遺跡にわざわざ持って帰るとしても面倒な事が多いので、普段はどこか1つにまとめておくのが無難だろう。
「まぁ…立候補がいればそれでいいが、もし出来なくてもうちなら広いし部屋もあるから、まとめて来てもらっても大丈夫だろう。それに、朴木とばあちゃん手伝ってくれる人がいた方が、賑やかで楽しく毎日が過ごせそうだからな」
「皆の意見も聞きたいね。それぞれ離れて暮らすのがいいのか、皆一緒にいた方がいいのか…」
「そうだな」
とりあえずこれからの予定は決まった。
そして夜も更け寝る時間になると、白羽は自分の部屋に帰っていく。
「じゃ、また明日」
「うん…おやすみ」
「おやすみ」
玄関で白羽におやすみを言い、静羽は帰っていく白羽を見送る。
これからデートの予定があるのであれば、別に急ぐ必要もないし、隣にいる時間も凄く大事だ。
手を握るくらいのことはしてくれたが、それ以上ぐいぐい来ないのは、静羽が病み上がりだからという事もあるかもしれないが、きっと白羽自身が今まで女性に触れる事が出来なかった事の、後遺症みたいなものなのだろう。
『いつかは…ぎゅーって、してくれたり…するのかな…』
前に1度、自分の名前の由来が判明した時に、私は何者なのだと苦しんだ静羽を白羽が抱きしめてくれた事もあるが、あの時は頭の中が混乱していた事もあってよく覚えていないのだ。
いい雰囲気になった時の抱きしめられるという感覚は、どういう感じなのだろう…。
抱きしめて欲しいなんて、自分から言えはしない。
静羽自身、あまり他人から触れられたりするのは苦手なのだ。
それは母親からの虐待であったり、学校でのいじめがあったりした過去で、他人に触れられる事が恐怖の対象となってしまったためである。
本来なら母親からの愛情は子に向けられ、抱きしめられたり、自分が大切に思われている事も学び、分かるはずなのだが、静羽にはそれがない。
家族とも友人とも違う、大好きな人に抱きしめてもらえたらきっと、幸せなのではないか…という憧れ。
街を歩いたり買い物をしている時に、仲良しのカップルを見かける度、自分と白羽で妄想した事がもしかしたら現実になるかもしれない。
「静羽?」
「え?あ…何?」
おやすみを言った直後に俯いてしまった静羽を気にして、白羽が名前を呼んだ。
「手…出して」
言われるがまま手を差し出すと、白羽はその手を取り握る。
何をするのだろう、ただ握るだけ?と思って見ていた静羽は予想外の出来事に言葉を失った。
今自分の目に飛び込んできているのは、自分の手を持ち上げ手の甲にキスしている白羽の姿だ。
一瞬だけ、柔らかい唇の感触が手を通し伝わる。
びっくりして言葉が出ずそのまま立ち尽くしている静羽に、白羽はもう一度改めておやすみを言うと、そそくさと外に出て言ってしまった。
白羽が出ていった後のドアを瞬きもせず見つめる静羽は、そのまま力が抜けその場にへたりこむ。
「わ………わあぁ……」
不意打ちは心臓に悪い。
しばらくボーッとその場で動けなくなった。
もう何にも邪魔されずに触れ合えるとしても、がっついて来ないのが白羽らしい。
少しずつ近くなっていくお互いの距離、今日もまたそれを感じた。
そして起き上がりながらフラフラと移動する静羽には、理解した事がある。
『手を洗いたくないっていう人の気持ち…ちょっとわかったかも…』
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