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90.久しぶり
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初めて静羽がマイストーンで変身した時の事だった。
研究所が魔物の襲撃に会い、研究所の中は黒い魔物で溢れかえった。
その襲撃をしかけてきたのがアリエスである。
もともと静羽は戦闘経験があり、魔物の数が多い事以外はそこまで心配せずに挑んだが、アリエスの攻撃によりその場にいた全員が眠ってしまい、徹のおかげで事なきを得る。
戦闘の末、戦いながら何を目的として研究所を襲ったのかわかった。
静羽はユニバースキーを使って、恋人であるリリスの居場所である扉にリンクし、アリエスと合わせる事に成功する。
そのおかげでアリエスは目標を達成できたため、魔物の軍での地位を捨て、リリスと共に生きていくことを選んだ。
人間界で生活するという事は、理解を得られるまでに時間がかかり、監視の目もある。
それでも、アリエスはリリスと暮らす事を選んだ。
苦しい事や辛い事もあるかもしれない。
それでも二人別々のところで離れて暮らすより、二人で困難に立ち向かった方が幸せなのだと。
幸い自分が引き連れている悪夢の化身達は、アリエスの言う事には忠実だ。
研究所の手伝いとして荷物を保護しながら運搬することが得意で、研究所の中でもしばしば姿を見かける。
最初は警戒していた研究員達も、今では打ち解けたようで、アリエスの存在も受け入れられていった。
白羽も静羽も会うのは久しぶりの事だった。
研究所の敷地内に新しく区画が設けられ、そこに生垣と小さな家が建設された。
そこが今アリエス達が住んでいる場所で、二人で暮らすにはちょうどいい大きさの2LDKの家だった。
リリスが2階で洗濯物を干していると、恩人2人が自分の家のほうへ歩いてくる姿が見える。
その姿にびっくりして、アリエスのところへ走っていきそれを伝えた。
生垣の入り口に立ったところで、玄関の扉が勢いよく開き、駆け寄ってきた二人が白羽達と合流する。
「久しぶりだね!まさか家にきてくれるとは思ってなかったよ」
「お久しぶりです、ご活躍は研究員の方々から聞いております!お会いできて嬉しいです!」
2人の歓迎に白羽も姫歌もお互いに喜びを返した。
そして家に迎え入れてもらい、飲み物を差し出されながらテーブルにつき、今まであったことを共有し始める。
「まずは二人に伝えたいことがあるの。私名前が変わって”静羽”になったから、今度はそれで呼んでもらえると嬉しいな」
「名前が?どういう経緯でそうなったの?」
静羽はその名前の名付け親が白羽である事、そして姫歌という名前がどうして自分につけられたのかを話した。
内容を聞き、アリエスとリリスは複雑そうな顔をしている。
それもそうだ、もう1人の存在が静羽の中にいるのだから。
それに、自分の名前が自分ではない目的でつけられた名前なら、静羽が自分とは何者なのかと疑問に思ったのも頷けた。
でも新しい名前になってから、静羽はとても嬉しそうで生き生きしている。
その姿を見てアリエス達はホッとしたようだ。
そして知らなかっただろう白羽が女性に触れられないという呪いの事も話し、今それを解こうと努力している事についても伝える。
呪いをかけた人物も今ははっきりしており、呪いの解除には静羽の協力が必要不可欠で、修行中だという事も。
「僕たちも魔物で乗り越えなくてはならない事は多いけれど、君たち二人はそれ以上に話が壮大で壁もいろいろあるんだね」
「自分の耳で聞いていることが本当か疑ってしまうくらいすごいお話を聞きました」
「白羽がもともと白い鴉だったって事も驚いたし、他の星から来た者の生まれ変わりだなんて、普通の人じゃなかなか受け入れられないくらいだよ」
「でもその転生を経て、二人がこうやって一緒にいるなんてすごく愛が伝わってきて、私たちも励まされます」
静羽はついこの間、二人で船の中に南京錠に名前を書いてはめ込んできたことをアリエス達に話した。
今は正式に付き合っているような状態ではないが、白羽も約束迎えにきてくれると約束してくれたと。
「まぁ素敵!お二人の結婚式には是非私達も呼んでくださいね!」
「リリスまだ気が早いって…。でも、君たち二人ならそうなると思うから、その時は呼んでよね」
そして話はアリエス達に移っていく。
研究所で働き始めしばらく経ったが、まだ警戒している研究員はもちろんいるという。
魔物=悪であるという人間の認識により、理解しても関わるとなるとなかなか難しい。
それならと、技術を提供することや自分の頑張りによって、信頼を得ていくしかないと、アリエスも積極的に行動している。
研究所で良くしてくれる人もいて、眼鏡をかけた茶髪のまだ若い研究員で、沢村という男性が最もよく関わる人物だという。
「白羽はおそらく研究施設によく出入りしてるし、関わりがあるかもしれないけど、バリアデバイスの強化のプロジェクトに僕も加わる事になってね」
「そうだったのか、その話は今初めて聞いた」
「だって決まったの最近だもの。魔界の技術をAIに学習させて、その波動やパターンを覚えさせ、魔物がバリアデバイス内部に侵入させるのを防ぐらしい」
「そうか、それなら研究所で会う事もありそうだな」
「そうだとありがたいね。白羽がいると僕もやりやすい」
アリエスの存在は研究者たちにとっては大きな変化だった。
人間の手でできる事をしてきたが、それが破られてしまっては新しい解決方法を探し出さねばならない。
魔物のが仲間であるという現実を受け入れにくい事はあっても、それは今の技術の発展には必要だったのだ。
「そうだ、一つお願いしたい事があったんだ…」
「何?僕にできること?」
「300年前に魔物と戦って封印をした人達が、宝石になって今地下の遺跡にいるんだが、封印が弱まったかいらなくなってきたのか、目を覚まし始めているんだ」
「ふむふむ、それで?」
「宝石になっているということは、本体の宝石が移動しないと、実体化した本人たちが外に出られることがないらしい」
「話を聞いたら、今の外の世界を見てみたいって言ってるんだけど、宝石が傷ついてしまうと、宝石は本人自身だから身体にダメージができてしまうみたいなの」
「なるほど、それでその宝石を保護するものが欲しいって事だね?」
「話が早くて助かる」
アリエスはその事を聞いて少し考えこんだ。
「今回のバリアデバイスの応用をすればいいと思うんだけど、バリアデバイスはある程度大きな装置として動くから、動力や保護力は確証されてる。でも今回のは持ち運んで外に行くと考えると、少し実験をしてみないといけないかもしれない」
「なるほど、誰か協力者がいたほうがいいか?」
「そうだね、一人でいいから研究所の施設に連れてきてもらえるとありがたいかな」
「わかった、冬月という人に相談してみよう」
やる事は決まった。
そして近々学園祭もある事を伝えると、是非見て見たいとリリスから猛アピールを受けたため、白羽は学園内で相談することを約束した。
静羽のミルカとの戦闘がいささか心配だが、学園祭と言う多くの人の目のある場所という事もあり、問題が起きない事を願って。
楽しい時間はすぐに過ぎていく。
お互いの情報を共有し合いそしてまた会おうと約束して、白羽と静羽はアリエス達の家を後にした。
研究所が魔物の襲撃に会い、研究所の中は黒い魔物で溢れかえった。
その襲撃をしかけてきたのがアリエスである。
もともと静羽は戦闘経験があり、魔物の数が多い事以外はそこまで心配せずに挑んだが、アリエスの攻撃によりその場にいた全員が眠ってしまい、徹のおかげで事なきを得る。
戦闘の末、戦いながら何を目的として研究所を襲ったのかわかった。
静羽はユニバースキーを使って、恋人であるリリスの居場所である扉にリンクし、アリエスと合わせる事に成功する。
そのおかげでアリエスは目標を達成できたため、魔物の軍での地位を捨て、リリスと共に生きていくことを選んだ。
人間界で生活するという事は、理解を得られるまでに時間がかかり、監視の目もある。
それでも、アリエスはリリスと暮らす事を選んだ。
苦しい事や辛い事もあるかもしれない。
それでも二人別々のところで離れて暮らすより、二人で困難に立ち向かった方が幸せなのだと。
幸い自分が引き連れている悪夢の化身達は、アリエスの言う事には忠実だ。
研究所の手伝いとして荷物を保護しながら運搬することが得意で、研究所の中でもしばしば姿を見かける。
最初は警戒していた研究員達も、今では打ち解けたようで、アリエスの存在も受け入れられていった。
白羽も静羽も会うのは久しぶりの事だった。
研究所の敷地内に新しく区画が設けられ、そこに生垣と小さな家が建設された。
そこが今アリエス達が住んでいる場所で、二人で暮らすにはちょうどいい大きさの2LDKの家だった。
リリスが2階で洗濯物を干していると、恩人2人が自分の家のほうへ歩いてくる姿が見える。
その姿にびっくりして、アリエスのところへ走っていきそれを伝えた。
生垣の入り口に立ったところで、玄関の扉が勢いよく開き、駆け寄ってきた二人が白羽達と合流する。
「久しぶりだね!まさか家にきてくれるとは思ってなかったよ」
「お久しぶりです、ご活躍は研究員の方々から聞いております!お会いできて嬉しいです!」
2人の歓迎に白羽も姫歌もお互いに喜びを返した。
そして家に迎え入れてもらい、飲み物を差し出されながらテーブルにつき、今まであったことを共有し始める。
「まずは二人に伝えたいことがあるの。私名前が変わって”静羽”になったから、今度はそれで呼んでもらえると嬉しいな」
「名前が?どういう経緯でそうなったの?」
静羽はその名前の名付け親が白羽である事、そして姫歌という名前がどうして自分につけられたのかを話した。
内容を聞き、アリエスとリリスは複雑そうな顔をしている。
それもそうだ、もう1人の存在が静羽の中にいるのだから。
それに、自分の名前が自分ではない目的でつけられた名前なら、静羽が自分とは何者なのかと疑問に思ったのも頷けた。
でも新しい名前になってから、静羽はとても嬉しそうで生き生きしている。
その姿を見てアリエス達はホッとしたようだ。
そして知らなかっただろう白羽が女性に触れられないという呪いの事も話し、今それを解こうと努力している事についても伝える。
呪いをかけた人物も今ははっきりしており、呪いの解除には静羽の協力が必要不可欠で、修行中だという事も。
「僕たちも魔物で乗り越えなくてはならない事は多いけれど、君たち二人はそれ以上に話が壮大で壁もいろいろあるんだね」
「自分の耳で聞いていることが本当か疑ってしまうくらいすごいお話を聞きました」
「白羽がもともと白い鴉だったって事も驚いたし、他の星から来た者の生まれ変わりだなんて、普通の人じゃなかなか受け入れられないくらいだよ」
「でもその転生を経て、二人がこうやって一緒にいるなんてすごく愛が伝わってきて、私たちも励まされます」
静羽はついこの間、二人で船の中に南京錠に名前を書いてはめ込んできたことをアリエス達に話した。
今は正式に付き合っているような状態ではないが、白羽も約束迎えにきてくれると約束してくれたと。
「まぁ素敵!お二人の結婚式には是非私達も呼んでくださいね!」
「リリスまだ気が早いって…。でも、君たち二人ならそうなると思うから、その時は呼んでよね」
そして話はアリエス達に移っていく。
研究所で働き始めしばらく経ったが、まだ警戒している研究員はもちろんいるという。
魔物=悪であるという人間の認識により、理解しても関わるとなるとなかなか難しい。
それならと、技術を提供することや自分の頑張りによって、信頼を得ていくしかないと、アリエスも積極的に行動している。
研究所で良くしてくれる人もいて、眼鏡をかけた茶髪のまだ若い研究員で、沢村という男性が最もよく関わる人物だという。
「白羽はおそらく研究施設によく出入りしてるし、関わりがあるかもしれないけど、バリアデバイスの強化のプロジェクトに僕も加わる事になってね」
「そうだったのか、その話は今初めて聞いた」
「だって決まったの最近だもの。魔界の技術をAIに学習させて、その波動やパターンを覚えさせ、魔物がバリアデバイス内部に侵入させるのを防ぐらしい」
「そうか、それなら研究所で会う事もありそうだな」
「そうだとありがたいね。白羽がいると僕もやりやすい」
アリエスの存在は研究者たちにとっては大きな変化だった。
人間の手でできる事をしてきたが、それが破られてしまっては新しい解決方法を探し出さねばならない。
魔物のが仲間であるという現実を受け入れにくい事はあっても、それは今の技術の発展には必要だったのだ。
「そうだ、一つお願いしたい事があったんだ…」
「何?僕にできること?」
「300年前に魔物と戦って封印をした人達が、宝石になって今地下の遺跡にいるんだが、封印が弱まったかいらなくなってきたのか、目を覚まし始めているんだ」
「ふむふむ、それで?」
「宝石になっているということは、本体の宝石が移動しないと、実体化した本人たちが外に出られることがないらしい」
「話を聞いたら、今の外の世界を見てみたいって言ってるんだけど、宝石が傷ついてしまうと、宝石は本人自身だから身体にダメージができてしまうみたいなの」
「なるほど、それでその宝石を保護するものが欲しいって事だね?」
「話が早くて助かる」
アリエスはその事を聞いて少し考えこんだ。
「今回のバリアデバイスの応用をすればいいと思うんだけど、バリアデバイスはある程度大きな装置として動くから、動力や保護力は確証されてる。でも今回のは持ち運んで外に行くと考えると、少し実験をしてみないといけないかもしれない」
「なるほど、誰か協力者がいたほうがいいか?」
「そうだね、一人でいいから研究所の施設に連れてきてもらえるとありがたいかな」
「わかった、冬月という人に相談してみよう」
やる事は決まった。
そして近々学園祭もある事を伝えると、是非見て見たいとリリスから猛アピールを受けたため、白羽は学園内で相談することを約束した。
静羽のミルカとの戦闘がいささか心配だが、学園祭と言う多くの人の目のある場所という事もあり、問題が起きない事を願って。
楽しい時間はすぐに過ぎていく。
お互いの情報を共有し合いそしてまた会おうと約束して、白羽と静羽はアリエス達の家を後にした。
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