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24.メイド
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車に乗り、皆でショッピングモールへ。
週末ということもあり、混雑している。
少し白羽がその混雑具合を見て嫌そうな顔をしていた。
それでも一応着いてきて買い物に付き合っている。
日用品や服、食材を買い込んだ。
姫歌が服を2着位で遠慮していると、美津子が後5着買うまで帰らないわなんて言い出したので、仕方なく姫歌も選ぶ。
季節のものだが、値段を気にせず買い物をしたのは初めての体験だった。
帰りの車の中で、新しい家での生活に慣れてきたらやって欲しい事があると言われた。
家についたら説明してくれるようだ。
家に着いてから荷物を片付け、落ち着いたら美津子の家に来るように言われる。
とりあえず買ってもらった物や服を、あるべき場所へ片付けた。
片付けて早々に美津子のいる応接室へ行く。
「奥様、それで…私は何をしたらいいのでしょう?」
「ふふっ、そんなに難しい事じゃないわ。平日は学校があるし、勉強もしなくちゃいけないと思うから、空いた時間でいいのだけど、姫歌さんには私の家のメイドとして働いてもらいたいの」
「……メイド!そ……それで少しでも私がお手伝い出来るなら、喜んでさせてください」
「そう言ってくれると思ったわ。衣装も用意してあるのよ」
「衣装?!」
「朴木もいつも執事衣装来てるでしょ?もちろんオフの時もあるのだけれど、姫歌さんもうちに来る時はその衣装着てくれると雰囲気でるかなって思って。朴木」
「はい、奥様」
そう言って朴木が姫歌にメイド服の入った紙袋を渡してくれた。
着替えてくるよう美津子に言われ、姫歌は客室を借りて着替えることに。
紙袋からメイド服を取り出し、近くにあったハンガーにかける。
そこには白と黒でまとめられた、可愛いフリルとリボンの付いたメイド服。
自分がまさかメイドになる日が来るとは思っていなかった姫歌だが、その服を見て少しやる気も湧いてきた。
少し慣れない衣装で、着替え終わるまでに時間がかかってしまったが、カチューシャも付け、自分でも納得が行く仕上がりになった。
ドアを開け、美津子の所へ戻る。
「まぁ、なんて素敵!とても似合ってるわ」
馬子にも衣装と言うような感じで、美津子も喜んでくれているようだ。
ーガチャー
応接室のドアが空く。
「うぉっ……」
部屋にいた白羽が見に来たようだ。
姫歌の姿を見るなり少し驚いたようだが、状況は把握したらしい。
「メイド…か、なるほど。よく似合ってる」
「そうね~、見立ては間違ってなかったわー」
美津子の横で朴木も頷いている。
そんなに似合ってると言われると恥ずかしいし照れる。
「基本的には朴木に教わって、掃除の仕方や料理とかを覚えていってちょうだいね。あとは白羽が何かあれば言うだろうから、やってあげて。そうね、お手伝いみたいなものよ、あんまり深く考えなくていいわ。あなたの家になるのだから、気楽にやりましょう」
「分かりました、頑張ります!」
「私と朴木はある程度の事は自分で出来るから、私より白羽と一緒にいてあげてくれる?」
「あ…はい、わかりました」
そう言われたので、白羽と一緒に応接室を出る。
「一応…メイドになったのだし…、呼び方もちゃんとしてた方がいいと思うのだけど」
「別に今まで通りでいい」
「うーん…、ご主人様は…奥様だし、白羽様…?」
「……あのなぁ…。……まぁ、その服の時だけはそう言う呼び方でもいいが…」
「はい!白羽様!」
満面の笑みでそう言われると、慣れていない事もあってむず痒い。
姫歌は笑顔でいるが、心の中はまだきっといろいろな思いが渦巻いているだろう…。
白銀家にいることで、そのモヤモヤしたものが少しでも軽くなることを白羽は願った。
屋敷でメイドとして働くには、何がどこにあるか把握しなくてはいけない。
白羽と姫歌は屋敷中を探索することにした。
客室が2部屋、応接室、LDK、白羽・美津子・朴木・お兄さんの部屋、図書室、衣装部屋、サンルーム、トイレ4箇所、洗面所、お風呂、露天風呂、予備の部屋が2部屋、倉庫4部屋。
とにかく広い。
普通の家系ではないのだと改めて実感する。
最初はどこに何があるのかわからなくて迷ってしまいそうだ。
一通り家の中を探索したので少しリビングで休む。
朴木が紅茶を入れてくれた。
「朴木さんは凄いです、こんな広い家の掃除や食事の準備も1人で……」
「いえいえ、私だけでなく奥様もいらっしゃいますし、白羽坊っちゃまもお手伝いくださいますので、案外出来てしまうのです。それに、今度は姫歌様も加わってくださるのですから、私も助かります」
「朴木さんのお役に立てるよう頑張ります!」
そしてその後朴木と一緒にキッチンで料理をつくり、皆で食べる。
先に主人が先に食べるのかと思いきや、白銀家では関係なく一緒にらしい。
おかわりや何か欲しい時も自分で取りにいくのが基本で、ご飯中に朴木が動く事は少ない。
そしてその後の洗いつけまで当番制らしい。
基本的に昼間は朴木か美津子が担当で、夕食は白羽も加わりローテーションしている。
世の中何が起こるか分からない、だから何かあっても自分でできるようにするためなのだと美津子は言っていた。
お昼を食べた後、買ってきた服や部屋を整える為に時間をもらい、自分の家になる場所へ行く。
白羽も手伝ってくれるらしい。
姫歌としては、1人は何となく嫌だったので、手伝わなくてもいてくれるだけで安心できる。
何をどこにしまうのかなんて話をしながら片付けをしていると、何となく新婚夫婦が新しい住居に引っ越した後の様で心がときめく。
ある程度片付けもし終わって2人でソファに横並びに座る。
自分の部屋が昨日燃えたなんて嘘だったかのように幸せな空間。
白羽の隣に居られるだけで今は幸せだった。
「こんな事言うのも…不謹慎かもしれないけど、火災があったから新しい家に来られたのかもって思うと、少しちょっと嬉しい気持ちがあって複雑……。もともと私は白羽くんから離れるように警告されて、嫌がらせされたのに、今は白羽くんと一緒にいるし…」
「運命なんて、どう転ぶのかわからないからな。俺と一緒に居させない為の嫌がらせが、結局は居させる事になった結果を、今度は相手のグループがどう出てくるのかが見ものだな。危なくなる前に俺をピアスで呼んで欲しい。いつも見てられる訳じゃないから」
「うん、ありがとう。白羽くんは最高の味方だよ」
微笑む姫歌に、白羽も微笑み返す。
やる事も落ち着き、夕方になった。
もう夕飯くらいの時間で、1度屋敷に戻り美津子に報告する事に。
屋敷に入るといい匂いがした。
朴木と美津子が夕飯を準備しているのだろうか。
キッチンを見に行くのだが誰もいなかったためダイニングの扉を開ける。
扉を開けた先には、テーブルに並べられた豪華な料理、ワイングラスやフォーク、スプーンが並べられ、小さなビッフェが出来上がっている。
「姫歌さんの歓迎会よ。ようこそ、我が家へ。私達の新しい家族」
あぁ……、いつぶりだろう。
こうやって家族と言われたのは…。
祖母が死んで、やらなければならない事に追われ、それを処理し終わるまでに沢山の時間が過ぎた。
祖母も家族ではあったが、厳しい修行の毎日で、魔物を倒す練習ばかりしていたため、どちらかと言うと師匠に近かった。
今自分の目の前に、自分の事を家族と言ってくれる人が出来たことに姫歌は涙を流す。
心温まる帰る事のできる場所。
姓は違うけれど、姓だけが家族の証ではない。
まだ日は浅いけれど、繋いだ絆を守りたい。
新しく出来た家族の為にたくさん恩返しをしよう。
その日姫歌は心に誓った。
週末ということもあり、混雑している。
少し白羽がその混雑具合を見て嫌そうな顔をしていた。
それでも一応着いてきて買い物に付き合っている。
日用品や服、食材を買い込んだ。
姫歌が服を2着位で遠慮していると、美津子が後5着買うまで帰らないわなんて言い出したので、仕方なく姫歌も選ぶ。
季節のものだが、値段を気にせず買い物をしたのは初めての体験だった。
帰りの車の中で、新しい家での生活に慣れてきたらやって欲しい事があると言われた。
家についたら説明してくれるようだ。
家に着いてから荷物を片付け、落ち着いたら美津子の家に来るように言われる。
とりあえず買ってもらった物や服を、あるべき場所へ片付けた。
片付けて早々に美津子のいる応接室へ行く。
「奥様、それで…私は何をしたらいいのでしょう?」
「ふふっ、そんなに難しい事じゃないわ。平日は学校があるし、勉強もしなくちゃいけないと思うから、空いた時間でいいのだけど、姫歌さんには私の家のメイドとして働いてもらいたいの」
「……メイド!そ……それで少しでも私がお手伝い出来るなら、喜んでさせてください」
「そう言ってくれると思ったわ。衣装も用意してあるのよ」
「衣装?!」
「朴木もいつも執事衣装来てるでしょ?もちろんオフの時もあるのだけれど、姫歌さんもうちに来る時はその衣装着てくれると雰囲気でるかなって思って。朴木」
「はい、奥様」
そう言って朴木が姫歌にメイド服の入った紙袋を渡してくれた。
着替えてくるよう美津子に言われ、姫歌は客室を借りて着替えることに。
紙袋からメイド服を取り出し、近くにあったハンガーにかける。
そこには白と黒でまとめられた、可愛いフリルとリボンの付いたメイド服。
自分がまさかメイドになる日が来るとは思っていなかった姫歌だが、その服を見て少しやる気も湧いてきた。
少し慣れない衣装で、着替え終わるまでに時間がかかってしまったが、カチューシャも付け、自分でも納得が行く仕上がりになった。
ドアを開け、美津子の所へ戻る。
「まぁ、なんて素敵!とても似合ってるわ」
馬子にも衣装と言うような感じで、美津子も喜んでくれているようだ。
ーガチャー
応接室のドアが空く。
「うぉっ……」
部屋にいた白羽が見に来たようだ。
姫歌の姿を見るなり少し驚いたようだが、状況は把握したらしい。
「メイド…か、なるほど。よく似合ってる」
「そうね~、見立ては間違ってなかったわー」
美津子の横で朴木も頷いている。
そんなに似合ってると言われると恥ずかしいし照れる。
「基本的には朴木に教わって、掃除の仕方や料理とかを覚えていってちょうだいね。あとは白羽が何かあれば言うだろうから、やってあげて。そうね、お手伝いみたいなものよ、あんまり深く考えなくていいわ。あなたの家になるのだから、気楽にやりましょう」
「分かりました、頑張ります!」
「私と朴木はある程度の事は自分で出来るから、私より白羽と一緒にいてあげてくれる?」
「あ…はい、わかりました」
そう言われたので、白羽と一緒に応接室を出る。
「一応…メイドになったのだし…、呼び方もちゃんとしてた方がいいと思うのだけど」
「別に今まで通りでいい」
「うーん…、ご主人様は…奥様だし、白羽様…?」
「……あのなぁ…。……まぁ、その服の時だけはそう言う呼び方でもいいが…」
「はい!白羽様!」
満面の笑みでそう言われると、慣れていない事もあってむず痒い。
姫歌は笑顔でいるが、心の中はまだきっといろいろな思いが渦巻いているだろう…。
白銀家にいることで、そのモヤモヤしたものが少しでも軽くなることを白羽は願った。
屋敷でメイドとして働くには、何がどこにあるか把握しなくてはいけない。
白羽と姫歌は屋敷中を探索することにした。
客室が2部屋、応接室、LDK、白羽・美津子・朴木・お兄さんの部屋、図書室、衣装部屋、サンルーム、トイレ4箇所、洗面所、お風呂、露天風呂、予備の部屋が2部屋、倉庫4部屋。
とにかく広い。
普通の家系ではないのだと改めて実感する。
最初はどこに何があるのかわからなくて迷ってしまいそうだ。
一通り家の中を探索したので少しリビングで休む。
朴木が紅茶を入れてくれた。
「朴木さんは凄いです、こんな広い家の掃除や食事の準備も1人で……」
「いえいえ、私だけでなく奥様もいらっしゃいますし、白羽坊っちゃまもお手伝いくださいますので、案外出来てしまうのです。それに、今度は姫歌様も加わってくださるのですから、私も助かります」
「朴木さんのお役に立てるよう頑張ります!」
そしてその後朴木と一緒にキッチンで料理をつくり、皆で食べる。
先に主人が先に食べるのかと思いきや、白銀家では関係なく一緒にらしい。
おかわりや何か欲しい時も自分で取りにいくのが基本で、ご飯中に朴木が動く事は少ない。
そしてその後の洗いつけまで当番制らしい。
基本的に昼間は朴木か美津子が担当で、夕食は白羽も加わりローテーションしている。
世の中何が起こるか分からない、だから何かあっても自分でできるようにするためなのだと美津子は言っていた。
お昼を食べた後、買ってきた服や部屋を整える為に時間をもらい、自分の家になる場所へ行く。
白羽も手伝ってくれるらしい。
姫歌としては、1人は何となく嫌だったので、手伝わなくてもいてくれるだけで安心できる。
何をどこにしまうのかなんて話をしながら片付けをしていると、何となく新婚夫婦が新しい住居に引っ越した後の様で心がときめく。
ある程度片付けもし終わって2人でソファに横並びに座る。
自分の部屋が昨日燃えたなんて嘘だったかのように幸せな空間。
白羽の隣に居られるだけで今は幸せだった。
「こんな事言うのも…不謹慎かもしれないけど、火災があったから新しい家に来られたのかもって思うと、少しちょっと嬉しい気持ちがあって複雑……。もともと私は白羽くんから離れるように警告されて、嫌がらせされたのに、今は白羽くんと一緒にいるし…」
「運命なんて、どう転ぶのかわからないからな。俺と一緒に居させない為の嫌がらせが、結局は居させる事になった結果を、今度は相手のグループがどう出てくるのかが見ものだな。危なくなる前に俺をピアスで呼んで欲しい。いつも見てられる訳じゃないから」
「うん、ありがとう。白羽くんは最高の味方だよ」
微笑む姫歌に、白羽も微笑み返す。
やる事も落ち着き、夕方になった。
もう夕飯くらいの時間で、1度屋敷に戻り美津子に報告する事に。
屋敷に入るといい匂いがした。
朴木と美津子が夕飯を準備しているのだろうか。
キッチンを見に行くのだが誰もいなかったためダイニングの扉を開ける。
扉を開けた先には、テーブルに並べられた豪華な料理、ワイングラスやフォーク、スプーンが並べられ、小さなビッフェが出来上がっている。
「姫歌さんの歓迎会よ。ようこそ、我が家へ。私達の新しい家族」
あぁ……、いつぶりだろう。
こうやって家族と言われたのは…。
祖母が死んで、やらなければならない事に追われ、それを処理し終わるまでに沢山の時間が過ぎた。
祖母も家族ではあったが、厳しい修行の毎日で、魔物を倒す練習ばかりしていたため、どちらかと言うと師匠に近かった。
今自分の目の前に、自分の事を家族と言ってくれる人が出来たことに姫歌は涙を流す。
心温まる帰る事のできる場所。
姓は違うけれど、姓だけが家族の証ではない。
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