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14.ミルカ・シュヴァルツ
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あれから1週間が経過した。
特に魔物が追加で現れる様子はない。
魔物が現れないことはいい事なのに、白羽の顔には元気がない。
ため息も増え、不機嫌そうにも、落ち込んでいるようにも見えるその顔に、創作部の部員達も心配しているようだ。
「白羽先輩、元気ないですね」
「いつもあんまり喋ってるって言う感じではないけど、さらに口数減ってる感じ」
遠くから見ている亮と空も、雰囲気が全然違う白羽を心配している。
あまりにも違うので話しかけにくい……。
「あー…まぁ、多分だいたい想像はつくかなー」
白羽の噂をしていた空と亮に徹が加わった。
「徹先輩、何かあったんですか?」
「ちょっと最近平和だったから、ソレが終わるのを確信したんだと思うんだ」
「もしかして魔物がまた…?」
「いやー、違うな…。多分魔物の方が、あいつにとっては可愛いんじゃないかな…」
ハッキリとした答えではない徹の言葉に、亮と空は不思議そうに首を傾げている。
同時刻、姫歌は1人トイレに行っていた。
トイレを済ませそこから出ると、ミディアムボブでピンクアッシュ髪の女子が1人、キョロキョロと辺りを見回している。
両目がオッドアイで灰色と紫なので、オシャレな人だなぁと思いつつも、とりあえず部室に戻ろうと方向を変える。
すると、さっきいた女子が姫歌に話しかけてきた。
「あ、すいませーん。ちょっと人を探してるんですけど、白い髪がちょっと長めの、赤い目の男子見ませんでした?」
「あっ、えっとごめんなさい。私まだ入学したばかりで、あまりよくわからないんです」
とりあえず脳裏を白羽の事がよぎったが、他にそう言う人がいるとも限らないので、その場はそう答えた。
「はーぁ、そっかぁ……せっかく彼女が帰って来たのに……迎えに来てくれないんだもんなぁ……。ありがとう、もう少し探してみます」
そう言ってその女子はその場を去っていく。
何事もなかったかのように部室に戻ると、不機嫌そうな白羽と、それを遠くで見守る部員達の姿を見て取れた。
「何かあったんですか?」
「あ、姫歌おかえり。白羽先輩がね、ちょっと近寄りずらいねって話してた」
姫歌が見ると、あからさまに白羽の機嫌が悪い。
誰も近寄るなと言わんばかりの形相で棚の上に座り、本を持っている。
いつも本を読んでいるので、それはそのまま引き継いでいるようだが、持っているだけで読んでいる風ではない。
「みんなが怖がってるよ。凄い顔してるもん」
姫歌は臆する様子なく話しかけにいった。
姫歌に話しかけられたことで、白羽の顔が少し落ち着く。
だがそれでも、いつもの白羽とは違って複雑などこか悲しげな顔をしていた。
「すまん……。あまりにもこういう顔にしかならない事がこれからあると思うと……。はぁ……」
白羽が前髪をかきあげながらまたため息をついた。
自分は何か役に立てないだろうか、そう思った姫歌が白羽に尋ねる。
「私に何か出来ることはない?」
「……」
親切心からそう言ったのだが、白羽の様子が変わる気配はなく、返答も返ってこない。
何か考えているのだろうが、直ぐに言葉が出ないあたり、どうしようもない事なのだろう。
「……きっと、桜川にも迷惑をかける……。部員達にも……。あいつは……そう言うヤツだ……」
姫歌にとっては誰の事を言っているのかわからなかったが、白羽の事をこれだけ悩ませる人なのだから、結構ヤバい人なのかもしれない。
そう思った矢先、
「あーーーー!!いたあーー!!」
部室の入口からけたたましい声がし振り返ると、そこにさっき姫歌に人を探しているのだと聞いてきた女子が白羽の方を指さしながら立っている。
その女子は部室に入ってくるやいなや、白羽めがけて走り出し近づくと、勢いよく白羽に抱きついた。
「Shiraha! Mein geliebter Schatz ist zurück!」(白羽くーん!愛しのハニーが帰ってきたよー!)
「いってえ…、抱きつくなウザい…」
「えぇー…だって遠征頑張ってきたんだよ?白羽くんとも離れなくちゃいけなかったし…寂しかったんだからぁー!!」
その光景をみながら、姫歌は2つの気になることが頭をグルグルしていた。
『あれ…さっき会った時彼女って言ってたよね……?白羽くんの彼女なの?でも、なんで白羽くんに触れられるの?白羽くんは女の子はダメなはずじゃ……』
そんな事を考えていると、さっきの女子が姫歌を指さし始める。
「あー!さっきの人!え?白羽くんの事知らなかったの?同じ部室にいて?」
「えっ?!えっと、他にそういう人がいるのかどうか知らなくて……」
「ふーん、まぁそう言うことにしといてあげる。入学したてならわからなくもないし。じゃ、私の事も知らないはずよね」
そう言うと、その女子は白羽から離れ、自己紹介をした。
「私はミルカ・シュヴァルツ。ドイツから来たの。Sランク第6位、そして1番重要なこと。白羽くんの彼女よ。覚えてね」
『やっぱり……白羽くんの……彼女……』
白羽の彼女がもしかしたらいるのかもしれないと予想はしていた。
していたが、やっぱり現実に言われたことで姫歌は魂が抜けそうだ……。
そして、極めつけは後ろにいる白羽が、ミルカの言っている事を否定しない事だった。
面倒くさいは面倒くさいのだろうし、アピール力が強いから迷惑がかかると言うのも頷ける。
それでも否定しないのは、ミルカを彼女として認めているからなのだろう。
「ミルカ…お前うるさい。みんなに迷惑だから外出るぞ」
「ふふっ、はーい♪」
そう言うと白羽はミルカを連れ、部室から出ていった。
同時に力が抜けた姫歌が、その場にへたり込む。
「あわゎ…姫歌……、大丈夫?」
「空ぁ……。ちょっと…キツい……」
姫歌は少し遠慮がちに空に笑いかける。
空に手を借りその場から起き上がった。
寮に戻って話そうと空の提案で部活から帰る事になる。
2人でゆっくり出来る屋上に行くことにした。
実は寮の屋上には足湯や露天風呂、ちょっとした庭園やベンチなどがあり、生徒が気楽に休める場所として提供されているのだ。
入口から少し離れた、あまり人目につかない場所にあるベンチに2人が腰掛ける。
「白羽先輩、彼女いたんだね……」
「うん…、予想はしてたんだ…。前に昔の俺じゃないからって言われた時から」
「その話詳しく教えて」
「そうだね、なんか話しそびれちゃってたし、空には話すね」
姫歌は空に白羽との出会いから話をした。
自分がどういう状態で白羽に会い、2週間の間に初めて好きと言う感情が生まれたこと。
また必ず会おうと約束し、この学園に行くと聞いて、別れたその日にもらったリボンを未だに付けていること。
再開したその日に、昔の自分ではないと言われた事やタメ口にして欲しいと言われた事。
実は白羽の家に行っていて、お祖母さんと話をしてきた事。
「うーん、その話が本当なら…ミルカ先輩はなんで白羽先輩に触れれるんだろう…」
「…特別……だから…なのかな……。ドイツから来たって言ってたし、白羽くんと前から一緒にいる事は確実だよね……」
姫歌の顔がしょぼくれている。
悲しげで、その中には少し諦めも入っているのだろうなと空は感じた。
「ねぇ姫歌、今日の白羽先輩って、すごい不機嫌だったじゃない?あれってミルカ先輩がくるのがわかってたからじゃないのかな」
「うーん…。まぁでも仮にそうだったとしても、ミルカ先輩が白羽くんにとって特別なのはかわらないって」
『姫歌…やっぱり諦め入ってる…。姫歌は気づいてないのかな、私から見たら姫歌だって、白羽先輩にとっては特別なんじゃないかって思うんだけど…』
この学園にきて初めてできた友達が、寂しそうな顔をしているのは空にとって嫌な事だった。
なんとか元気になってほしい、いつもの姫歌のように笑っていてほしい。
「じゃあ姫歌は、このまま白羽先輩とミルカ先輩が一緒にいればそれでいいって思ってるの?」
「………それは…」
「白羽先輩の事好きなんでしょ?出会ったあの時からずっと。肌身離さずそのリボンと一緒いるのは何?」
「……そう…だけど…、私は、白羽くんが幸せになってくれる人なら…いいって…」
「まだミルカ先輩の事も白羽先輩の事もよくわからない。二人の間に何があって、どうしてほかの女性に触れない状態になってるのかも。私は今あの状態で、白羽先輩が幸せだとは思わない。姫歌に諦めてほしくないって気持ちももちろんあるけど、私たちはまだいろいろ知らなすぎるよ。だから今この瞬間に自分の気持ちを伝えずに身を引こうとしてる姫歌は嫌だよ…」
「空…」
「ずっと好きだったのなら、その気持ち大事にしてほしい。何もしないまま諦めるなんて、ダメだよ」
ミルカが目の前に現れたことで、彼女という存在だとそれを受け入れようとしていた姫歌を、空が叱ってくれた。
自分のことを友達として叱ってくれたことに、感謝の気持ちでいっぱいになる。
今までそういう人がいなかった姫歌にとって、彼女はもう親友と呼べるほど大事な存在になった。
「ありがとう空、私初めて友達に叱ってもらえた。ちゃんと私の事考えて言ってくれた言葉、すごく心に残ったよ」
「うん、私から見たら姫歌だって、白羽先輩にとって特別に見えるよ。だからこれからやれることやろ?」
「そうだね、私たちはまだ入学したばっかりだし、今まで何があったのかも知らない。白羽くんとも徹さんとも肩を並べる位置にもいない。それなら一緒に戦えるように、頼りになるような存在になりたい」
「うん、一緒に頑張ろうね!試験も受けてランクあがってやろう!」
そう言いながら二人でお互いの手を握り合う。
最短で昇級試験があるのは来月、その時に上がれるように勉強しようと二人でその日誓い合った。
特に魔物が追加で現れる様子はない。
魔物が現れないことはいい事なのに、白羽の顔には元気がない。
ため息も増え、不機嫌そうにも、落ち込んでいるようにも見えるその顔に、創作部の部員達も心配しているようだ。
「白羽先輩、元気ないですね」
「いつもあんまり喋ってるって言う感じではないけど、さらに口数減ってる感じ」
遠くから見ている亮と空も、雰囲気が全然違う白羽を心配している。
あまりにも違うので話しかけにくい……。
「あー…まぁ、多分だいたい想像はつくかなー」
白羽の噂をしていた空と亮に徹が加わった。
「徹先輩、何かあったんですか?」
「ちょっと最近平和だったから、ソレが終わるのを確信したんだと思うんだ」
「もしかして魔物がまた…?」
「いやー、違うな…。多分魔物の方が、あいつにとっては可愛いんじゃないかな…」
ハッキリとした答えではない徹の言葉に、亮と空は不思議そうに首を傾げている。
同時刻、姫歌は1人トイレに行っていた。
トイレを済ませそこから出ると、ミディアムボブでピンクアッシュ髪の女子が1人、キョロキョロと辺りを見回している。
両目がオッドアイで灰色と紫なので、オシャレな人だなぁと思いつつも、とりあえず部室に戻ろうと方向を変える。
すると、さっきいた女子が姫歌に話しかけてきた。
「あ、すいませーん。ちょっと人を探してるんですけど、白い髪がちょっと長めの、赤い目の男子見ませんでした?」
「あっ、えっとごめんなさい。私まだ入学したばかりで、あまりよくわからないんです」
とりあえず脳裏を白羽の事がよぎったが、他にそう言う人がいるとも限らないので、その場はそう答えた。
「はーぁ、そっかぁ……せっかく彼女が帰って来たのに……迎えに来てくれないんだもんなぁ……。ありがとう、もう少し探してみます」
そう言ってその女子はその場を去っていく。
何事もなかったかのように部室に戻ると、不機嫌そうな白羽と、それを遠くで見守る部員達の姿を見て取れた。
「何かあったんですか?」
「あ、姫歌おかえり。白羽先輩がね、ちょっと近寄りずらいねって話してた」
姫歌が見ると、あからさまに白羽の機嫌が悪い。
誰も近寄るなと言わんばかりの形相で棚の上に座り、本を持っている。
いつも本を読んでいるので、それはそのまま引き継いでいるようだが、持っているだけで読んでいる風ではない。
「みんなが怖がってるよ。凄い顔してるもん」
姫歌は臆する様子なく話しかけにいった。
姫歌に話しかけられたことで、白羽の顔が少し落ち着く。
だがそれでも、いつもの白羽とは違って複雑などこか悲しげな顔をしていた。
「すまん……。あまりにもこういう顔にしかならない事がこれからあると思うと……。はぁ……」
白羽が前髪をかきあげながらまたため息をついた。
自分は何か役に立てないだろうか、そう思った姫歌が白羽に尋ねる。
「私に何か出来ることはない?」
「……」
親切心からそう言ったのだが、白羽の様子が変わる気配はなく、返答も返ってこない。
何か考えているのだろうが、直ぐに言葉が出ないあたり、どうしようもない事なのだろう。
「……きっと、桜川にも迷惑をかける……。部員達にも……。あいつは……そう言うヤツだ……」
姫歌にとっては誰の事を言っているのかわからなかったが、白羽の事をこれだけ悩ませる人なのだから、結構ヤバい人なのかもしれない。
そう思った矢先、
「あーーーー!!いたあーー!!」
部室の入口からけたたましい声がし振り返ると、そこにさっき姫歌に人を探しているのだと聞いてきた女子が白羽の方を指さしながら立っている。
その女子は部室に入ってくるやいなや、白羽めがけて走り出し近づくと、勢いよく白羽に抱きついた。
「Shiraha! Mein geliebter Schatz ist zurück!」(白羽くーん!愛しのハニーが帰ってきたよー!)
「いってえ…、抱きつくなウザい…」
「えぇー…だって遠征頑張ってきたんだよ?白羽くんとも離れなくちゃいけなかったし…寂しかったんだからぁー!!」
その光景をみながら、姫歌は2つの気になることが頭をグルグルしていた。
『あれ…さっき会った時彼女って言ってたよね……?白羽くんの彼女なの?でも、なんで白羽くんに触れられるの?白羽くんは女の子はダメなはずじゃ……』
そんな事を考えていると、さっきの女子が姫歌を指さし始める。
「あー!さっきの人!え?白羽くんの事知らなかったの?同じ部室にいて?」
「えっ?!えっと、他にそういう人がいるのかどうか知らなくて……」
「ふーん、まぁそう言うことにしといてあげる。入学したてならわからなくもないし。じゃ、私の事も知らないはずよね」
そう言うと、その女子は白羽から離れ、自己紹介をした。
「私はミルカ・シュヴァルツ。ドイツから来たの。Sランク第6位、そして1番重要なこと。白羽くんの彼女よ。覚えてね」
『やっぱり……白羽くんの……彼女……』
白羽の彼女がもしかしたらいるのかもしれないと予想はしていた。
していたが、やっぱり現実に言われたことで姫歌は魂が抜けそうだ……。
そして、極めつけは後ろにいる白羽が、ミルカの言っている事を否定しない事だった。
面倒くさいは面倒くさいのだろうし、アピール力が強いから迷惑がかかると言うのも頷ける。
それでも否定しないのは、ミルカを彼女として認めているからなのだろう。
「ミルカ…お前うるさい。みんなに迷惑だから外出るぞ」
「ふふっ、はーい♪」
そう言うと白羽はミルカを連れ、部室から出ていった。
同時に力が抜けた姫歌が、その場にへたり込む。
「あわゎ…姫歌……、大丈夫?」
「空ぁ……。ちょっと…キツい……」
姫歌は少し遠慮がちに空に笑いかける。
空に手を借りその場から起き上がった。
寮に戻って話そうと空の提案で部活から帰る事になる。
2人でゆっくり出来る屋上に行くことにした。
実は寮の屋上には足湯や露天風呂、ちょっとした庭園やベンチなどがあり、生徒が気楽に休める場所として提供されているのだ。
入口から少し離れた、あまり人目につかない場所にあるベンチに2人が腰掛ける。
「白羽先輩、彼女いたんだね……」
「うん…、予想はしてたんだ…。前に昔の俺じゃないからって言われた時から」
「その話詳しく教えて」
「そうだね、なんか話しそびれちゃってたし、空には話すね」
姫歌は空に白羽との出会いから話をした。
自分がどういう状態で白羽に会い、2週間の間に初めて好きと言う感情が生まれたこと。
また必ず会おうと約束し、この学園に行くと聞いて、別れたその日にもらったリボンを未だに付けていること。
再開したその日に、昔の自分ではないと言われた事やタメ口にして欲しいと言われた事。
実は白羽の家に行っていて、お祖母さんと話をしてきた事。
「うーん、その話が本当なら…ミルカ先輩はなんで白羽先輩に触れれるんだろう…」
「…特別……だから…なのかな……。ドイツから来たって言ってたし、白羽くんと前から一緒にいる事は確実だよね……」
姫歌の顔がしょぼくれている。
悲しげで、その中には少し諦めも入っているのだろうなと空は感じた。
「ねぇ姫歌、今日の白羽先輩って、すごい不機嫌だったじゃない?あれってミルカ先輩がくるのがわかってたからじゃないのかな」
「うーん…。まぁでも仮にそうだったとしても、ミルカ先輩が白羽くんにとって特別なのはかわらないって」
『姫歌…やっぱり諦め入ってる…。姫歌は気づいてないのかな、私から見たら姫歌だって、白羽先輩にとっては特別なんじゃないかって思うんだけど…』
この学園にきて初めてできた友達が、寂しそうな顔をしているのは空にとって嫌な事だった。
なんとか元気になってほしい、いつもの姫歌のように笑っていてほしい。
「じゃあ姫歌は、このまま白羽先輩とミルカ先輩が一緒にいればそれでいいって思ってるの?」
「………それは…」
「白羽先輩の事好きなんでしょ?出会ったあの時からずっと。肌身離さずそのリボンと一緒いるのは何?」
「……そう…だけど…、私は、白羽くんが幸せになってくれる人なら…いいって…」
「まだミルカ先輩の事も白羽先輩の事もよくわからない。二人の間に何があって、どうしてほかの女性に触れない状態になってるのかも。私は今あの状態で、白羽先輩が幸せだとは思わない。姫歌に諦めてほしくないって気持ちももちろんあるけど、私たちはまだいろいろ知らなすぎるよ。だから今この瞬間に自分の気持ちを伝えずに身を引こうとしてる姫歌は嫌だよ…」
「空…」
「ずっと好きだったのなら、その気持ち大事にしてほしい。何もしないまま諦めるなんて、ダメだよ」
ミルカが目の前に現れたことで、彼女という存在だとそれを受け入れようとしていた姫歌を、空が叱ってくれた。
自分のことを友達として叱ってくれたことに、感謝の気持ちでいっぱいになる。
今までそういう人がいなかった姫歌にとって、彼女はもう親友と呼べるほど大事な存在になった。
「ありがとう空、私初めて友達に叱ってもらえた。ちゃんと私の事考えて言ってくれた言葉、すごく心に残ったよ」
「うん、私から見たら姫歌だって、白羽先輩にとって特別に見えるよ。だからこれからやれることやろ?」
「そうだね、私たちはまだ入学したばっかりだし、今まで何があったのかも知らない。白羽くんとも徹さんとも肩を並べる位置にもいない。それなら一緒に戦えるように、頼りになるような存在になりたい」
「うん、一緒に頑張ろうね!試験も受けてランクあがってやろう!」
そう言いながら二人でお互いの手を握り合う。
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