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13.共闘
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「お前らか……俺の部隊を殺してくれたのは……」
大きなオークはそのデカさで白羽と徹を睨みつけ威圧している。
今までの雑魚とは違い、明らかに部隊をまとめる役目を持ったオークなのだろう。
「でけぇな……」
「まぁ…、図体だけでかくてもな……。さっきの奴らよりは骨がある事を期待したいが……」
大きさに関して関心はしているが、オークが威圧を放っても白羽と徹は特にビビる様子はない。
「はっ!まさか人間如きが、分隊長の俺に2人で勝てるとでも思ってるんじゃねーだろうな!!」
「だってよ?」
「へぇ……。」
特に興味のなさそうな返事を白羽が返すと、相手にされないことに苛立ちを覚えたオークの顔にどんどんシワが寄っていく。
「舐めてんじゃねぇぞ!」
その言葉と共にオークが力を貯めだしたようで、身体が筋肉で強化され、ムキムキになっていく。
「おー……」
その光景をみても尚、白羽と徹は無関心だ。
それは2人が幾多の困難を乗り越えてらきた事からの自信なのだろう。
さらに大きくなったオークが、持っていた鉄の棘がある金棒を振り回してきた。
白羽達を狙い、勢いよく振り下ろす。
案外デカくてもその速度は早く、戦い慣れていない一般兵ならとっくにやられている事だろう。
「へぇ…結構早いじゃん」
といいながら徹はひょいっと攻撃を交わす。
だいたいデカい何かは、威力は強いが動きが遅い、もしくは行動が読みやすいのが定説である。
このオークは大きさにしては、強化しているとはいえ速いのだ。
「兄者ぁ…俺の部隊も全滅しちまったぁ……。」
「僕もだよムフ兄ぃー!」
そう言いながら黒い霧の中から出てきたのは同じ体格をした2体のオークだった。
「うわ……、増えた……。」
「ふむ……」
その2体が中から出ると、黒い霧がスっと消える。
「とりあえず、目標は達成……と」
白羽がボソッと呟く。
避けてすこし距離を開けると、さっき現れたオーク2体が合流する。
「兄者、手伝うぞ」
「ムフにぃ!僕も!!」
「ドルガ、カリザ、3人揃ってこそ我らだ!さぁ、ボコボコにしてやろう」
少し離れた場所から、白羽と徹がさっきとすこし表情をかえて三体を見ている。
「3対2になっちゃったねぇ。」
「少し面倒だ…。」
「どうする…?」
「当たったら痛そうだなー。」
「まぁ……そりゃな……。」
「ふーん…⤵︎。」
とりあえず面倒くさいことに白羽のテンションが下がる。
倒せない、とか、強そう、ではない。
<面倒くさい>
とりあえずやらないと終わらないので、座りながらどうしようか考える。
その行動がオーク達には癇に障ったようで、ドルガとカリザと呼ばれるオークもまた、ムフに続き自分自身を強化し始めた。
強化されてしまうということは、物理攻撃そのものが通りにくくなってしまう。
その強化状態を解くことができれば、難なく倒すことができるのだが。
「歌うしかないんじゃね?」
「・・・・はぁ・・・。」
白羽が思い切り大きなため息をついた。
白羽はあまり歌うことが得意ではない。
自分たちにバフをかけたり、魔物のステータスを下げたり、足止めをしたりと歌にはいろいろな効果がある。
もちろん数値は悪くないのだ。
が、自分の歌で本領を発揮できたことがない。
何かが足らない、そう思いながらいつも歌うのだ。
仕方がない…観念したように歌う体制をとった。
「4分くらいだ・・・。こっちも強化して動く」
「あぁ・・・」
聞けよ 自分の心の声を
どうしたいか そんなの決まってる
いままで何をしてきた?
何度考えても同じ
それならここで止まる暇などない
最善の選択 完璧な結末
そんなのやってみなきゃ分からない
足を止めるな 未来に後悔したくないのなら
誰もが もがきあがく その先へ
強がってもいい
たまにはイキがれ
楽しめたら勝ちだ
それが人生だ
なぁお前もそう思うだろ?
結論はお前次第
歯車を回せ
動かせ その手で
運命のスイッチを
歯車を回せ
進め 少しでも
取り返しがつかなくなる前に
それをやって 死ぬんじゃなきゃ
自分の限界に 挑んだっていいだろ
それをやって 壊れるんじゃなきゃ
自分の欲望に 正直に生きてやれ
徹と白羽のデュエットが辺りに響き渡る。
二人は歌いながらオークへ攻撃をしかけていく。
3対2でもその動きはオークよりも早く、オーク達は金棒を振り回す先には残像が残りスッと消えていく。
現れては消え、現れては消え、その度に刃物からの切り込みも、高出力の球もオーク達の身体に刻み込まれていく。
まるでオークの攻撃をあざ笑っているかのように。
そして、歌によってオークの強化が弱まった。
「うぐっ!・・・くっそ、ちょこまかとおお!!」
「終わりだでくの坊…、地球の肥やしにでもなれ…」
【Tränende Leere, Vakuumschwert(引裂け虚空 真空剣)】
「おっれも~!!」
【必殺!3球!かかと落としぃ!!】
白羽が一瞬のうちに3対のオークに致命傷となる切り込みを入れる。
それに合わせ、徹が3人に分身し、上空から3個の光の球をかかと落としで追撃した。
攻撃を喰らったオークは意識を失い、その場に倒れた。
どうやらもう起き上がることはないようだ。
「ま、こんなもんでしょ~」
肩を回しながら徹が白羽へ寄る。
拳と拳をぶつけ合い、勝利を祝った。
戦闘が終わる頃、空や亮がいる地下避難所の上空で、姫歌がDiva angelの姿をしながらその光景を見守っていた。
「何かあったら、私も助けに行こうと思っていたのだけど、大丈夫みたい。よかった」
上空からの視線に白羽が気付き、Diva angelのほうを見上げている…。
『わっ…、気付かれちゃった…。戻ろう…』
Diva angelはその場からフッと消えた。
「どうした…?」
「いや…多分…見られてた」
「何を?っていうか誰が?」
「わからん、とりあえず上空から見てた。女性だったと思うけど」
「へぇ…、敵か味方か…」
「ま、俺が見た次の瞬間には消えたけどな」
とりあえず白羽と徹は近くにいた軍隊に声をかけ、状況を報告する。
死体の搬送作業と、掃除をしなくてはならないからだ。
そして壊れていたバリアデバイスの復旧も。
ここ二日でバリアデバイス破壊による魔物侵入が富山だけでなく、他にも起きているという報告を軍から仕入れることもできた。
きっとこれから忙しくなるかもしれない。
そう思いながら、地下避難所へ避難している3人を迎えに行く。
派遣が増えれば学園での活動も少し調節しなくてはならない。
『まぁ…そうなった時考えるか…』
そして2人は富山城を後にした。
大きなオークはそのデカさで白羽と徹を睨みつけ威圧している。
今までの雑魚とは違い、明らかに部隊をまとめる役目を持ったオークなのだろう。
「でけぇな……」
「まぁ…、図体だけでかくてもな……。さっきの奴らよりは骨がある事を期待したいが……」
大きさに関して関心はしているが、オークが威圧を放っても白羽と徹は特にビビる様子はない。
「はっ!まさか人間如きが、分隊長の俺に2人で勝てるとでも思ってるんじゃねーだろうな!!」
「だってよ?」
「へぇ……。」
特に興味のなさそうな返事を白羽が返すと、相手にされないことに苛立ちを覚えたオークの顔にどんどんシワが寄っていく。
「舐めてんじゃねぇぞ!」
その言葉と共にオークが力を貯めだしたようで、身体が筋肉で強化され、ムキムキになっていく。
「おー……」
その光景をみても尚、白羽と徹は無関心だ。
それは2人が幾多の困難を乗り越えてらきた事からの自信なのだろう。
さらに大きくなったオークが、持っていた鉄の棘がある金棒を振り回してきた。
白羽達を狙い、勢いよく振り下ろす。
案外デカくてもその速度は早く、戦い慣れていない一般兵ならとっくにやられている事だろう。
「へぇ…結構早いじゃん」
といいながら徹はひょいっと攻撃を交わす。
だいたいデカい何かは、威力は強いが動きが遅い、もしくは行動が読みやすいのが定説である。
このオークは大きさにしては、強化しているとはいえ速いのだ。
「兄者ぁ…俺の部隊も全滅しちまったぁ……。」
「僕もだよムフ兄ぃー!」
そう言いながら黒い霧の中から出てきたのは同じ体格をした2体のオークだった。
「うわ……、増えた……。」
「ふむ……」
その2体が中から出ると、黒い霧がスっと消える。
「とりあえず、目標は達成……と」
白羽がボソッと呟く。
避けてすこし距離を開けると、さっき現れたオーク2体が合流する。
「兄者、手伝うぞ」
「ムフにぃ!僕も!!」
「ドルガ、カリザ、3人揃ってこそ我らだ!さぁ、ボコボコにしてやろう」
少し離れた場所から、白羽と徹がさっきとすこし表情をかえて三体を見ている。
「3対2になっちゃったねぇ。」
「少し面倒だ…。」
「どうする…?」
「当たったら痛そうだなー。」
「まぁ……そりゃな……。」
「ふーん…⤵︎。」
とりあえず面倒くさいことに白羽のテンションが下がる。
倒せない、とか、強そう、ではない。
<面倒くさい>
とりあえずやらないと終わらないので、座りながらどうしようか考える。
その行動がオーク達には癇に障ったようで、ドルガとカリザと呼ばれるオークもまた、ムフに続き自分自身を強化し始めた。
強化されてしまうということは、物理攻撃そのものが通りにくくなってしまう。
その強化状態を解くことができれば、難なく倒すことができるのだが。
「歌うしかないんじゃね?」
「・・・・はぁ・・・。」
白羽が思い切り大きなため息をついた。
白羽はあまり歌うことが得意ではない。
自分たちにバフをかけたり、魔物のステータスを下げたり、足止めをしたりと歌にはいろいろな効果がある。
もちろん数値は悪くないのだ。
が、自分の歌で本領を発揮できたことがない。
何かが足らない、そう思いながらいつも歌うのだ。
仕方がない…観念したように歌う体制をとった。
「4分くらいだ・・・。こっちも強化して動く」
「あぁ・・・」
聞けよ 自分の心の声を
どうしたいか そんなの決まってる
いままで何をしてきた?
何度考えても同じ
それならここで止まる暇などない
最善の選択 完璧な結末
そんなのやってみなきゃ分からない
足を止めるな 未来に後悔したくないのなら
誰もが もがきあがく その先へ
強がってもいい
たまにはイキがれ
楽しめたら勝ちだ
それが人生だ
なぁお前もそう思うだろ?
結論はお前次第
歯車を回せ
動かせ その手で
運命のスイッチを
歯車を回せ
進め 少しでも
取り返しがつかなくなる前に
それをやって 死ぬんじゃなきゃ
自分の限界に 挑んだっていいだろ
それをやって 壊れるんじゃなきゃ
自分の欲望に 正直に生きてやれ
徹と白羽のデュエットが辺りに響き渡る。
二人は歌いながらオークへ攻撃をしかけていく。
3対2でもその動きはオークよりも早く、オーク達は金棒を振り回す先には残像が残りスッと消えていく。
現れては消え、現れては消え、その度に刃物からの切り込みも、高出力の球もオーク達の身体に刻み込まれていく。
まるでオークの攻撃をあざ笑っているかのように。
そして、歌によってオークの強化が弱まった。
「うぐっ!・・・くっそ、ちょこまかとおお!!」
「終わりだでくの坊…、地球の肥やしにでもなれ…」
【Tränende Leere, Vakuumschwert(引裂け虚空 真空剣)】
「おっれも~!!」
【必殺!3球!かかと落としぃ!!】
白羽が一瞬のうちに3対のオークに致命傷となる切り込みを入れる。
それに合わせ、徹が3人に分身し、上空から3個の光の球をかかと落としで追撃した。
攻撃を喰らったオークは意識を失い、その場に倒れた。
どうやらもう起き上がることはないようだ。
「ま、こんなもんでしょ~」
肩を回しながら徹が白羽へ寄る。
拳と拳をぶつけ合い、勝利を祝った。
戦闘が終わる頃、空や亮がいる地下避難所の上空で、姫歌がDiva angelの姿をしながらその光景を見守っていた。
「何かあったら、私も助けに行こうと思っていたのだけど、大丈夫みたい。よかった」
上空からの視線に白羽が気付き、Diva angelのほうを見上げている…。
『わっ…、気付かれちゃった…。戻ろう…』
Diva angelはその場からフッと消えた。
「どうした…?」
「いや…多分…見られてた」
「何を?っていうか誰が?」
「わからん、とりあえず上空から見てた。女性だったと思うけど」
「へぇ…、敵か味方か…」
「ま、俺が見た次の瞬間には消えたけどな」
とりあえず白羽と徹は近くにいた軍隊に声をかけ、状況を報告する。
死体の搬送作業と、掃除をしなくてはならないからだ。
そして壊れていたバリアデバイスの復旧も。
ここ二日でバリアデバイス破壊による魔物侵入が富山だけでなく、他にも起きているという報告を軍から仕入れることもできた。
きっとこれから忙しくなるかもしれない。
そう思いながら、地下避難所へ避難している3人を迎えに行く。
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