9 / 143
8.当主
しおりを挟む
公園を出て桜並木を歩く。
柔らかな日差しが桜並木の隙間から姫歌達を照らしている。
時折さわやかな風が、姫歌と白羽の髪を揺らす。
女の子でも羨むだろう、サラサラで艶のある髪に見とれてしまう。
『やっぱり…白羽君の髪、すっごくサラサラで綺麗…』
見とれながら少し歩くと、公園から出て次の角を曲がったところに、大きな門が見えた。
ガチャという音と共に、白羽が門のドアを開ける。
「白羽くんの家…大きい…」
「あぁ、これでも母方の祖母の家なんだ。両親はドイツにいるから、本来なら俺の家と言うのはそっちかも知れない」
白羽に促され中に入ると、白羽は内側から門のカギを閉めた。
門から見える玄関まで、小さなレンガの歩道が整備され、その両側に植木と花が咲き誇っている。
石造や、小さな噴水も設置してあり、お客様を楽しませる雰囲気のある洋風の庭だ。
大きな洋風のお屋敷、その横には少し離れて車庫がある。
3台収納できるそれぞれ独立してシャッターのある車庫には、上に倉庫もあるようだ。
玄関のドアが指紋認証され、ロックが解除される。
中に入ると立派な柱と2つに別れた階段、シックな色のそれでいて高級感ある柄の入った壁。
玄関も広く、入ってすぐ目に入るのは、なぜか家の中なのに公園にある屋根付きの休憩所のような場所。
それを囲むようにたくさんのドアがある。
そこには見覚えのある老執事が立っていた。
「おかえりなさいませ坊っちゃま。おや……その方は、……まさか!」
「あぁ、桜川さんだよ朴木」
「あぁ……姫歌さま…。大きくなられて」
そう言いながら朴木は姫歌の手を両手で握りしめた。
「朴木さん、お久しぶりです。突然お邪魔してすみません」
「いえいえ、よくぞ来てくださいました。あれから7年…元気にしておられましたか?」
「はい」
姫歌が朴木に微笑んだ。
「それは良かった。さぁ、ご当主様にご挨拶を。ご案内致します」
「俺は本を部屋に置いてくる、先に行ってて欲しい」
「うん、わかった」
朴木に連れられ、左奥の応接室へ通される。
木の縁がある赤色のソファが2つ、真ん中にガラスのローテーブルを挟んで向き合っている。
「今お飲み物をお持ちします。緑茶、紅茶とコーヒーどちらになさいますか?」
「あ、紅茶でお願いします。私コーヒーちょっと苦手で」
「かしこまりました。では、お座りになって楽にしてお待ちください」
「はい」
言われるがままソファに腰掛ける。
楽にと言われても、こんなに雰囲気のある御屋敷に来るのは初めてで、自然と緊張してしまう。
ふと、近くにあるガラスの扉ついた棚に、写真が飾ってあるのが見えた。
近づいて中を覗き込むと、白羽が子供の時の写真がずらりと飾ってある。
と…その中に、7年前自分と白羽の写真を見つけた。
白羽がドイツに帰ると伝える直前に記念に撮った写真。
自分の目で見るのは初めてだった。
「7年前のあなたと白羽よ。懐かしいでしょ」
びっくりして振り返る。
部屋に入ってきたのは白羽の祖母と思われる人物だった。
白いワンピースにピンクのストールを肩にかけ、首元にはエメラルドど思われる宝石のついたペンダントをつけた、白髪でショートの女性だ。
「はっ…初めまして!!桜川姫歌です!お邪魔しています!」
少し声が裏返りながら、姫歌は頭を下げながら挨拶をした。
「ふふ、そんなにかしこまらなくていいわよ。さ、顔をあげてよく見せてちょうだい」
ゆっくりと顔をあげ、白羽の祖母の顔を見る。
それと一緒に白羽の祖母は手を差し出し、握手を求めた。
「私はここの当主、白銀美津子よ。よろしくね姫歌さん」
「は、はい!」
求められた手に、両手で握手を返した。
少し冷たさもある、皺の入ったそれでいて柔らかい手。
美津子は姫歌の手を握りながら、少しの間目を閉じた。
「そう…、あなた…とても苦労してきたのね」
「えっ…」
「ふふ、そんなこといきなり言われたらびっくりするわよね。とりあえず座りましょうか」
お互いが向き合うように座る。
そこに朴木が温かい紅茶とお菓子を置いてくれた。
「ありがとうございます、朴木さん」
「はい、温かいうちにお召し上がりください」
姫歌は感謝を伝え紅茶を飲んだ。
「温かい…」
美味しそうに紅茶を飲む姫歌を美津子はニコニコとしながら眺めている。
「私ね、全部じゃないのだけれど、触った人の過去や気持ちを読み取る事ができるの。さっきの一瞬だけでは見れるものは限られていたけど、たくさんの苦しみと悲しみ、耐えて耐えて、それでも頑張ろうとしてるあなたが見えたわ。ごめんなさいね、見られたくないものもあったでしょうに…。私もこの能力が制御できればいいのだけど、できないのよ」
「そう…だったんですか」
「でもそれだけじゃないわ…、あなたの中にはずっと…あの子がいてくれた。泣いても苦しくても、ずっと…白羽と一緒に頑張ろうとしてたのね。その髪飾り、白羽があなたに渡した物なんでしょう?」
「…はい…」
目を潤ませながら、返事をする。
「あの子不器用だから、姫歌さんに変な事言わなかった?自分に触らないでほしいとか」
「…!はい…昨日、言われました」
「やっぱり…。はぁ…もうちょっと言い方があればいいのだろうけど、きっとあの子にとってその言葉が限界なのね」
「どういう…事ですか?」
美津子は目の前にあった紅茶を一口のみ、波打つ水面を見つめながら口を開いた。
「あの子は今、ほぼすべての女性に触れることができないの。それはあなただけじゃなく、私も同様にね」
「え…どうして」
「私にもわからないの。ただ、私の能力で何かできないのかと、触ってしまったことがあってね…、その時あの子は…非常に苦しそうに心臓を押さえてた。苦しんで…苦しんで、そして…吐血したわ…。お医者さんに診てもらったことがあるのだけど、体に異変は無いって言うの」
「そんな…、そんな事って…。それは…いつからなんですか…」
「そうね…確か…、姫歌さんと会った頃はまだ平気だったはずだから…ドイツに帰って1年くらい経ってからだったと思うわ」
「ドイツに…帰ってから…」
「原因について本人に聞くのだけど、話さないの。首を振るばっかりで…。いえ…もしかしたら、話せないのかもしれない」
『白羽くんに…一体何があったの…』
苦しそうになるという白羽の姿を思い浮かべただけで、姫歌の心は張り裂けそうになった。
「何か…私にできることが…あったらいいのに…」
「ありがとう姫歌さん、その気持ちがあれば十分だわ。たぶん今日あの子があなたをここに連れてきたのは、私にこのことを伝えてほしかったんじゃないかしら」
「…」
「あの子はああなってしまってから、ほとんどの人を避けるようになった。触れないのは女性だけのはずなのに、もしかしたら男性でもそれが起こるんじゃないかと怯えていた時期もあったわ。自分が他人に迷惑をかけないようにするのに、あの子なりに気を使っているのだと思う」
「白羽くんは…優しいですから…」
「ふふ…」
美津子が手を口にあてて微笑む。
「そうか…わかったわ。あの子昨日ね、珍しく鼻歌歌いながら帰ってきたのよ。ずーっと暗い顔しながら学校言ってたのに。部屋に入っていくあの子に、何かいい事でもあったの?って聞いたら、「まぁね」って嬉しそうに。姫歌さんに会った事だったのかしらねー」
「そ…そんなっ///」
————ガチャ
応接室のドアが開いた。
白羽が部屋に入ると顔を真っ赤にした姫歌と目が合う。
「~~~~~~~~~~~~~っ!?」
言葉にならない姫歌の声。
ぷしゅーと水蒸気でも上がるくらいの顔だ。
「はぁ…ばぁちゃん…何吹き込んだの…」
「ふふ…なぁーんにも?」
柔らかな日差しが桜並木の隙間から姫歌達を照らしている。
時折さわやかな風が、姫歌と白羽の髪を揺らす。
女の子でも羨むだろう、サラサラで艶のある髪に見とれてしまう。
『やっぱり…白羽君の髪、すっごくサラサラで綺麗…』
見とれながら少し歩くと、公園から出て次の角を曲がったところに、大きな門が見えた。
ガチャという音と共に、白羽が門のドアを開ける。
「白羽くんの家…大きい…」
「あぁ、これでも母方の祖母の家なんだ。両親はドイツにいるから、本来なら俺の家と言うのはそっちかも知れない」
白羽に促され中に入ると、白羽は内側から門のカギを閉めた。
門から見える玄関まで、小さなレンガの歩道が整備され、その両側に植木と花が咲き誇っている。
石造や、小さな噴水も設置してあり、お客様を楽しませる雰囲気のある洋風の庭だ。
大きな洋風のお屋敷、その横には少し離れて車庫がある。
3台収納できるそれぞれ独立してシャッターのある車庫には、上に倉庫もあるようだ。
玄関のドアが指紋認証され、ロックが解除される。
中に入ると立派な柱と2つに別れた階段、シックな色のそれでいて高級感ある柄の入った壁。
玄関も広く、入ってすぐ目に入るのは、なぜか家の中なのに公園にある屋根付きの休憩所のような場所。
それを囲むようにたくさんのドアがある。
そこには見覚えのある老執事が立っていた。
「おかえりなさいませ坊っちゃま。おや……その方は、……まさか!」
「あぁ、桜川さんだよ朴木」
「あぁ……姫歌さま…。大きくなられて」
そう言いながら朴木は姫歌の手を両手で握りしめた。
「朴木さん、お久しぶりです。突然お邪魔してすみません」
「いえいえ、よくぞ来てくださいました。あれから7年…元気にしておられましたか?」
「はい」
姫歌が朴木に微笑んだ。
「それは良かった。さぁ、ご当主様にご挨拶を。ご案内致します」
「俺は本を部屋に置いてくる、先に行ってて欲しい」
「うん、わかった」
朴木に連れられ、左奥の応接室へ通される。
木の縁がある赤色のソファが2つ、真ん中にガラスのローテーブルを挟んで向き合っている。
「今お飲み物をお持ちします。緑茶、紅茶とコーヒーどちらになさいますか?」
「あ、紅茶でお願いします。私コーヒーちょっと苦手で」
「かしこまりました。では、お座りになって楽にしてお待ちください」
「はい」
言われるがままソファに腰掛ける。
楽にと言われても、こんなに雰囲気のある御屋敷に来るのは初めてで、自然と緊張してしまう。
ふと、近くにあるガラスの扉ついた棚に、写真が飾ってあるのが見えた。
近づいて中を覗き込むと、白羽が子供の時の写真がずらりと飾ってある。
と…その中に、7年前自分と白羽の写真を見つけた。
白羽がドイツに帰ると伝える直前に記念に撮った写真。
自分の目で見るのは初めてだった。
「7年前のあなたと白羽よ。懐かしいでしょ」
びっくりして振り返る。
部屋に入ってきたのは白羽の祖母と思われる人物だった。
白いワンピースにピンクのストールを肩にかけ、首元にはエメラルドど思われる宝石のついたペンダントをつけた、白髪でショートの女性だ。
「はっ…初めまして!!桜川姫歌です!お邪魔しています!」
少し声が裏返りながら、姫歌は頭を下げながら挨拶をした。
「ふふ、そんなにかしこまらなくていいわよ。さ、顔をあげてよく見せてちょうだい」
ゆっくりと顔をあげ、白羽の祖母の顔を見る。
それと一緒に白羽の祖母は手を差し出し、握手を求めた。
「私はここの当主、白銀美津子よ。よろしくね姫歌さん」
「は、はい!」
求められた手に、両手で握手を返した。
少し冷たさもある、皺の入ったそれでいて柔らかい手。
美津子は姫歌の手を握りながら、少しの間目を閉じた。
「そう…、あなた…とても苦労してきたのね」
「えっ…」
「ふふ、そんなこといきなり言われたらびっくりするわよね。とりあえず座りましょうか」
お互いが向き合うように座る。
そこに朴木が温かい紅茶とお菓子を置いてくれた。
「ありがとうございます、朴木さん」
「はい、温かいうちにお召し上がりください」
姫歌は感謝を伝え紅茶を飲んだ。
「温かい…」
美味しそうに紅茶を飲む姫歌を美津子はニコニコとしながら眺めている。
「私ね、全部じゃないのだけれど、触った人の過去や気持ちを読み取る事ができるの。さっきの一瞬だけでは見れるものは限られていたけど、たくさんの苦しみと悲しみ、耐えて耐えて、それでも頑張ろうとしてるあなたが見えたわ。ごめんなさいね、見られたくないものもあったでしょうに…。私もこの能力が制御できればいいのだけど、できないのよ」
「そう…だったんですか」
「でもそれだけじゃないわ…、あなたの中にはずっと…あの子がいてくれた。泣いても苦しくても、ずっと…白羽と一緒に頑張ろうとしてたのね。その髪飾り、白羽があなたに渡した物なんでしょう?」
「…はい…」
目を潤ませながら、返事をする。
「あの子不器用だから、姫歌さんに変な事言わなかった?自分に触らないでほしいとか」
「…!はい…昨日、言われました」
「やっぱり…。はぁ…もうちょっと言い方があればいいのだろうけど、きっとあの子にとってその言葉が限界なのね」
「どういう…事ですか?」
美津子は目の前にあった紅茶を一口のみ、波打つ水面を見つめながら口を開いた。
「あの子は今、ほぼすべての女性に触れることができないの。それはあなただけじゃなく、私も同様にね」
「え…どうして」
「私にもわからないの。ただ、私の能力で何かできないのかと、触ってしまったことがあってね…、その時あの子は…非常に苦しそうに心臓を押さえてた。苦しんで…苦しんで、そして…吐血したわ…。お医者さんに診てもらったことがあるのだけど、体に異変は無いって言うの」
「そんな…、そんな事って…。それは…いつからなんですか…」
「そうね…確か…、姫歌さんと会った頃はまだ平気だったはずだから…ドイツに帰って1年くらい経ってからだったと思うわ」
「ドイツに…帰ってから…」
「原因について本人に聞くのだけど、話さないの。首を振るばっかりで…。いえ…もしかしたら、話せないのかもしれない」
『白羽くんに…一体何があったの…』
苦しそうになるという白羽の姿を思い浮かべただけで、姫歌の心は張り裂けそうになった。
「何か…私にできることが…あったらいいのに…」
「ありがとう姫歌さん、その気持ちがあれば十分だわ。たぶん今日あの子があなたをここに連れてきたのは、私にこのことを伝えてほしかったんじゃないかしら」
「…」
「あの子はああなってしまってから、ほとんどの人を避けるようになった。触れないのは女性だけのはずなのに、もしかしたら男性でもそれが起こるんじゃないかと怯えていた時期もあったわ。自分が他人に迷惑をかけないようにするのに、あの子なりに気を使っているのだと思う」
「白羽くんは…優しいですから…」
「ふふ…」
美津子が手を口にあてて微笑む。
「そうか…わかったわ。あの子昨日ね、珍しく鼻歌歌いながら帰ってきたのよ。ずーっと暗い顔しながら学校言ってたのに。部屋に入っていくあの子に、何かいい事でもあったの?って聞いたら、「まぁね」って嬉しそうに。姫歌さんに会った事だったのかしらねー」
「そ…そんなっ///」
————ガチャ
応接室のドアが開いた。
白羽が部屋に入ると顔を真っ赤にした姫歌と目が合う。
「~~~~~~~~~~~~~っ!?」
言葉にならない姫歌の声。
ぷしゅーと水蒸気でも上がるくらいの顔だ。
「はぁ…ばぁちゃん…何吹き込んだの…」
「ふふ…なぁーんにも?」
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
彼を追いかける事に疲れたので、諦める事にしました
Karamimi
恋愛
貴族学院2年、伯爵令嬢のアンリには、大好きな人がいる。それは1学年上の侯爵令息、エディソン様だ。そんな彼に振り向いて欲しくて、必死に努力してきたけれど、一向に振り向いてくれない。
どれどころか、最近では迷惑そうにあしらわれる始末。さらに同じ侯爵令嬢、ネリア様との婚約も、近々結ぶとの噂も…
これはもうダメね、ここらが潮時なのかもしれない…
そんな思いから彼を諦める事を決意したのだが…
5万文字ちょっとの短めのお話で、テンポも早めです。
よろしくお願いしますm(__)m
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる